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「私とアキで国民探し? 何よ、それ、超楽しそうじゃない!! 今すぐ行きましょう!!」
《ちょっと待て、俺たちが離れても大丈夫なように準備はしているけどな。もうちょっと準備しようぜ? 俺は武器だからいいけど、レイシアは人だから自分の準備も必要だろ? 聞いてすぐに村を出ようとするんじゃねーよ》
レイシアは霧夜たちの予想通り、今にも飛び出しそうになっていた。どれだけここでの日々を退屈に感じていたのだろうか。
レイシアたちが離れても大丈夫なように村の方では準備は終えている。とはいえ、レイシア自身がこの場所から飛び出す準備は終えていない。
キレイドアに唯一隣接しているルインベルではレイシアも霧夜も盛大にやらかしている。ルインベルを離れてキレイドアに飛び込んで、それなりに時間が経過しているものの、まだレイシアの顔を覚えているものは当然いるだろう。下手したらユトラス帝国自体で指名手配されていてもおかしくない。少なくともレイシアも霧夜も聖教会にとっては存在してはならないようなそんな存在である。それを敵に回しているレイシアと霧夜が普通に入国することは難しいといえるだろう。
《ルインベルには正規の方法では入れないだろうな。レイシアの顔を覚えている奴もいるだろうし》
「なら、忍び込みましょう。邪魔する奴は私とアキでぶちのめすの」
《まぁ、出来るだろうけど……。なるべくここを国にするためにはもっと国民を探す行動は秘密裏にするべきだろう。下手に此処に国を作ろうとしていることが早めに露見すれば、すぐにつぶされるだろうし》
「それもそうね……。ってことは暴れられないの?」
《何でがっかりした顔してるんだよ。暴れる必要があれば暴れるのは仕方ないとして、大人しくしなきゃ大変だからな?》
相変わらずどちらが常識人なのかと突っ込みたくなるような持ち主と武器である。
霧夜の言うことも最もと言える。こんなまだ村になりたての場所など、存在を知られてしまえばつぶされてしまうことが予想出来るだろう。此処に国を作ろうとしていることもそうであるし、何より《魔剣》を運営に関わらせようとしていることも、ユトラス帝国に知られれば真っ先につぶされる要素である。
最もこのキレイドアは危険な場所なので、この場所をつぶそうとやってきたところで相手が全滅する可能性もあるが……、幾らレイシアが強いとはいえ、数の力に勝てるかどうかといえば怪しい話だ。
「……分かるけど、つまらないわね。折角アキと遊べるのに」
《いや、まぁ、普通に潜入して仲間を増やしてみるのもやってみると楽しいと思うぞ。折角だし、色んな所から人を集めに向かってもいいし。俺とレイシアなら、何処にでもいけはすると思うが》
「まぁ! じゃあ遠くに行くことも出来るのかしら?」
《そうだな。長期間離れていても大丈夫なように、こちらでは準備してたから大丈夫だと思うぞ。いっそのこと、この大陸ではなく、他の大陸から人を集めるのもアリだろう。だから色々回るぞ。で、やばそうならすぐ手を引く》
霧夜はそう言えば、レイシアは「うーん」と言った顔をする。
レイシアとしてみれば、もっと盛大に暴れられる方がきっと楽しいのだろう。霧夜はレイシアと村を離れて、レイシアを止められるだろうかと不安も覚えてしまう。
《レイシアの目標はこの場所を最強国家にするためだろう。なら、自分の行動でその夢が崩れるのは嫌だろう? なら、慎重にやるべきだ》
「そうですよ。レイシア様、きちんとゼクセウス様の言うことを聞いてくださいね」
レイシア、今までの言動からチュエリーにまでそのように言われてしまっていた。
「分かったわよ。折角、アキと遊びにいけるんだもの。アキの言う事を聞くわよ!! でも暴れる機会があれば盛大にやるわ!!」
《いや、まぁ、うん、レイシアはそういうやつだよな》
「ええ、そうよ。私はこういう人間よ、分かっているでしょう?」
《ああ、でもまぁ、俺がいいっていうまで暴れるなよ? しょうもないことで暴れられても国民探しは出来ないからな? 分かってるか?》
霧夜はよっぽどレイシアがしょうもない理由で暴れそうだと思っているようで、そんな風に何度も念を押すように告げる。
「はいはい。何度も言われなくても分かっているわよ。私は子供じゃないんだから」
《いや、そのはいはいが信用できない!!》
「どんだけ、私を信用してないのよ? そんな言われなくてもちゃんとアキの言うこときくわよ?」
《その言葉忘れるなよ? これでいざ、面白いことがあったからと突っ込むんじゃねぇぞ?》
「……時と場合によるわ」
《信用できねぇな、本当……》
呆れた言葉を言い放つ霧夜だが、本当にやばそうなら全力で止めようと決意するのだった。
それからなんとかレイシアを説得して、村の外に行く準備をレイシアと共に進めるのだった。




