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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第四章 魔剣と少女とある出会い

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4

 空を飛ぶ人種との遭遇。

 それに対して、このキレイドアに国を作る事を決めた少女、レイシアは強い好奇心を抱いている。

 レイシアはすぐにその人々を捕まえようと考えていたわけだが、人間であるレイシアよりも常識を持ち合わせている『魔剣』の霧夜に止められるのであった。

 レイシアは好奇心旺盛な少女である。その好奇心を満たすためならばなんだって行いたいとそんな風に願っているほどに。そして何処までも強い欲望を抱いている少女である。それを叶えるために『災厄の魔剣』を手にしているほどに。

 さてその、『災厄の魔剣・ゼクセウス』は現在、頭を悩ませていた。……頭という部位の存在しない『魔剣』が頭を悩ませるというのも変な話だが、霧夜は悩んでいたのだ。

(……あの空を飛んでいた奴らをこちらに引き込むための術ねぇ。正直思いつかない。接触してみなければどういう連中なのか分からない。そもそも魔剣として長くこの世界に存在している俺でさえ知らない存在が潜んでいるなんて思ってもなかったしな。まぁ、だからこそこの世界は面白い)

 霧夜もレイシアよりは常識を持ち合わせているとはいえ、面白い事が好きな魔剣である。だからこそ、あの空を飛んでいた存在自体にはレイシア同様興味を抱いている。ただし、レイシアのように捕まえるという物騒な思考はしていない。霧夜はどうにか穏便に仲間に引き込む術がないだろうかと考えていた。

 もっと見知った相手などならやりようがあるが、何せ霧夜にとっても初めて見る存在である。あの空を飛ぶ種族の事を何と表せばいいのか、それさえも霧夜には分からないのだ。

 そもそも名というのは、自分から名乗るか、相手から名づけられるかで認識されるものである。霧夜も『魔剣』として認識される存在になったからこそ、自分が『魔剣』であると認識し、名乗っている。

 ゼクセウスという名は、気づいたら呼ばれるようになっていた剣としての名であり、霧夜自身は由来とかを詳しく考えた事はない。別に由来が何であれ、ゼクセウスという名前をそれなりに霧夜は気に入っていた。

(空を飛ぶ存在が、実際どういう存在であるか知る事だよな。そもそもの話、言葉が通じるかどうかも定かではない相手に、何も考えずに接触するのは避けたほうがいいだろう。情報収集をしてからが一番いいが)

 空を飛ぶ人種。

 人の姿を確かにしているのにどこか違う存在。

 霧夜は未知の存在に対する好奇心も強いが、未知の存在に対する恐怖心も当たり前に持ち合わせていた。そもそも『魔剣』という人ならざる者でありながら何を言っているのだといわれるかもしれないが、霧夜は当たり前の”人間の心”も持ち合わせた『魔剣』である。

 人の心を持ち合わせたまま『魔剣』となり、『魔剣』としての生活を謳歌している。そんなほかには例を見ない存在。

 自分の方が人にとっては恐れられる存在であるという事実は霧夜の頭の中からすっかり消えている。

(レイシアを納得させるためには、即急に動く事だよな。あんまり待てばかりしていると勝手に飛び出しそうだし。……あいつって犬かなんかに似てるよな)

 短い付き合いでも、レイシアという存在が我慢が利かない存在であることは霧夜にだって理解できる事だ。だからこそ、即急に動くこと。それでいてレイシアが飛び出さないようにうまく、調整をすること。それが霧夜がしなければならないことである。と、そこまで考えて霧夜はなんとも言えない気分になった。

(というか、何で『魔剣』の俺がここまで考えなければならないんだか……あいつがペットで俺が飼い主か何かか? いや、でも俺が『魔剣』で、あいつが使い手と考えると逆か? ……どちらにせよ、うまくレイシアが暴走しないようにすべきだろう。暴走したら暴走したで面白いけどさ、ひとまず、国作りという面白い目標をかなえてもらうためにもレイシアに何かあるのは避けたほうがいいし……ああ、もう俺『魔剣』なのになぁ)

 溜息をつきたくなりながらも、この状況を何だかんだで面白がっている自分に気づいて霧夜は何とも言えない気分になった。

 霧夜を”人”のように、ちゃんとレイシアは扱う。今まで霧夜を手にした者たちはすぐに狂ったし、元からおかしい連中ばかりだった。でもレイシアは正気のままに霧夜を手にし、霧夜に自我があるのを知った上で霧夜を傍に置いている。

 そして『魔剣』である霧夜にたくさんの意見を求めてくる。今までそんなものは存在しなかった。

(もっと面白くするために、情報収集は俺がやるか)

 霧夜は如何にしてレイシアを突撃させずに情報を収集するか考えた時に、その結論に至るのだった。





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