表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
662/800

649 普段しないことをしないのは刺激が豊富に感じる

 

 昨夜は色々と映画に関して混ぜるな危険染みたことをしたような気もするが、結局のところ楽しめたのなら問題ないしメモリアと久しぶりにゆっくりできた気がする。


 それに関して俺も彼女も満足できて、いつもよりも笑顔マシマシのメモリアを見れた。


「次は私だな!!」


 ただ、スエラの時もそうだったがメモリアも交代するときは物足りないと言った雰囲気を醸し出してくる。


 正直、これが複数の女性を愛することに対しての問題点だよな。

 誰に対しても平等にをモットーにするとどうあがいても時間と言う物理問題に直面する。


 できるだけ仕事とプライベートを両立するんだけどこればっかりはヴァルスさんの力を使わない限り解決はしない。


 その力も何もない空間で二人っきりで過ごすと言うかなり特殊なデートになってしまう。

 だからこそ無限を惰性で過ごすのではなく、有限を有意義に過ごさないといけないのだと実感するわけで。


 メモリアの頭を撫でて、近いうちにまた時間を作ると約束することが男のモチベに繋がることを再確認。

 結局男って言うのは単純だな。


 誰かのために頑張れる自分がすごいとナルシストみたいな部分や、この女性が喜んでくれると言う要素でやる気が増加する。


 こうやって、ヒミクが太陽みたいな笑顔で感情を直接的にぶつけてくるのもその実感を感じさせる要素になる。


「ジーロ!それでは行こうか!!」

「ああ」


 腕を掴み、屋敷から外に出ようと促すヒミク。

 彼女のことだから色々な食べ物を求めるデートになるかなと思っていた。


 子供のようにはしゃぐヒミクの誘導に従って、そのまま案内されるがままに連れていかれた先は。


「ここは」

「うむ!レビューも良いと評判だ!実はかなり楽しみにしていたのだ」


 俺の予想を百八十度裏切る結果に相成った。


 そこは地下施設のとある区画に設置されているホテル街。

 所謂、大人の宿泊施設と呼ばれるエリアだ。


 妙に俺の格好を出来るだけ目立たず、されどオシャレにしようと帽子やサングラスと言った小物を使わせてくるなとヒミクのコーディネイトに首をかしげていたがこういうことかと納得半分、残りの半分はデートの初手でこれか?と疑問符を頭の中に浮かべる俺がいた。


 ヒミクも翼を収納して、お忍びデートと言った感じの装いだ。


 いや、彼女が望むのならそれでもいいんだけどとホテルの中に入る。


 最近かなり積極的だなとは思っていたが、ここまでだったのかと少し触れ合いが足りなかったか?と反省点を感じさせる流れだ。


「では入るぞ」

「ああ」


 ホテルの中は、普通に綺麗でかつ、豪華な雰囲気を出している。

 料金に関してはもちろん俺が支払う。


 ヒミクが入りたいと言っていた部屋はこのホテルでも一番豪華な部屋だ。


 ロイヤルスイートと呼ばれる部屋。

 値段は、昔の俺なら絶対に泊まる事などないと断言できるような値段だ。


 同じ金を払うなら、美味い酒と美味い飯を食べる方にすると言わんばかりの値段。


「おお!中々すごいではないか!!」

「ああ、凄い。だが、思ったよりも普通なんだな」

「もっと夜を感じさせると思ったか?」

「まぁ、そう言う施設だしな。そういう雰囲気を予想していた」


 そんな値段を払ったのだから、さぞ雰囲気を意識したインテリアコーディネートをしているんだなと思ったのだが入ってみれば落ち着いた雰囲気こそあるが、かなりセンスのいい装いで統一された部屋が俺たちを出迎えた。


 大人な夜の雰囲気と言えなくもないが、普通の旅行感覚で泊まってもおかしくはない。


「そう言うのもいいかもとは思ったが、私としては誰にも邪魔されず二人っきりになりたかったんだ。だったら、二人だけになれる空間を借りるのもいいのではと思ってな。屋敷や屋外だと私たち以外の気配を感じられる。だが、このホテルはダンジョンの空間を利用しているから隣の部屋と言う概念はない。この部屋で一つの空間になっているから本当にあの入り口以外からは気配を感じないんだ」


