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「国民を増やすためにどうしたらいいと思いますか、ゼクセウス様は」
《外から人を集めるしかないが……、目立った動きをしたら聖教会がやってくるだろうからな》
「ですね。聖教会の力はとても強大です。聖教会は《魔剣》というものの存在を許しませんからね。こんなキレイドアに作る国なんて許さないでしょう」
《そりゃあ、まともな頭をしていれば《魔剣》を国作りに関わらせようなんてしねーからな》
霧夜は当然の思考だと思う。《魔剣》なんて存在を国作りに関わらせようなんてまともな頭をしていればまずしない。そして聖教会の信仰するが故に自分たちの意見のみを絶対としている。そういうやり方は気に食わないと思うが、普通の思考をしていれば、《魔剣》はとても危険なものだ。
霧夜は自分のような《魔剣》を霧夜本人しか知らない。自分のような《魔剣》が他にいたらそれはそれで面白いと思うが、面白くないとも感じる。霧夜以外の《魔剣》は自我が確立しておらず、持ち手を狂わせるような存在だ。だから使い手によっては危険で壊すべき存在だろ。
ただでさえ、こんな場所に国を作ろうとしているのを知れば他からの手出しが多くなるだろう。折角作った村をかすめ取られたりする可能性も十分ある。
だからこそ、国民集めをするにしても慎重に行わなければいけない。
戦闘も楽しいと霧夜はぶっちゃけ《魔剣》だからこそ思うのだが、それよりも国を作った先の方が見て見たいとそんな理性的な事を考えていた。
「そうですね……。もし周りが知ったら、此処は狙われるでしょう。レイシア様に関して言えば、利用されたりするかもしれません」
《そうだな。レイシアは加護もちだし、驚くぐらい強い。そんな存在なら周りは放っておかないしな。とはいえ、あいつは黙って利用されるような存在じゃないがな》
「そうですね……。レイシア様は決して簡単に利用されはしないでしょう。寧ろ利用されたくないと色んな事をやらかしそうですよね。それでも数の力には勝てないでしょうから」
霧夜の言葉にチュエリーは頷く。
レイシアは、レオソドアの加護を持つ最強ともいえる存在。その存在は露見すれば放っておかれない。
だから利用しようとする勢力も増えるだろう。それを考えるとレイシアが望むように何も考えずに好き勝手に行動をすることなんて霧夜は後押し出来ない。……《魔剣》として愉快犯な一面もあるが、こういう所では理性が働いているのであった。とはいえ、いざと言う時には霧夜も吹っ切れてレイシアと一緒に暴れまわることもあるだろうが。
「人を集めるにしても大人数ではいけませんね。この村は人が少ないですし、行くとしたらレイシア様とゼクセウス様で行ってもらうのもありかと思いますけど」
《……俺とレイシアだけで? まぁ、現実的に考えたらそうかもしれないけれど、俺とレイシアがいなくてこの村は大丈夫か?》
「問題はないでしょう。そもそもレイシア様とゼクセウス様がいなければ成り立たない国なんて結局、すぐに崩壊するだけです。レイシア様とゼクセウス様がいない中でも私たちは大丈夫だというのを示した方がいいです。レイシア様は特に自由な方ですから、自分からどんどん外に出て行ったり行動していくでしょう。ですから逆にお二人で行ってもらった方がいいのではないかっても思いますね」
《まぁ、それもそうかって、それだとレイシアの暴走止めるの俺だけになってしまうじゃないか》
「大丈夫です。ゼクセウス様ならレイシア様と一緒に上手くやると信じてますよ。レイシア様もやると決めたら何も考えずにやるようにも見えますが、ちゃんと自分の目標のために我慢も出来、考えることも出来る方です。ゼクセウス様がレイシア様に理由をちゃんと言ったら聞いてくれるでしょうしね」
チュエリーは霧夜ならレイシアが暴走しそうになってもどうにでもなるだろうと、信頼しきっているらしい。霧夜はそういう信頼が重いと思った。ここまで信頼されることは、人間だったことも含めてそうはない。
《チュエリーは妙に俺とレイシアの事を信頼しているよな。そこまで言うなら俺がレイシアを見て、人集めに行ってもいいが》
「ふふ、レイシア様ならきっと喜んでいくというでしょうからね。レイシア様が国民探しに行くということで満足してくださればいいんですけど」
《レイシアなら喜ぶだろうな。ただ言ったらすぐに出るっていうから、提案するのは後でだな。先にカイザーたちに話して、俺たちが出ている間の対処方法を考えてからだな》
「ああ、それもそうですね。レイシア様は喜んですぐに出ていこうとしそうですし。それでレイシア様とゼクセウス様は問題ないかもしれませんが、こちらは問題大ありですもんね。ではまずは他の方に相談しましょう」
そんなわけでレイシアには直前まで言わないことにして、レイシアと霧夜で国民探しに行くと言った事が計画されているのであった。




