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27 休むことも仕事だ(夜)

山の翁が出ない!!

はい、キングハサンではなく破産仕掛けた作者です。

最後の課金でだそうと願い、ガチャを回して虹色演出が来た時はガッツポーズを取りましたが、出たのはアサシンではなくライダー・・・・・あれ?

無事、子安ファラオを向かいれたことに感謝しながら、グッバイ翁次回のピックアップ待ってるぜで投稿いたします。

田中次郎 二十八歳 独身 彼女 スエラ・ヘンデルバーグ 

職業 ダンジョンテスター(正社員)+リクルーター

魔力適性八(将軍クラス)

役職 戦士



「今夜は寝かさないでござるよー!!」

「未成年は素直に帰らせろよ」


ウッドデッキのガーデンバー。

昼間あんなにはしゃぎ遊んでいたのにもかかわらず、南は変わらず元気だ。

今もジンジャーエールの入ったグラス片手にハイテンションだ。

ノンアルにもかかわらずアルコール組の俺たちよりもテンションが高いのは素直にすごいと思えるが。

それも魔紋の成果だろうか?


「あんたたちっていつもこんな感じなの?」

「割と日常っすね」

「私が見る限りは、いつも賑やかで楽しそうですね」


そのアルコール組の中に北宮が自然と溶け込んでいることに、俺たちは疑問を挟んでいない。


「ああ、ところで海堂いつもの一発芸やらないのか?」

「え? 先輩何言ってるんすか?」

「海堂くん何かやるの?」

「興味がありますね、こちらの人間はどのようなことをやるのでしょうか?」


当然酒の席、無茶振りの一つや二つ発生する。

俺と海堂の間ではそんなことはやったことはないと当然ながら知っているが、そんなことなど知る由もない他のメンバーはその無茶振りを知らずに煽ってくれる。

徐々に集まる視線、それはこのテーブルだけではなく周りの異種族社員もご自慢の聴力を頼りに何かが起こることを嗅ぎつけている。


「謀ったっすね先輩!?」

「知るか」

「次郎さん、口元が笑っていますよ?」

「おっと」


アルコールが入って、表情筋が緩んでしまったみたいだ。

その間にも海堂への期待の視線は高まっていく。


「で? 何をやってくれるのよ?」

「そ~ねぇ、おねぇさん期待しちゃうわよ?」

「く~、やぁってやるっす!! 男海堂忠、大樽一気行くっすよ!!」



女性からの期待に対してシラケさせるなど言語道断。自棄ヤケになった海堂は、悪魔のウエイターに頼んで酒樽を注文する。


「御笑覧あれ!! 見事一気に成功したら奢るっすよ!!」


テーブルに立っての宣言に酒場は一気に盛り上がり、そこらかしこで歓声が上がる。

魔力で強化した腕は満杯の酒樽など赤子を持ち上げるように抱え上げ、周囲から聞こえる一気コールに、海堂の無茶が始まる。

幸いなことに、テーブルの上は殆ど空で、俺たちも水着の上にパーカーなどを羽織った濡れてもいい格好だ。

近くにシャワーもある酒をこぼす程度のことは大丈夫だ。

リバースしたとしても避ける程度は酔った状態でも造作もない身体能力はある。


「お~、いくもんだ」

「悪い人ですね」

「そうか?」

「ええ、その右手に持っているものを見れば一目瞭然ですよ?」

「バレたか、食べるか?」

「ええ、いただきます」


それでも対策はしておく。


「一気一気!! 一気でござるよ!!」

「ほらぁ!! 気合入れなさいよ!!」

「おねぇさんにカッコいいところを見せなさいよ!!」


何やら若干三名ほど周囲に溶け込んでドンちゃん騒いでいるが、俺はそこから一歩引いたところでジョッキとつまみの皿を持って離れていた。

それに気づいたスエラは、傍に寄ってくる。

そんな彼女に、チーズの乗った皿を差し出してやれば、その数は減る。


「魔法であの量の酒を飲むことはできるか?」

「身体強化の一種で、吸収作用を活発にさせる術式がありますので併用で体内の燃焼作用強化術式を展開すれば理論上は可能ですが」

「が?」

