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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第四章 魔剣と少女とある出会い

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 霧夜はまた面白いことが起こるような予感がしていた。それはレイシアが何かよくわからないものを見たといった時からずっと。

 なぜならレイシアが面白そうでよくわからないものを見つけてそれとかかかわらずに生きていくことはまずない。レイシアは興味を持ったものに愛して全力で進んでいくような少女であるということを霧夜は短い付き合いでも分かっていた。

 レイシアは今日も生き生きと生きている。自分の国を作るという大きな目標を一切諦めることはない。何処までも前向きな姿は人によっては馬鹿であるとバッサリ言ってしまいそうなほどである。が、レイシアは国を作りたいというその大きな夢を本気でかなえる気である。本気であると人に分からせ、そして周りの者を突き動かすだけの信念を持ち合わせているからこそ、レイシアになんだかんだで人はついていくのである。

(レイシアはなんだかんだでカリスマ性がある。やっぱり元王族だとか関係あるのか? 正直俺は人間だった頃も、『魔剣』になってからもそんなもの持ち合わせてないからな)

 霧夜は、レイシアの背に抱えられた状態のまま、そんなことを考える。

 自分の今の使い手の少女の事を霧夜は考えている。『魔剣』である自分を利用して、そして国を作ろうなどという大それたことを考えている少女。そしてそれを本気で考えようとしている少女。

 何処までもレイシアが本気だったからこそ、なんだかんだで霧夜だってレイシアを使い手に選んだのである。

(まさか『魔剣』になった俺をそんな風に利用しようと考える奴がいるなんて思ってもなかった)

 霧夜は、『災厄の魔剣・ゼクセウス』はレイシアという使い手を面白いと感じ使われている。

 そして使い手であるレイシアは霧夜の事を自分の目的をかなえるための道具として利用している。

 一人と一振りの関係は、利害関係の一致のために続いている関係である。

 今、レイシアはその見かけたかもしれないよく分からないものを探しに、作った村の周りを探索している。途中で襲ってきた魔物を退治したりしながらもどんどん進んでいく。そうしながらレイシアは時折空を気にしていた。

《おい、レイシア、そのよくわからないものってなんだ》

「一瞬しか見えなかったからよく分からなかったけれど——空に居たわ」

《空に?》

「そう、だから興味があるの。面白いでしょう?」

 レイシアは笑みを零して、心の底から愉快そうに笑っていた。

 空に居たという言葉を聞いて、霧夜は正直どういう存在に興味を持っているのかぴんと来なかった。

 空に居た、レイシアの見た面白いもの。

 それが想像が出来ない。

《どういうことだ?》

「ふふふ、アキもきっと見たら興味津々になるわよ」

 レイシアはそれだけ言う。一瞬しか見えなくてよくわからなかったけれど、空に居た存在。そして霧夜もきっと興味を持つとレイシアは断言している。

 そこまでレイシアが断言する存在に、愉快犯な霧夜が興味を持たないはずもない。

 霧夜も上空を見るように心掛けながら、キレイドアの森の中を徘徊する。

 その間にも食べれそうな物を集めたり、これから国を作るにあたって必要なあたりの情報を主に霧夜が集めていた。レイシアときたら、頭の中は現在興味を持ちかけている空に居る存在だけであり、他の物には関心がいっていないのだ。そもそも考える事より行動をすることが好きなレイシアは難しい事を考えない。

(本当に、考える事が嫌いで国主なんて勤まるわけないと言いたい所だけど、レイシアってやると決めたらやりそうなんだよな。でも脳筋な国主だったとしたら誰か有能な宰相でもいれば国は回るか)

 国主に必要なものの一つのカリスマ性は、レイシアは持ち合わせている。国を上手く動かすための頭はないかもしれないが、カリスマ性があればだれか頭を使うのが得意な者を宰相などといった立場につかせる事は出来るだろう。

「んー、いないわね」

 時間が経過してもレイシアは残念そうにつぶやきながら、その面白そうな存在の事だけを必死に探している。なんで見つからないのかととても不服そうである。

《今日は諦めて帰るか?》

 そういう頃には日もくれかけていた。レイシアと霧夜がいればキレイドアでやっていけるとはいえ、夜に単身でキレイドアを徘徊するのは危険な行為である。それもあって村に戻る事を霧夜は提案するが、レイシアは「いいえ、見つけるの」と言い張って帰る気はないようだった。

(空に何かがいるにしても夜にいるとは思えないんだが)

 そう思いながらも、レイシアの背にいる霧夜はまぁ、いいやとそのままレイシアと共にその存在を探すことになった。



 そして、あたりが暗くなろうとしていた頃——レイシアが声をあげた。

「いたわ!」

 その声に従うままに霧夜も上空を見る。そこには確かに空を舞う存在が居た。



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