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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第五章 魔剣と少女と国民探し

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 彼らは人とは異なる外見を持っている。

 そこには人ならざるものの血が確かに混じっていた。人間と異なる者の血が一欠けらでも混ざれば、後々生まれる子供たちは人間とは異なる外見になることが当然ある。

 ――彼らは、遥か昔にその人間とは異なる血を交えてしまった。その結果、その身には人間と異なる点が見られた。

 その背は小さく、女性も男性もその身体は毛が濃い。そしてその力は人間よりも強い。

 それはドワーフと呼ばれる鍛冶が得意な種族である。その種族はあまり人間の前には出てこない種族である。その存在は人里離れた場所にいることが多い。

 それはドワーフ自身が人に利用されていることが多かったからであるといえるだろう。鍛冶が得意であるということは、それだけ上質な武器を作れるということである。

 上質な武器な防具を手に入れることが出来れば、それだけで戦争というものは有利に動いていく。――それだけの理由だけで、ドワーフというのは利用され続けたのだ

 物を作ることに長けているドワーフはモノづくりというのが好きな種族だ。しかし、人殺しのための道具を作り続けることを望むわけではない。

 そしてドワーフは、人間の前から姿を消した。中には人の国と友好関係を築いている変わり者のドワーフもいるが、ドワーフというのは人間の前に出ないことが多い。

 ――ドワーフの純血であるのならば、彼らも問題はなかったかもしれない。しかし人間とドワーフの混血である彼らは、どちらにも受けいられなかった。何が悪かったかといえば、中途半端な存在が悪かったというべきだろうか……。

 彼らは居場所もなく、放浪していた。そんな中で一欠けらの希望を持って、彼らはこのキレイドアにある街にやってきた。でも結果は何処でも同じだった。このキレイドアのある大陸は他の大陸とは価値観が異なるが、それでもこの大陸でも人間とドワーフの混血というのが当たり前のように存在しているわけではない。

 落胆し、彼らは肩を落とす。

 だけどその肩に手が置かれる。

「ねぇ、貴方達、私と話さない?」

 その言葉に彼らは振り向き、驚く。

 ドワーフもどき、人間もどき――といったそういった蔑称で呼ばれてしまうような自分に見目美しい少女が話しかけてくるとは思えなかったからと言えるだろう。

 それにその目はとても強い意志を持っている。その瞳に見つめられると、中々そらせないものだ。

 『魔剣』である霧夜は剣の姿なので、レイシアと目が合うということはない。だけれど、レイシアという存在の意思の強い瞳がどれだけ人を惹きつけているかは共に過ごして居れば理解出来るものである。

「お、俺たちと?」

「でも俺達は……こんなんだぞ?」

 彼らは信じられないといった目をレイシアに向ける。

 周りに視線を巡らせるのは、周りからの注目を受けているからと言えるだろう。この街の人々は人間とドワーフの混血であり、明らかに人間とは異なる彼らのことを敬遠しているようだ。だからこそ、彼らはレイシアのことを心配しているようだ。

 自分たちに話しかけるなんて……とレイシアの今後を心配しているのだ。

 霧夜からしてみれば、そんな心配は不要である。何故ならレイシアはそんなことを気にすることはない。レイシアという存在は、そういう周りの目は全く気にしない。

 周りのことを気にするような人間は、そもそも国など作ろうとなどするはずがない。

 寧ろ周りのことを気にせず、自分がルールを作る!! と思っているのだ。

「そんなの関係ないわ!! いいから、一緒に話しましょう」

 レイシアは強引である。

 彼らが困惑していても、無理やり連れて行く――、なんともまぁ、自由気ままのである。それがレイシアという存在なのである。

(相変わらず強引だな。というか、強引だからこそ、こうして国を作ろうとするのが出来るんだろうな。人間だった頃の俺なんて、人の意見に左右されるばかりだった。今は『魔剣』になったからこそ、今は自由に生きているけど……。俺は『魔剣』にならなきゃレイシアみたいに自由にはならなかっただろうな。それこそ、此処・・に来なければ俺は普通に生きていただろうし)

 霧夜はレイシアに背負われながらそんなことを考えていた。

 レイシアという少女は、まだ十代とは思えないほどにその性格は確立している。

「お、俺達に何の用だ?」

「俺達に話って……」

 そして彼らは裏路地に連れてこられて、困ったような表情をする。

 レイシアのような少女に何かをされるとは思っていないらしい。レイシアは加護があると知らなければ只の少女にしか見えないのだ。

「――ねぇ、居場所がないなら。私の元へ来なさいよ。私はどんな存在でも受け入れるわよ。だから、来なさい」

 レイシアは何の説明もなしにそれだけ言い放った。




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