「アルコールが入った状態でできるかと聞かれれば私でも難しいですね」

「なら、離れて正解だな」


漫画やアニメじゃあるまい。

物量的にどうあがいてもあの量が海堂の体に収まるわけがない。


「ムグ!?」

「「「え?」」」

「ゴブロフォ!?」

「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」


遠からぬ未来、阿鼻叫喚の惨状が誕生する。

おそらくゲップか何かで飲むスピードが止まったのだろう。

嵐のまえの静けさ、ピタリと止まったあとの大噴火。

あとは胃の中に溜まった炭酸ガスが、メントスコーラのように爆散しただけに過ぎない。

大惨事に直面して女としてあげてはいけない悲鳴をあげながら、あるものは全力で後ずさり、あるものは魔法障壁で盛大な何かを防御し、あるものは隣りの野次馬を盾にしている。

各々の判断で吹き出た何かを回避しているのとさらにその光景を見て遠巻きで笑っているメンバーの差は見ていて面白い。


「ま、こうなるわな」

「わかっていたなら、止めればよかったのに」

「場の空気を壊すのはどうも気が引けてな」

「嘘ですね。また笑ってますよ?」

「アハハハ、そう言うスエラはどうなんだよ?」

「さぁ、どうでしょう。私は次郎さんのそばにいたかっただけなので」

「うわ、ずりぃな」


可愛らしい彼女の行動に、男の俺はそれ以上言うことはできない。

あとは惨状のあとで爆笑の渦の中心を眺め、誰がなんの行動をとったかは言えないが。


「何やってるのよ!?」

「うばら!?」


北宮の全力ストレートはなかなかのものだ。


「はぁ、店に迷惑をかけて」

「問題ないかと、この程度の汚れでしたら一瞬で片付きますので」

「便利ですね」

「お、勝とメモリア、お前らも無事だったか」

「なんとなく、予想ができましたので」


勝の危機察知能力は南で磨かれたのか、後の結末を予想していて飲み物と食べ物を確保していた。


「まさか、私に霧化を使わせるとは」

「お前は巻き込まれたのかよ」


しかしこの吸血鬼娘は興味津々であったがため、近場で見ていたらしい。

吸血鬼の奥義をこんな酒場の惨劇で披露する羽目になるとは誰が予想できた。

そもそもコイツは、ジャイアントや鬼族なら余裕だったろうが、人間が不可能だとは思わなかったのだろうか。


「見せるといったので」

「ああ、あいつはノリと勢いで生きてるからな」

「次回からは防御障壁を張っておきます」

「見るのかよ」

「人間は興味がつきませんので」

「お前、変わり種って言われないか?」

「言われますね。なぜでしょう?」


酒が入っている影響もあるかもしれないが、割と失礼な言葉をいっている自覚はある。

なのにメモリアは可愛らしく首をかしげるのだがその姿は


「その顔は理由がわかって俺に聞いているな?」

「こうやれば人間の男は魅了されると日本の本に書いてあったのですが」


端的に言えばあざとかった。


「わざとらしいんだよ。ちなみに参考にした資料は?」

「異性を落とす技(表情編)百選ですが」


どこから突っ込めばいいのかわからない。

それを作った出版社に向かって突っ込めばいいのか、それを買うファンタジーの住人であるコイツに突っ込めばいいのか、はたまたそれを実践しようとしてターゲットを俺にしたことを突っ込めばいいのか。

まぁ、どっちにしろ言えることは


「手応えは?」

「やられているあなたの方がわかるかと」

「なら、もう少し手段を考えろ」

「では、別の手段を考えます」


成果を問うしかなくなる。


「できればそういうのは、やってほしくはないのですが」


おう、右腕が幸せの感触に包まれた。


「第一の座は譲りますので、第二あたりを渡してくれれば私は構わないのですが」

「そう言われると、私としても考えないわけにはいかないのですが」


はい、ちょっと待とうかファンタジーの方々。

ここは日本なのだが、本人の意思を無視して何故話はファンタジー基準で進むのだろうか?