 落ち着きをまずはと言わんばかりにリラックスできる空間。


 寝室は別にあり、まずはリビングルームが出迎えそこに入ったヒミクは帽子とサングラスを外して、ローテーブルに置きながら翼を開放している。


「なるほど」

「ふふ、ここなら本当に私と二人っきりだ。この時間だけは私だけのジーロだ」


 そして彼女らしい直接的な感情のぶつけ方をしてくる。

 正面から抱き着いてきて、自分の匂いをこすりつけるような仕草で俺の胸に頬を付ける。


 もうそう言う雰囲気になるのかと一瞬思考がそっちに傾こうとしている。


「それにここはそれだけではないのだぞ!!」


 だけど、彼女がスッと体を離して、再び手を取り他の部屋も案内すると施設の紹介を始めてしまったから何やら焦らされているような感覚を味わうことになった。


「プールか?」

「ああ!ここは個人で借りれるプールがついているのだ!他にもダーツ、ビリヤード、ボウリングにテニスコート、卓球にカラオケ、他にもゲームセンターもついているぞ!ルームサービスは地球の料理技術を学んでいる有名シェフが担当している」

「何というか、ここまで来ると空間を自由に使えるダンジョンだから出来る荒業だな」


 そして扉を開けると、屋外に出たかのような開放的な空間だ。

 小さめではあるが、ウォータースライダーが設置されたセレブの豪邸にありそうなプールや、その隣にはフェンスで囲まれたテニスコートも見える。


 ヒミクが指を指した方向にはさらにレジャー施設が併設されていて、さっきのリビングルームがさながら複合レジャー施設の入り口になっているのではと思わせるくらいの充実ぶり。


「こっちには温泉施設とサウナもあるぞ!あとで一緒に入ろう!」

「ああ」


 ヒミクが楽しそうに説明していると、本当に相槌しか打てなくなる。

 なんだろう、こうやって楽しそうに説明しているのを聞いているだけでこっちも楽しい雰囲気になる。


 頬が自然と笑顔の形を作ると言えばいいのだろうか。


 もっと彼女の話を聞きたい。

 明るい雰囲気に影響されるというのはこういうことを言うのだろうな。


「見ろジーロ!レンタルで水着もあるぞ!」


 大人な容姿で、子供のようにはしゃぐ、普段からしっかりと家事とか子供の相手をしてくれるヒミクが今はただ楽しむことだけに没頭している。


 プールの脇に更衣室もあって、その中に小さな売店のような物もあったがそこにはすべてレンタル品と書かれていてそこにあるのを自由に着てもいいと言うことになっている。


「って、これ水着じゃなくてウェットスーツじゃ?」


 どんな種類の水着があるかとちょっと期待しつつ、レンタルじゃそこまでいいのはないだろうな。

 精々がオーソドックスなやつだろう。


 俺の奴はトランクスのような奴があればいいや。


 だけど、覗いてみたらハンガーにかけてあったのは四人分のウェットスーツ。


 全身フィットするタイプの水着と言うには些か以上に無理がある代物だ。

 これで遊べと?


「いや、安心してくれ。これはスライムでできているんだ。これを着てイメージするだけで水着から簡単な服にまで変化できる代物だ!魔法生物だから魔力があれば色々なテンプレートにも変身できる優れモノだとHPにも書いてあったぞ!」

