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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第四章 魔剣と少女とある出会い

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9

4/30に予約投稿ミスしてました。ご迷惑をかけてすみません。あげなおした分です。

「ふふふ、楽しみだわ。どうやって屈服させようかしら」

 山の麓から、山頂へ向かってレイシアは足を進め始めた。その背には霧夜を背負っている。そして山頂を見上げながら、レイシアはそれはもうあくどい笑みを浮かべていた。その言葉も相まって、正直背で聞いている霧夜はドン引きしていた。

《屈服ってレイシアなぁ……。レイシアは国民にしたいんだろう。そんな屈服とか、もう少し平和的な解決法には出来ないのかよ》

「何よ。ちゃんと平和的な解決方法よ? それに終わりさえよければその間の過程なんてどうでもいいのよ。私はあいつらを私の国の国民にするわ」

《いや、過程も十分大事だからな? 過程があってこその結果なんだから。結果を出した後も、その過程は影響力があるんだからなるべく平和的に終わらせろって言ってんの》

 結果が大事、それもまた正しい事だ。

 とはいえ、その結果にまで至る過程が存在する。結果が全てとはいえ、その過程が悪ければ後に影響を及ぼすこととなるだろう。

 だからこそ、こうして接触をするのならばもっと過程を大事にして、平和的に終わらせる必要があると少なくとも霧夜は考えている。

 結果としてレイシアにあの空を飛ぶ者達が従う道を選んだとしても、納得もさせずに無理やり付き従わせたら――、その後は良いものにはならないだろう。無理やり従わせるにしても、その中で誰かがなくなりでもしたら彼らはレイシアを憎むかもしれない。

(まぁ、無理やり従えた後に何か起こってもそれはそれで面白いか。……しかし『災厄の魔剣』とか呼ばれてる俺が平和的に解決しろって使い手に諭すってよく考えたら俺らしくもないか。でもこのまま国が出来ないっていうのは面白くないしな。……つか、レイシアが俺の事を人扱いしているから人間だった頃の俺みたいな行動してるのかもしれないが)

 霧夜はレイシアの背でそんな思考をしていた。平和的に解決をしろ、なんて考えれば考えるほどその思考は『災厄の魔剣』には相応しくない。

 時に国を滅ぼし、人を破滅に導いた魔剣。『勇者』の魂さえも喰らった『魔剣』。

 そんな存在を人扱いするのはレイシアぐらいだろう。人の魂を持ち合わせているとはいえ、霧夜はあくまで武器でしかないのだから。

「アキ、どうしたのよ、急に黙って」

《……なんでも、ねぇよ。とりあえず、国を作るって目標を叶えるためにももう少し考えろよ。レイシアが此処で死にでもしたら面白くねぇだろ》

「ふふ、アキってば心配してるの? 大丈夫よ。私はこんなところで死ぬわけにはいかないもの。私は最強の国を作るの。その目標を叶える途中で死ぬなんて御免だわ」

 レイシアは迷いもなく答える。

 彼女は一切、自分の目標が叶わないとは思っていない。

「それに」

 レイシアは続けて、ちらりと自分の背負っている『魔剣』を見る。

「アキは私が死にそうになったら助けてくれるでしょう?」

《まぁ、此処で死なれても面白くないからな》

「なら、何も心配はないわ。私とアキがそろって出来ない事はないもの」

 自信満々に言い切ったレイシアは、前を見る。もうすでに、山頂は目前だった。



 さて、山の上というのは空気が薄い。普通の人間ならば、山頂で地上と同じように動く事は出来ないだろう。しかしほとんど休憩もなしに山頂まで登り切ったレイシアは恐ろしい事に、平然としていた。

 戦の神であるレオソドアの加護を誰よりも受け、祖国が滅びてからというものの鍛錬を欠かさなかったレイシアは普通とは言えないだけの体を手にしていたのだ。

 レイシアはこの前の霧夜とは違って、堂々と姿を現していた。逃げも隠れもせずに、空を飛べる不思議な人種の前へと姿を現す。向こうの方が人数も多いというのに、レイシアの目には躊躇いも怯えも何もない。

 レイシアは本気で、自身と霧夜がいれば出来ない事はないと信じ切っている。

 そのことが分かるからこそ、霧夜は余計にレイシアが死ぬ事がないようにしようなどと『災厄の魔剣』としてどうなんだろうという思考にも陥っていたりもした。霧夜は自我があるからこそ、信頼を向けられると心が少しは動いてしまうのだ。

「―――お前は、何者だ。この前の変な男とかかわりがあるのか」

 多くの目が、レイシアを射抜いている。

 彼らは空に身を浮かせていた。彼らは、警戒したようにレイシアを見据えている。

「私はレイシア」

 レイシアは、視線を幾ら浴びようとも動じない。寧ろその表情は、不敵に微笑んでいる。事実、彼女は恐怖を感じていない。現在、彼女の心を満たしているのは愉悦と好奇心と歓喜。ただ、それだけだ。

 負の感情を一切、彼女は持ち合わせていない。

「貴方達の、王になるものよ」

 レイシアは、躊躇いもせずに、そんな事を言い切った。





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