スエラがちらりとこっちを見てくるので一応は会話に入れてもらえるようで。


「あ~、男としては嬉しいがあいにくと今の俺に二人も養う甲斐性はなくてな」

「この日本では、共働きというのが日常なのでは? それに安心してください。自分の子供くらい養える貯蓄はありますので」

「ああ、その通りだよ畜生!! 妙に日本の事情に詳しいなオイ!! だけど男のプライドはズタズタだがな!?」


NOと言えない日本人、優柔不断な日本人、そのどちらとも捉えられる返答したのがまずかったのか、遠まわしにプロポーズされてしまったよ。


「……なんで俺なんだ?」


こう言ってはなんだが、顔は平均以上ではあるがモデルとかができるほど整っているわけでもなく、特段性格が良いわけでも財力があるわけでもない。

魔王軍的に言わせれば、強さだって底辺の部類に入るだろう。

客観的に見ればこうやって間接的とは言え、美女二人と結婚できるような雰囲気を作れる方がおかしい。

反対の手に持った酒を呷って少し冷静になり、理由を聞く。

俺からしてみれば、特段何かをした記憶があるわけではない。感覚的には仲のいい店員って感じだったんだが


「? あなたからアプローチしてきたのではありませんか、私はそれに応えたに過ぎません」

「は? なにを痛い痛い!? スエラさん、男として最低のことをやったという証言証拠が出てきたのですが! 弁明の機会を!?」

「何やっているのよあんた?」

「お? 修羅場な雰囲気でござるなリーダー?」

「楽しそうね~スエラ~何やってるのよ?」


一転、浮気現場を取り押さえられた男の惨状となってしまった。

そこにタイミング悪く、海堂を除く残りのメンバーもやってくる。


「説明を求めます」

「いや、心当たりグカ!?」

「せ・つ・め・い・を?」

「あんた本当に何やったのよ、まさかあんたも浮気を?」

「うわ、リーダーって」

「リーダー」

「次郎君? せめてスエラに説明してから第二夫人は決めようね」


今俺の株価が絶望的に下がっている気がする!

あと、ケイリィさんあなたが言っていることは何か違うからな!

幸せの感触が、俺の右腕を締め上げ軋ませ、それに耐えうる頑強さが今の俺に備わっている。

なのでこうやって痛みに耐えながら弁明するために記憶を掘り起こすことができるのだが、一向に思い出せない。

アプローチ?

アプローチ、アプローチ、あ!?


「……!?」

「覚えがあるのですね?」

「最初か!? でもあれはただなんとなくでやったことで!?」

「そうなのですか?」


思い当たる出来事を思い出した瞬間は腕が折れたと思ったが、奇跡的に無事だった。

話はどうやら聞いてくれるらしく。

問答無用とならなかっただけマシだが、これで有罪判定をくらったらさすがにシャレにならない。


「はぁはぁ、あれだろ? お前が店の準備ができてなくて、商品出しを手伝ったときのこと。まだ駆け出しだった頃の話だ」

「それですね」


思い出して、客観的いやメモリアからの視点で見れば男が女に不器用にアプローチしようとしていたように見えなくはない。

その後もダンジョンの戦利品は全てメモリアのところで換金していた。

冒険者ギルドなる便利な換金所がないので、結果的に道具屋のメモリアのところに売っていたわけだが、それがアプローチを続けていた男に見えなくもない。

査定をしているあいだも、雑談やメモリアのことについて聞いた記憶もある。


「そういうことだろ?」

「はい」

「ああ、それは」

「なんていうか、これは」

「勘違い?で済むのでござろうか」

「あ~、あいつの件か~」


アプローチの経緯を話してやると、スエラとメモリアを除くメンバーは納得と疑問の狭間で混乱している。

唯一人事を担当しているケイリィさんは思い当たるフシがあったみたいだ。

株価の下落は防げたが、何とも言えない年上のプライドは傷ついた気がする。


「それで、次郎さんはどうしますか?」

「どうって……いや、スエラ?」


どうするも何も普通に考えれば浮気するかしないかを問い詰められているのだろうか?

だったらその答えはNOだ。

俺は今もスエラが好きで、浮気するつもりはない。

それがわからないのか?

