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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第五章 魔剣と少女と国民探し

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「餓えて苦しんでいる存在を国民に出来ないか? 何? アキっては優しい心にでも芽生えたの?」

 レイシアと合流して、先ほど思ったことを告げればレイシアは面白そうに微笑んでそんなことを言う。

 レイシアからしてみれば、霧夜がこのようなことを言ってくるとは思わなかったのだろう、ベッドに腰かけて楽しそうに笑っている。

 一度、外で合流した後宿屋に戻ったレイシアと霧夜はのんびりと会話を交わしている。

 レイシアはこの街を見て回る中で、面白いものがないかと探っていた。この街がどういう階級の人が、どんな風にここを統治しているかなどを情報収集をしている。

 レイシアは脳筋な存在であるが、王になるために学ぼうという意欲はある。王族として生まれ、姫として育ったとしても、レイシアは王族としての勉強はほとんどした経験はない。それは幼い頃に国が滅亡したからである。もし、自国が滅びることがなかったらレイシアはただのお姫様として健やかに過ごしていたかもしれない。そんな自分は想像は出来ないけど、きっと国が亡ばなかったらきっとレイシアはそうなっただろうと自分で思う。

 王であった父と、王妃であった母の記憶はそこまでない。幼かったから、そこまで覚えていない。

 ――王になるためにもどんな統治がされているか学んだ方が良いのだ。だからこそ、上級階級の人がどんなふうにこの街を統治しているかも学んだのだ。ちなみにこっそり領主の館にまで忍び込んだりしていたわけだが、そのことを言うと霧夜に怒られそうなのでレイシアはそれを暴露することはしなかった。……まぁ、忍び込んだとはいっても入り口を少し入ったぐらいだがそれでも悟られれば重罪である。

《そんなんじゃねぇよ。俺はただそういう存在なら一度入り込めれば、絶対に裏切らないって思えるから。この街の連中はそういう連中をいらないと思ってるんだ。要らないのならば、もらうのは構わないだろ? そう思っているだけだ》

「ふぅん。でもそれだけには見えないけど?」

 レイシアは勘が良いので、それだけでないことを分かっているらしい。

《あー……レイシアは本当に勘がいいよな。なんというか、俺が昔人間だった話はしただろ。人間だった頃の俺は決して強者ではなかった。世の中には強者と弱者がいて……、レイシアは生まれながら王族だし、加護を持っていて、どっちかっていると強者で持っている人だろ。俺はどっちかっていうと人間だった頃はではないから。なんていうか、その時のことを思い出したからなだけだ》

「へぇ」

 レイシアは霧夜が昔どんな人間だったかを知らない。

 けれど、以前の霧夜がそういう人間だったと言われてもレイシアは想像が出来ない。

 今の霧夜は『魔剣』だ。何よりも危険な存在で、《災厄の魔剣》と呼ばれる恐ろしい存在。その存在が弱者であったなどと言われても想像が出来ないのも仕方がない事だろう。

 レイシアもこの世が不平等なことは実感しているが、不平等だったとしても叶えたい願いがあるのならばどうにでも出来ると思っているのだ。

「アキはそういう風に思って、なんとなく気にしてるのね。それで、別に下手に甘ったれたことは言わないわよね?」

《それは大丈夫だ。俺は人間だった記憶があろうとも、本質は『魔剣』だから。そんな甘いことなんて言わないから安心しろ》

「ふぅん。ならいいわ。私は《災厄の魔剣》であるアキだからこそ、国造りに関わらせたいと思ったのであって、腑抜けた『魔剣』はいらないもの」

 本気で霧夜という存在が腑抜けてしまったら、そのまま霧夜を捨ててしまいそうなような雰囲気があった。

《ああ。分かってる。で、どうだ、賛成か?》

「そうね。まぁ、いいわ。アキがやりたいのならばそれもありだと思うわ。そういう存在を引き込めたら良い手駒にはきっとなるもの。で、どうやる? 脅す? それとも攫う?」

《いや、だからなんでそういう物騒な思考にいくんだよ。此処はだな。いい感じに心酔させるべきだろうが。こんな絶望だらけの生活の中で、レイシアみたいな見た目がいい奴が優しくしたらきっとコロッといくからな》

 物騒な思考に行くなと言いながら、霧夜も中々非人道的な事を言っていた。

 確かにレイシアという少女は中身はともかく、見た目というのはとても整っている。美しい見た目のレイシアはきっちりとした衣服を身に着ければ、本当にお姫様にしか見えないだろう。

 そんなレイシアが少しでも優しくすればくらっといくだろうという霧夜の意見も尤もである。

「私が優しくする? それいいの?」

《そうだな。優しい女神みたいな感じにしたらいいと思うが……。でも国民にするならそんなつぎはぎじゃダメだな。レイシアらしく、そのまんまでこの人についていきたいと思わせる優しさを見せればいい。あとは強さか?》

「まどろっこしいことはめんどくさいわ!! とりあえず会って話せばいいでしょ」

《……はあ、レイシアに色々言っても仕方がないか》

 本当はもっときちんと考えて、そういう存在と接触して国民にしたいのだが……レイシアはそういう予定を立ててもきっとうまくやれないだろうと霧夜は諦めるのであった。

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