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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第五章 魔剣と少女と国民探し

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 『災厄の魔剣・ゼクセウス』――人だった時の名は、暁霧夜。彼は、元人間だったというのもあり、その思想は人間らしいものである。

 『魔剣』らしく行動を起こすと決め、自由気ままに生きている霧夜だが、本質は人間だった頃と変わっているわけではない。

《忍者といえばやっぱりあれだよな。人目につかないように行動をして、行動を起こすだよな。目立った行動ではないかもしれないが、実は人知れず活躍しているっていうのが良いと思う》

「……滅茶苦茶喋るわね。とりあえず私はどうすべきかしら?」

《周りに悟られないように、国民に出来そうな奴らをまずはみつけることだな。見つけたとしてもすぐに行動をするんじゃないぞ? ちゃんとその存在たちについて調べたりして、きちんと国民にしていいかを調べてからだな》

「アキは本当に慎重ね。まどろっこしくない? というか、アキも人型になれるんだし、そういうこと手伝いなさいよ」

《……まぁ、それもありか。普段の姿は武器である魔剣。しかし人の姿で情報収集をする。うん、なんかいいな!!》

 霧夜はまるで幼い子供のようにはしゃいでいた。

 人の姿に変化すると魔力を多く食うし、長時間出来ることではない。だけれど、そういう条件のある姿だからこそ、ちょっとした無茶をして情報を集めたりなども出来るだろうと霧夜は考える。

「ひとまず、私は目立たないようにしながら国民に誘えそうなのを探せばいいのよね?」

《そうだな。くれぐれも問題を起こさずに何か変なものを見つけたら、一度、俺の方まで持ち帰ってくれよ?》

「……仕方ないわね。そのニンジャみたいにしてあげるっていったから、やってあげる。ただし、確約は出来ないわ」

《そうだな、レイシアは何かあれば飛び出しそうだもんな》

 だからこそ、レイシアを一人で外にやるのは正直言って不安である。とはいえ、二手に分かれて情報収集をしたほうが効率は良い。レイシアはひとまずは大人しくすると言ってくれたので、霧夜はそれを信じて別行動することにした。



 そして人気のない裏路地で霧夜は、人の姿へと変化する。

 レイシアは「じゃあ、私も行くわ」と言ってその場を去り、霧夜も行動を開始することにした。




 人の姿で街をうろうろすることなんてあまりない。

 霧夜はあくまで『魔剣』であり、疲れるのもあり、こういう街中で人の姿になるのは初めてだった。正直言って、国民探しではなく、遊びたい気持ちにも霧夜はなっていた。

 が、そのあたりは何だかんだ『魔剣』とはいえ真面目な霧夜である。レイシアにちゃんと国民探しをするようにいった手前、自分が真面目にやらないのは問題だろうと思い至った。

 そのため、霧夜は裏路地から出ると、情報収集をするために街をぶらぶらするのであった。この街は、織物が有名らしく、霧夜にとって信じられないほどの値段がつけられている服が売ってあったりもした。金持ちはこぞってそういう綺麗な服を着ている。どうやらどれだけ高価な織物を身に纏うかで、この街での序列が決まるみたいな感じらしい。

 外からやってきた旅人たちにとっては、永住しなければ特に問題のない街だ。旅人のことも街の金持ちたちは見下しているようだが、見下しているからこそ関わってくることはない。

 しかし、そういう街だからこそ、貧富の差は大きいと言えるかもしれない。金持ちたちがこぞって織物を購入し、経済を回している。しかし、お金のない貧困しているものたちは、ホームレスのようになっているのだ。

 『魔剣』である霧夜にとって、人が困窮しようが正直言ってどうでもいい話だ。しかしだ、霧夜は人間だった頃の記憶を持ち合わせていて、その根本的な部分は人間だった頃の性格が根付いている。

 ――だからこそ、目の前で餓えて苦しむ存在を見て、少しだけ何とも言えない気持ちになる。

(……人間だった頃のことを思い出したからか。あれだな、お金を持つというのは一種の強さで、その強さがないからこそ、目の前の連中は生活が苦しいんだろうな。しかし、ちょっと何とも言えない気持ちになる。でもこういう切羽詰まった連中ならレイシアの作る国に誘うことが出来るだろうか)

 霧夜は心から彼らを助けたいとか、可哀そうだとか、そういう感情を抱いているわけではない。ただ霧夜は少しだけそういう存在を見て心を動かされ、国民に出来るだろうかと考える。

(ただ今すぐは行動はしない。レイシアにちゃんと聞いてからだな。あくまで俺はレイシアに使われている『魔剣』だし、下手に行動を起こすなとレイシアに言っているわけだし、俺もそういう行動を起こすわけにもいかないし)

 霧夜はそんなことを考え、一先ずこの街の富裕層と貧困層がどのくらいいるかなどの調査をすることにした。




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