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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第五章 魔剣と少女と国民探し

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「ジェラーラが人を集めてくれているから嬉しいわ。これで私の国の国民が増えるわ」

「お姉様のお力になれてとても嬉しいです。しかし私たちはただの浮浪児でしかありませんが、お姉様のお役に立てますでしょうか」

「そのようなことは一切、気にしなくていいわ。今はそうでも、私の国民になるんだもの。私の国民として誇りをもって行動をしてくれるなら元がなんだってかまわないもの」

 ……現在、レイシアは裏路地でジェラーラと会話を交わしている。

 その会話を聞いている霧夜は、本当に人たらしだなと考えながら何とも言えない気持ちである。

 すっかりレイシアに心酔してしまっているジェラーラは、行く当てもない浮浪児たちをレイシアの国民にしようと勧誘しているようだ。その勧誘の仕方はまるで宗教か何かの勧誘のようだったのを霧夜はこっそり覗き見して知っている。

 ――お姉様についていけば幸せになる。

 ――お姉様の傍にいれば幸福になれる。

 ――お姉様はやると決めたことをやり遂げる方だ。

 ――お姉様についていくことで私たちの生活は一新する。

 ――お姉様のやっていることを何でも信じなさい

 そう言った言葉を言い放っていた。あれだけの一瞬でジェラーラの心をつかみ取ってしまったレイシアは本当に変わった人間だと霧夜は思う。

「お姉様……私はお姉様に何処までもついて行きます!!」

「ふふ、嬉しいわ。いい子ね」

 レイシアがそう言って、ジェラーラの頭を撫でればジェラーラは気持ちよさそうな顔をする。霧夜は何を見せられているのだという気持ちになる。

「そうです、お姉様。浮浪児たちを最近攫おうとしている人たちがいるのです。お姉様が撃退してくださいましたが、まだ彼らはいます。お姉様の元へ共に行くと決めている者達も攫われそうになっておりました。大人数で行動をすることで攫われることは回避いたしましたが……。それと私たちがまとまったことで何か企んでいるのではと怪しんでいるものもいます」

「そう……私としては国に連れて帰ると大々的に言うのもいいけど……」

《駄目に決まってんだろうが。まだ国にもなっていないんだからな? 今キレイドアで国を作ろうとしているなんてバレたら国になる前につぶされるだけで終わりだと思うぞ》

 黙ってジェラーラとレイシアの話を聞いていた霧夜は、慌てて口を出す。ジェラーラもすっかり霧夜と挨拶も済ませており、突然声が聞こえていても戸惑う様子は一切ない。

 レイシアは霧夜の言葉に不満そうな顔をする。

「なら、どうすればいい? 私は退屈はしたくないわ」

《えーっとな、まず誘拐犯たちが何を行っているかは分からないが、レイシアがやりたいなら別に誘拐犯たちをとっちめるのはいいと思う。もちとん、それがレイシアだと分からないようにしてだな。もしレイシアが誰かを悟られたらややこしいことになるだろう? ただでさえ聖教会に睨まれているんだから》

「ええ、ええ。ではそうしましょう。思いっきり暴れたいもの。前にアキが言っていたニンジャのように華麗にこっそりやればいいでしょう!!」

《そうだな。誰か分からないようにやるなら賛成だ。それでだ、ジェラーラたちは怪しまれているというならさっさとキレイドアにいかせた方がいいだろう。魔物除けの道具を買わせていけば上手くやれば、いきてあの村に辿り着くだろう。ただ分散して悟られないようにやった方がいいな》

 霧夜としてみれば、国のためにも出来れば誰にも怪しまれないように何もことを起こさない方がいい。だけれども、レイシアを退屈させ、我慢させることは得策ではないのだ。我慢させ続けて、レイシアの我慢の限界がきても困る。レイシアの気晴らしのためにも誘拐犯たちをどうにかする方がいいだろうと霧夜は考えた。

 あと霧夜は忍者というものに昔から憧れているので、ニンジャプレイをするのに興味津々であるからというのもあるが。レイシアもニンジャという言葉を使えば霧夜が乗り気になるのを知っているので敢えて口にしている。

「よし、じゃあそうしましょう。

 ジェラーラ。貴方は私の国民達を連れてキレイドアに入りなさい。魔物除けを十分買うのよ? 命を失わないようにきちんとしなさい。命を失いそうになっても諦めることはしちゃだめよ。最後の最後まであきらめずに、村を目指しなさい」

 レイシアは霧夜の言葉に嬉しそうに頷いて、ジェラーラに向かってそう告げる。死なないように、といいくるめる。とはいえ、死なないようにといいくるめたところでキレイドアは危険なので、いきて村に辿り着く事は難しいだろう。

 レイシアからキレイドアの話を聞いて、そこに国を作ろうとする話を聞いたジェラーラはキレイドアが危険な場所であることは当然知っている。

 それでも、レイシアという少女に心惹かれ、心酔してしまったからこそ、彼女の心はぶれない。

「はい。お姉様。必ずや、私は生き残り、お姉様の作る国へとたどり着きます」

 ――躊躇いもせずにジェラーラはそう答えるのだった。




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