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自給自足をしたほうがいいだろう、そういう話でまとまっている。それに加えて、霧夜は一つだけ思ったことがある。
《レイシアは、この拠点の名前とか決めているか?》
「名前?」
《ああ。村にするにしろ、国にするにしろ、拠点の名前は必要だろう? なければ困るしさ》
「まぁ……確かにそうね。国の名前とか全然考えてなかったわ。今の拠点……まぁ、村のつもりだけど、そこの名も全然、全く考えてなかったわ。アキは本当に頭が回るわね」
《レイシアが考えなしなだけだろう》
霧夜とレイシアは、少しずつ形成している村の中心でそんな会話を交わしていた。レイシアは、少しずつ形になっていっている村を眺めながら満足げに頷いていたのだが、そこで背に背負われている霧夜からの突込みが入ったのである。
相変わらず、『災厄の魔剣』と呼ばれている霧夜の方が理性的である。
「それにしても、名前ねぇ……」
《安直な名前にするなよ。もし、ここが本当に国になるっていうのならば後世に語り継がれていくことになる国名になるんだからな》
「相変わらず真面目な『魔剣』ね」
《レイシアが考えなしなだけだ》
霧夜、あまりにもレイシアが大雑把なため同じことを二回いった。
「そうね、私の名前はいれたいわ」
《安直な奴だな、本当に……。まぁ、国名に始まりの王の名前を入れるのはよくあることだろうけど。というか、その場合なんだ、女王になるのか、それとも女帝なのか?》
「どっちでもいいじゃない」
《どちらでもいいかもだが……どっちで呼ばれたい? あとまだ少人数だからなんとなく適当で成り立っているが、人数増やしていくのならば法律とかも考える必要あるだろう》
「そうねぇ……女王と女帝のどちらかなら、女王かしら。法律とかそういうのは面倒だからアキとチエリーに任せるわ」
《まて、俺に任せるなよ》
霧夜、『魔剣』に全てを投げ出してしまっている事実に突込みをいれる。そんな二人(?)の会話を聞いていたカイザーは、霧夜の言葉に同意するように頷いている。みれば、他の面々もチエリー以外は全員、同意を示していた。
「レイシア、ゼクセウスに全て任せるのは駄目だ。レイシアが法律を考えたくないというならば、俺らも考えるから、ゼクセウスにだけ投げ出すのはやめてくれ」
「あら? カイザーも私と一緒で考えることは苦手だと思っていたのだけど」
「苦手でもそれとこれは別だ!」
霧夜を受け入れることを決めたカイザーとはいえ、『災厄の魔剣・ゼクセウス』主導の法律なんて恐ろしくて止めるのは当然である。
(この『魔剣』はレイシアと普通に話して、レイシアに常識的な発言をしているところを見ると、『災厄の魔剣』などと呼ばれている存在であるとは分かりにくい。だけれども、確かにこれは『災厄の魔剣・ゼクセウス』なのだ)
カイザーはそんなことを思いながら、霧夜主導になることだけはどうにか阻止していきたいと考えていた。
「ふぅん、まぁ、いいわ。私は考えることは苦手だからそのあたりは任せるわね」
《適当だな、本当……でも国のトップなら最低限は苦手だろうが公務はしなきゃならないのはわかっているだろうな?》
「それは当然よ。でも、適任というものがあるでしょう? 私よりも他のものがやったほうが絶対早いものは私はやらないわ」
《国が出来る前からなんて発言をかましてるんだ……》
今からそんな発言をかましているレイシアに霧夜は呆れたように声を上げた。これは確実に脳筋な王と、それに振り回される頭脳派側近などというものが生まれるだろうなどと霧夜は考えていた。
(まさか、俺をその位置に放り込む気じゃねぇよな? 俺は『魔剣』だが、レイシアなら放り込みそうだ。別に生贄を今のうちから用意しておかねぇと)
霧夜、なんとなく、『魔剣』である自分をその苦労しまくる地位に放り込まれそうな予感がして、そんな決意をした。国を作る様を見て楽しみたいだけの霧夜としてみれば、余計なことで労力を消費したくなかったのである。
「決めたわ!!」
そして、レイシアは突然、叫んだ。
《何をだよ?》
「さっきアキがいっていたことよ」
《法律のことか?》
「違うわ。国の名前よ!!」
《決めるの早いな、大丈夫か、それで》
「大丈夫よ! 国の名前は、レアシリヤよ」
《……まて、お前、それは》
「気づいた? 私とアキの名前を組み合わせたの。此処は、『災厄の魔剣・ゼクセウス』が関わって生まれる最強国家になるのよ。貴方の名前入れないわけがないでしょう?」
そういったレイシアは、見事なまでのドヤ顔だった。自信満々にいい名前でしょうなどといっているが、霧夜の真名である暁霧夜を知るのはレイシアだけで、どこに霧夜の名前が入っているのか、他のものには分からない国名だろう。
《ま、悪い名とは思わないが》
「なら、良かったわ。皆もこの名前でいいでしょ? 文句はないわよね?」
周りを見渡して、レイシアが文句を言わせないとでもいうように言えば、他のものは文句をいうはずもなく頷くのであった。




