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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第五章 魔剣と少女と国民探し

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 レイシアは久しぶりに訪れた故郷のある大陸に訪れ、その気持ちを高揚させていた。レイシアは国が滅びてから、様々な場所を見て回った。生き抜くためには何だってした。元王女だと思えないほどに、様々なことを行い、レイシアは此処に居る。

 自分が『魔剣』を携えて、此処に戻ってきたことにレイシアは何だか愉快な気持ちになった。

《レイシアは滅んでから故郷を訪れたことはあるのか?》

「ないわよ。私っていう存在は故郷に足を踏み入れるには色々とややこしいもの。私は祖国に負けない国を作りたいと思っていて、祖国を復興したいわけじゃないもの」

 レイシアはそのあたりを何処までも割り切っている存在である。

 ――今まであったものを取り戻すではなく、新しいものを手に入れたいとそう望んでいる。何処までも前だけを向き続ける少女は、過去ばかり見ている存在とは相いれない。

 ラインガルを復興したいと望むものを、レイシアは切り捨てる。新しく国を作ることが重要なのだ。

(……俺とレイシアは結構ぶらぶらしながら国民探ししているけれど村の方はどうなってるか。これで戻った時に村が滅んでいてもそれはそれでレイシアがどうするんだろうって面白いけど、出来れば残ったままだといいか。レイシアは例え何かあったとしても国造りは諦めないだろうけど、面白そうなことは上手く行った方がいいし)

 霧夜はレイシアに抱えられながらそんなことを考えていた。

 霧夜は人間だった過去があろうとも、その本性はすっかり『魔剣』である。『魔剣』である霧夜は、村が滅んでいたら滅んでいたでそれはそれでいいと思っている。まぁ、人間だった頃の感性からすると滅んでいない方がいいとは思っているが。

 レイシアの故郷であったラインガルは、隣国に吸収されていった。ラインガルとは、強者の国であった。王家が圧倒的な強さを保持し、王家への求心力が強かった。

 ――レイシアの両親はその強さを誇示することがなく、それで打倒された。そしてラインガルは吸収された。

 しかし元々強さで求心力を集めていたその国の国民達は、強さに惹かれる者ばかりである。……ラインガルの王家を自分で倒しておきながら、ラインガルを復興しようと求めている。彼らは吸収されてもラインガルの面影を求めているのだ。

 正直言ってレイシアはそれに対して自分勝手だなと思っている。

「自分勝手よねぇ。ラインガルを復興したいと望んで行動しているなんて」

《レイシアを見つけたらすぐに殺到しそうだな》

「ふふ、私はラインガルには何も思ってないわ。私が欲しいのは自分が作る自分の国家だもの。私はラインガルの姫であったレイシア・ラインガルとしてではなく、ただのレイシアとして国を興すのよ。寧ろその昔の肩書は私には必要がないわ」

 レイシアにとっては、ラインガルというその肩書は必要ない。ラインガルを復興させたいとも思っていない。

 だけれどもこうしてラインガルのあった大陸をうろうろするだけでも、ラインガルの民の反乱の噂は聞こえてくる。ラインガルを独立させ、復興させようと望んでいるらしい。そのため、そのあたりは治安が悪いんだとか。

 霧夜はその噂を聞きながらレイシアとそのラインガルを復興させようとしている者たちとの間にある深く大きな溝に面白くて仕方がない。

(この大陸だからこそ色んな事が起こるだろう。レイシアに暴走されるのは困るけれどちょっと出会ったら出会ったで面白そう。でもあれか。国造りを成功させるためにはそういうことにならない方がいいだろうけど。村に戻ったらまた面白いことになっている可能性もあるし。レイシアの暴走を俺だけで止めるの疲れるし、村に帰るのを心待ちにしてしまうな)

 霧夜は『魔剣』としての感覚も、人間だった時の感覚も、持っている。だからこそそういう考え方をしているのだと言えるだろう。

「アキ、なんか面白そうなことをやっているわよ」

 レイシアがそう口にするので、霧夜はそちらに意識を向ける。そこにいるのは、絡まれている女性である。周りにはガラが悪そうな男性がいる。周りは見て見ぬふりをしている。レイシアも目立ちたくないのならば、そこに関わるべきではないだろう。

 だけど霧夜はレイシアの表情を見て、「あ、こいつ関わる気満々だ」ということに当然気づいた。

《レイシア、言っておくが、ああいう明らかに権力とか関わってそうなのとは関わらない方がいいんだからな? 言っても仕方ないだろうけど》

「ふふ、流石ね。よく分かっているじゃない。私はもうアレに関わる気満々よ。力がある事は良いことよ。力があればなんだって出来ると思うわ。でもああいう、力があるものが力がないものをどうにかするのは、正直あんまり好きじゃないの。かっこ悪いもの」

 レイシアはただ気に食わないという思いのみで、女性と男たちの間に割って入った。




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