「さすが魔法、何でもありだな」


 不安そうにしている俺を見て、ヒミクはあらかじめ調べていたのだろう。

 一着手に取って魔力を流すとウゴウゴと動き出してたちまち黄色のビキニに変化する様を見せてくれる。


「へぇ、これは便利だな」

「ああ、破れても魔力で修復が可能だから少し乱暴に使っても安心だぞ!」


 乱暴、その言葉にちょっと反応した。


「む、その、今は遊ぶことを優先だぞ!私も別にいやだと言うわけじゃないが、ジーロと少し一緒に遊びたいと言うのもあるからな。嫌というわけじゃないぞ!!」

「ああ、すまん。そうだな俺も遊ぶのはいつ振りだろうか」


 下心を的確に察知されてしまっては、男として少し恥ずかしかった。

 頬を指で掻いて照れ隠しをしつつ、俺もダイバースーツを手に取る。


「最初は何をする?」

「私はテニスをしてみたいぞ、やったことはないが、テレビや漫画で見て前からやってみたいと思っていた!」

「OK、これって水着以外にも対応しているのか?」

「魔力を強めに込めれば大丈夫だ」


 俺は別室で着替えようとしたが、今更と言うことで一緒にウェットスーツらしき物に着替え、そして魔力を流してイメージすると瞬く間にジャージに変化。


 着心地もジャージそのモノだ。


 隣を見れば、ボディラインをしっかりと強調するヒミクのウェットスーツが瞬く間にゆったりとした感じのジャージに変化しているのが見えた。


「む、見てくれるのは嬉しいが、その私も流石に羞恥心というモノはあるのだぞ?」


 変化する光景を見られて、ヒミクは恥ずかしがる。


「すまんすまん」

「うむ、嫌じゃないぞ?だが、一声はかけてほしかった」


 大人のホテルに入ったと言う雰囲気でどうもそっちのイメージに偏ってしまった。

 とりあえず、そのイメージを変えるためにテニスコートに移動して、テニスをしてみるが。


 俺もヒミクも自分が超人的な身体能力を持っているのを忘れていた。


 テニスラケットもボールも素の状態で使ってしまうと壊れてしまう。


 壊した後に注意書きに、魔力で強化してしっかりと補強して使ってくださいと書かれているのに気づいて、お互いに苦笑してしまった。


 幸い予備があって、次はしっかりと強化してからのラリーになったが、漫画やアニメでしか再現できそうにない超人テニスが実現してちょっと楽しくなった。


 途中でヒミクがジャージからテニスウエアに変身して、色々と魅惑的な光景を見せてきたためか集中力が欠けて結果は俺の負け。


 どや顔を見せるヒミクも可愛いなと思ってしまう一時を過ごした後は、プールに移動してのんびりと過ごした後は、ビリヤードにダーツ、ボウリングと屋内遊戯を楽しんだ。


 ここでもウェットスーツは大活躍。

 それぞれの競技に合わせて、テンプレートが存在して、それらしい格好になるのだから盛り上がらないわけがない。


 俺もヒミクも素人だけど、身体能力でゴリ押しすれば一定以上の成果は出せる。

 流石にボウリングのフルスコアを叩き出したりとか、ダーツで絶技を披露したりとプロ顔負けの結果は出せなかったが、それでも楽しむには十分だ。


「楽しいなジーロ!!」

「ああ、本当に楽しいな」


 そんな楽しい時間を楽しんでいると時間と言うのはあっという間に過ぎてしまう。


 夕食後にこのホテルに入ったから、もう時間は深夜通り過ぎて明け方に近い。


 このホテルだと自由に明るさや雰囲気を変えられるから時間は時計でしか知ることはできない。


 昼夜逆転現象が起きているなと思いつつも最悪力技でどうにかすればいいか。


 何度も何度もウェットスーツを変身させて、遊んでいるうちに時間感覚はマヒしてきている。


「そろそろ休むか?」


 だけど時計を見たヒミクのその一言で、さらにスイッチが入って。

 返答の代わりに、深夜まで遊び倒すなんてことをした俺はテンションが高いままそっと彼女の腰を抱いて。


「まだ、休まないかな」

「……うん」


 さっきまで明るい笑みを浮かべていた彼女が頬を赤く染めて頷いたのを確認して、確認しなかった寝室に入った。


 そこだけは、なぜか大人なホテルだったと言っておこう。



 今日の一言

 普段しないことは刺激的で楽しいと思ってしまう。






毎度のご感想、誤字の指摘ありがとうございます。

面白いと思って頂ければ、感想、評価、ブックマーク等よろしくお願いいたします。


現在、もう1作品

パンドラ・パンデミック・パニック パンドラの箱は再び開かれたけど秘密基地とかでいろいろやって対抗してます!!

を連載中です!!そちらの方も是非ともよろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