いやスエラは冷静だった。

俺が浮気? 付き合う前からの行動だから違う気がするが、その気がないのはわかってから冷静になった気がする。


「私としては、真剣に考えてくれるなら構いませんよ」

「は?」

「正妻公認キタァでござるよ!!」

「うわ、二股認めるってすっごいわね」

「おい、南いきなり耳押さえるな痛い。あと聞こえない」


冷静に爆弾を叩き落としてきた。

代わりに俺は混乱し始めたが、彼女が止まる様子はない。


「ここで私を理由に彼女の気持ちを断るのはあなたの気持ちを私がねじ曲げたことになりますから。それは私が嫌です」

「あ、甘いでござる」

「あ~、そこの店員さん。ビール頂戴、飲んでないとやってられないわ」

「拙者はアイスコーヒーを」

「大人になったわねぇ」


外野に構わず、話は進んでいく。


「それに、彼女も真剣に考えたはずですし、あなたなら私をないがしろにすることはないと思います。だからどうか、彼女の思いを真剣に考えてくれませんか?」


彼女たち、イスアルの住人ではこういったことは当人同士が認めていれば問題ないというのが常識だ。

だったら、彼女の言葉は本心なのだろう。

もしかしたら試されているという可能性も捨てきれないが、


「……」


その可能性はないだろう。

まっすぐスエラの目を見たが、本気だ。


「「「……」」」

「てめぇらは散れや!!!」

「「「っち」」」


いらぬ外野も集まってきたので猿叫の応用で散らす。

できればパーティメンバーも遠慮してほしいのだが、


「ワクワクでござる! あたぁ!?」

「おら、あっちで飯でも食ってるぞ」

「ま~さ~る~」

「あ~はいはい、あたしも向こうでお酒でも飲んでるわよ」

「あ、あたしも行くわよ。スエラ~がんばってねぇ」


うちのメンバーは頼りになる。

立ち去っていくのを見送って、俺とスエラ、そしてメモリアだけになる。

酒場の隅、窓際で海が見える絶景のスポット。

そこでメモリアはじっと俺の答えを待っていた。


「あ~、俺彼女がいるぞ?」

「知っています」

「別に出世頭というわけでもないぞ?」

「構いません」

「俺、別にハーレムってのに憧れているわけではないのだが」

「慣れてください」

「平等に接する自信はないぞ」

「寂しい時は私から行くので」

「人間だぞ?」

「私は変わり種らしいので」

「……先に、死ぬのは俺だ」

「では、あなたがいたという証を私に残してください」

「お前、漢らしいな」

「それは初めて言われました」


すべての答えがイエスよりの答え。

ここまで来たら、俺も腹を括る。


「いいか、今から最低のことを言うぞ」

「はい」

「俺はスエラが好きだ」

「はい」

「お前のことは仲のいい店員としか思っていなかった」

「はい」

「正直どう接したらいいかわからない」

「はい」

「だから」

「はい」

「これから、お前を好きになる」

「はい」


晴れて二股宣言をかました。


「はぁ、それでいいか?」

「最後のため息がなければ満点でした」

「無茶言うなよ」


彼女が背後にいる中で堂々と二股を実行できるほど、俺のキモは太くない。

いつ背後から魔法が飛んでくるかわからないほどヒヤヒヤもの、最悪この二人で戦闘になるとなったらと思うと今でもこの選択で良かったのかと思う。


「あ~、すまんスエラ」

「いえ、なんとなくそんな気はしていましたよ」

「俺が浮気するって?」


それはひどいなと思い、実際現在進行形で傍から見れば浮気しているようなものだ。

笑いながら否定できないと言うしかない。

苦笑しテーブルに置いた酒を手に取り一口含む。


「いいえ、次郎さんは浮気はしないですよ」


しかし、それをスエラはやんわりと否定する。


「何を根拠に?」

「それは秘密です」

「なんだよそれ?」

「女性には秘密がつきもの、向こうとこっちの共通の常識ですよ」

「そうなのかメモリア?」

「ええ」


何がなんだかわからないが、すでにスエラとメモリアは何かしらの共通認識を持っているらしい。

俺の前で、二人は笑っている。


「まさかこんなモテ期が来るとは思わなかったよ」


片方はダークエルフ、もう片方は吸血鬼、タイプは違うが両方共美人なのは間違いない。

