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僕らだけの世界  作者: liamu
1/2

始まり

もしよければ読んでください。

文才がなくてすみません!

声が聞こえた

 思わず耳を塞ぎたくなるような

 人間の悲痛な叫びだった

 自分にはもう何も残っていなかった

 でも、ただ一つ確かなこと

 そのとき私は―――――――――――― プツッ


                  


タッタッタッタッタッ

 徐々に、にぎやかさを増していく校内。登校してくる生徒は早速談笑を始め、明るい笑い声がこだまする。先ほどまでの静けさは、まるでどこか遠くへ行ってしまったようだ。窓からは涼風が柔らかく頬を撫でてゆき、夏の終わりを告げた今の季節にはちょうど良い心地よさである。あいにく今朝は曇り空ではあったが、爽やかさを感じさせる一日の始まりだといえた。

 そんな中、今現在北陵中学一年相原由香は一直線に廊下を駆け抜けていた。額には玉汗が浮かんでおり、場違いともいえる雰囲気を一人かもし出している。その顔に浮かぶ表情は強張っており、周りの生徒は不思議そうに彼女の後姿を見送っていたが、それ以上はもうみな興味をなくしたようで、またもや談笑を始めた。

「おはよう!!!」

勢いよく教室のドアを開け放つ。そこには、1年1組のいつもの顔ぶれが、同時に驚いた顔でこちらを見ていた。その中で、驚きわしたものの、周りよりいち早く呆れたため息をつく少年がいた。その少年の名は

「そんな顔しなくていいじゃないか蓮」

「お前のせいだろうが」

宮園蓮。相原由香の幼馴染である。由香曰く、「名前だけは立派」なのだそうだが、蓮はなんだかんだ一目置かれる容姿をしているため、あまり隅に置けるような奴ではない。まぁ、それを言えば由香も例外ではないのだが。

「ていうかお前、なんでそんなに汗かいてんだよ。見るからに暑苦しいぞ」

「最高塔から全速力で走ってきたという努力の証だっ」

「な~んかお前、馬鹿なのがひしひしと伝わってくるよなー」

「なにをっ」

「まあまあ、それくらいにしときなって」

そうやって苦笑交じりにこちらに歩いてきたのは、小野崎日向だった。

「ねぇ、真莉奈」

日向はそう言って後ろを振り返る。

「・・・・・・・」

「真莉奈もこういってるしさ」

「「・・・・・・・・・・・」」

坂野真莉奈。今は読書に没頭していてこっちには関心が向いていないようだが、日向と真莉奈を含めた私たち四人は、いつも一緒にいるグループの一つなのだ。

「・・・・・・・・それよりお前・・・・おい、由香っ、汗だくになってまで走ってきた理由はなんだ。なんかあったんだろ?」

一瞬ぼうっとしていた私は、蓮の声で我に返った。

「あぁ、うん。私、今日は最高塔の管理で早めに学校来てたんだけど・・・・・・・」

最高塔とは、この学校の最上階といえる五階の塔のことである。この学校はなかなか豪華なつくりをしており、塔まで合わせて五階建てのため、かなり大きい学校だ。まあ、そもそもこんな外見になったのは設立者の趣味からできたそうだが。そして、肝心な塔には何があるのかというと、図書委員だけが入れる書庫なのだが・・・・・

キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン・・・・・

「ホームルーム始めるぞー、席付け~」

教室に入ってきた先生を見て、ぞろぞろと席へつく生徒。

「また後で聞くから、席もどれ」

蓮にそう言われて、私も渋々と席に戻ったのだった。



「で?お前なんでここにいんだよ」

蓮の顔は、由香を見るや否や顔をゆがませた。

「ん~幼馴染の特権?」

「んな特権あってたまるかよ、俺今部活帰りで疲れてんだけど」

「まあまあ、だって蓮、後で話聞くって言ったじゃん」

「今日とはいってないだろ」

「私が今日が良かったんだよ」

「自分勝手な奴だよな、お前」

「誰が自分勝手よ」

「そのまんまだろ」

蓮はため息をつきながらも、こちらに歩み寄り腰を下ろした。

蓮にとって、帰ってくると、他人ひとの部屋で勝手にくつろぐ幼馴染が何故かいるという状況が、何も不思議なことではないという考えに陥ってしまっているため、それ自体を自覚する彼はそんな自分に頭を抱えつつある。

「で?今日がいいって言うんなら、それほどのことなんだろ」

「よく分かっていらっしゃる」

「いいから、さっさと言え」

「・・・・・・ん、まずこれ見て」

妙に上から目線の蓮を軽く横目で見ながら由香は続けた。そうして、一冊の本と何やら書かれた冊子を取り出す。

「これがどうかしたのか?」

「うん。まずはこっち・・・・・」

そういって由香はまず冊子を蓮のほうに向ける。蓮はそれを受け取って軽く目を通してみる。

「子供がきえた?大規模な消失事件?」

「そっ、まあでも、消失事件ってのは大げさなんだけどね。世間から見たらそんな風に見えたみたいだよ。ある中学校で一学年の生徒が次々に学校をやめていったらしくて、ついには全員の生徒がこの学校から去って行ったらしいの。最終的には一学年だけポッカリ空いっちゃったって感じで」

「ふ~ん、ってこれ六年前のじゃねえか。よく騒ぎになってないな。俺らが・・・・えーと、小学一年の時か、」

「そうなんだけど・・・・・・・・・私、騒ぎになった記憶なんてないんだよね」

「そんなの、俺もないよ。というか、そもそも何でうちの学校にこんな冊子があるのかっていう事からおかしいだろ。だって内容からしてみても、それ雑誌の原稿なんじゃ・・・・・」

「ま、これは置いといて・・・・・はい、次こっちっ」

「・・・・・・・・・・それはもういいのかよ」

「どっちかっていうと、ここからが本題」

「はいはい、じゃあさっさと調査結果をご報告をお願いいたします」

「えぇ、報告します」

「のるのかよっ・・・・・ふざけただけだ馬鹿・・普通に言え、もう、・・・・・」

「うん、まあ、でこの本のこのページ」

蓮は、由香が開いたページを覗き込むようにしてみた。

「って、なんだこれ」

それは、思わず目を見張るもので。

「ね、あまりにも似すぎてる」


そこに書かれているのは、全くと言っていいほど六年前の事件と同じ内容だった。



ありがとうございました!

また読んで下さるとうれしいです。

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