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「よし、教会破壊でもしましょうか」
《いきなりそれかよ。やるのは別にいいけれど、一般人がいない時にしろよ》
「そうね。なるべくそうするつもりよ」
何日かをかけてその街を見て回った。
レイシアはそして、教会を破壊しようと決意したようだ。普通の考え方を持っている者はまず教会を破壊するなんて考えを持つことはないだろうが、そこはレイシアなので仕方がない。
霧夜は少し呆れた様子を見せながらも、何だかんだとめる気もないようだった。
レイシアと霧夜にとって、教会というのは敵である。
『魔剣』という存在を聖教会は認めない。レイシアという存在だけなら彼らは認めるかもしれない。だけど、『魔剣』を使うことは認められない。
だからこそ、敵対する未来しかない。
レアシリヤという場所を知られれば、まず潰される。その国が公になれば、あらゆる『魔剣』と敵対する者達がおしかけ、国が新たに出来る事など認めない連中が押し掛け、それでいてその場所を手に入れたいと思っているものが押し掛けるだろう。
それだけレイシアが作ろうとしている国には、敵対者が多い。寧ろ味方は国民達以外に居ないという状態であると言えるだろう。
街をぶらぶらと見て回る中で、邪神のようなものを信仰しているような存在も見かけた。これは『魔剣』である霧夜だからこそ見つけられたと言えるだろう。
邪神と呼ばれる存在は、この世界でそれなりに身近である。
レイシアに加護を与えているのは、戦神レオソドアである。だけどこの加護というもの、邪悪な神のような存在が悪人に加護を与えることも当然ある。邪神を崇める者たちは、色々とやらかしている。善良な人々を生贄に支えたり、『魔剣』を悪用したり――そういうことを起こす存在である。
そもそも『魔剣』を悪用するものが多かったからこそ、『魔剣』というものは悪い印象を持たれている。そもそも霧夜はともかくとして他の『魔剣』は自我なんてないので、それも仕方がないが。
「ふーん、あいつらを上手く動かそうか? 私たちがやったってわからないようにしながら、扇動する。それってとっても楽しいと思わない?」
《まあ、そうだな。上手く扇動出来れば、俺たちの作る国へ構う暇がなくなるだろうし》
レイシアも霧夜も、自分の目的のためには何だって行うような者たちである。霧夜も良心はあるけれど、『魔剣』として生きてきたのが長いため、躊躇わない時は躊躇わない。
気づかれないように、ひっそりと聖教会の力を削ぐことが、彼らの目標である。邪教徒のことを扇動して、好き勝手ににし、そして秘密裏に教会を破壊することも決める。
まずは、邪教徒たちを上手く動かして、その隙に派手にやる。
それを決めると、レイシアは何だか楽しそうな笑みをこぼしている。霧夜も《災厄の魔剣》として長年生きているが、そこまで派手に教会を破壊したことはないので何だかんだ乗り気である。
破壊する教会の目ぼしもつけた。
この街でもっとも大きな教会。この街のシンボルのような場所を、破壊することを決める。
邪教徒たちは、人型になった霧夜が動かした。普段は『魔剣』の姿になっているので、人の姿の霧夜と『魔剣』の霧夜を結びつけるものはあまりいない。だからこそ、そういう行動を起こした。
邪教徒たちは、霧夜の存在を訝しんだようだが、聖教会に一泡吹かせたいと言う思いがあったようで霧夜の誘いに乗った。まぁ、邪教徒の中には麻薬中毒者で、思考することもままならない存在もいた。
彼らを上手く動かし、少しずつその街を混乱に陥らせていく。
「アキって本当にそういうの得意よね」
《俺は長生きしているからな。それに『魔剣』として色んな人を見てきたからこそああいうのは動かしやすいんだよ》
霧夜は『魔剣』である。意思のある『魔剣』である霧夜は、周りの会話を聞き続けていた。そして色んな人を見続けた。だからこそ、簡単に人を動かし、惑わすことだって出来る。
そんな霧夜に、レイシアは面白そうに笑った。
徐々に混乱に陥っていたその街。
レイシアと霧夜は、動き出すことにした。
教会を破壊すると言うその目的のために。
どうやって破壊するか? それは単純である。《災厄の魔剣》と呼ばれる霧夜の力を使って、思いっきり切りかかる。上手く霧夜が魔力を使えば、その位できる。
ただし霧夜がそれをやると大分疲労するのだが。
それでもこの聖教会に衝撃を与えることを目的にしているので、それを行うことにする。
その日は、聖教会の行事があるため、一般人はその教会内に居ない日だった。だからこそ、決行する。
レイシアは、その大きな教会の近くにいく。昼間の人気が多い時間。そこにレイシアは顔を隠している。人が多い場所なので、あまり注目は浴びていない。
そこで霧夜が、自分の刀身に魔力を込める。そして魔力がその場に広がる。その瞬間、一部の人から注目を浴びる。だけどレイシアも霧夜もそれでは止まらない。レイシアが跳躍し、思いっきり霧夜を振り下ろした。
たったそれだけである。
それだけで、その教会は破壊された。これはレイシアと霧夜の力が合わさった結果と言えるだろう。そして周りがざわめく。その喧噪の中、レイシアはそのまま駆け出した。