現実ではありえない異色の組み合わせだ。


「うれしいですか?」

「意地悪な質問だなスエラ、普通なら否定もできない肯定もできないが、ああ、今の俺は嬉しいと思っているよ」

「なら、私も思いを告げた甲斐はあったということですね」

「できれば、このタイミングは止めてほしかったな」

「反省はします。ですが、後悔はしていません」

「そうしてくれ」

「はい、ですが、反省ももう少し後ですることとします」

「あ? っ!?」

「ん、これがキスですか、悪くありませんね」

「お前」

「いいではないですか。スエラには一歩どころか数歩後れをとっています。次回からは雰囲気も加味しますので」


初めての吸血鬼とのキスは血の味はせず、冷たくとも情熱的なキスだった。

わずか数秒の接触、こっちの口を絡め舐め取るような行為に酒の酔いとは別の熱を感じさせる。


「次郎さん」

「はいはいっと」

「あ」


そして、さすがの俺でもこのあとはわかる。

世のハーレム主人公が鈍感というのはこういった気苦労を少なくするためなのではないだろうか?

まぁ、役得に何言ってるんだと世の中の男どもからは文句言われるだろうし、俺自身も選び喜んでいるフシがあるので、答えさせてもらうが。


「今は、これで我慢してくれ」

「はい」


積極的になるにもこれが限界だ。


「せぇんむぅぷぁい~なにやってるっすか~?」

「おう、海堂いきてたか?」

「生きてたか? じゃないっすよ!! 何、一人ラブコメ展開やってるっすか!? 俺は酒まみれになって大惨事になってシャワー浴びているあいだに彼女増やして!! モゲロッス!?」


それにどうやらラブコメ的展開はこれで終わりらしい。


「終わったでござるか?」

「はぁ、振られたかもしれない日になんであたしはこんな場所にいるんだか、まったく厄日ね」

「あはは、おめでとう次郎君、これで君も立派な魔王軍の一員だね」

「海堂先輩、食べますか?」


スタンバイしていたのか、雰囲気を察してか、はたまた海堂の叫び声に呼び寄せられたか、元のメンバーが勢揃いした。


「こうなったらやけ食いっす!! もう俺の行動を誰も止められないっすよ!!」

「フードファイトの鬼ここに誕生する。ん~タイトル的にはイマイチでござるねぇ」

「そんなんだから、あんたはモテないのよ」

「今言ってはいけないことを言ったっすねぇ!! フラレ女には俺の気持ちなんてわからないっすねぇ!!」

「いいわよ、その喧嘩買ってやるわ。凍りづけになる覚悟はいいわね?」

「程々にしておけよ」

「「先輩 (あんた)が言うな(っす)!!」


元のどんちゃん騒ぎも再開、結局騒がしくなる一日である。


ブツン


「あ? 停電か」

「……これは」

「スエラ?」

「ありえません、ここはダンジョン内、停電なんてそんな」


一日になりそうであった。

照明という照明の明かりが消え、辺り一帯は一気に暗くなる。

俺たちテスターは停電だと呑気に感じていたが、魔王軍のメンバーは反応が違った。

ざわめきにピリピリとした雰囲気が漂い始める。

その空気に嫌な臭いが立ち込める。

ブラック企業に勤めていた時に感じた嫌な予感と、テスターになってからの危機察知能力が警鐘を鳴らしている。


「はぁ、休日くらいゆっくりさせてほしいな」


口調はのんびりしているが、俺の表情は一気に酔いを飛ばし引き締まっていくのがわかった。


田中次郎 二十八歳 独身

彼女 スエラ・ヘンデルバーグ 

メモリア・トリス

職業 ダンジョンテスター(正社員)+リクルーター

魔力適性八(将軍クラス)

役職 戦士



今日の一言

休みの日くらい、全日で満喫させてほしいのが社会人の願望だ。

休日中の呼び出しほどNGなものはない。


この話は以上です。

日常編から次回から戦闘編、助っ人を参戦させながらの構成で進みたいと思います。

これからも勇者が攻略できないダンジョンを作ろう!!をよろしくお願いします。

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[一言] ハーレム…もうええわ ここで無理
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