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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第三章 魔剣と少女の村づくり

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 「うわぁああ」

 「情けないわね。あいつは首が急所だからそこに叩き込めばいいわ」

 さて、現状何をしているかといえば、レイシア主導の元、キレイドアに住まう魔物たちと戦っていた。キレイドアに住まう生物は全てが外とはくらべものにならないほどに狂暴である。

 そんな狂暴で、危険生物の住まう中で生活をしようなどという馬鹿な真似はよっぽどの馬鹿でなければしない。……レイシアはまともな思考をするものからしてみれば信じられないほどの馬鹿である。キレイドアという未開の地に国を作るなんていう夢物語を実現しようとしている大馬鹿者である。

 レイシアは悲鳴を上げて逃げようとする傭兵の下っ端であるグイシンの服を引っ掴むと、アドバイスと同時に魔物の元へと投げるなどという暴挙まで行っている。

 グイシンはまだ若い傭兵である。体つきはごついといえるものの、戦闘経験はあまりない。そんなグイシンを魔物へと投げるなどと酷い話である。

 「うわああああああああああああああああ」

 グイシンは叫び声を上げながら一生懸命にその首を狙う。そうすれば巨体の魔物――獅子のような姿をした魔物はうめき声をあげて暴れる。その隙にレイシアがそれを両断する。

 「うーん、死ななかったからとりあえずは合格だけど、私の国の国民になるっていうのならもっと上手く出来るようにならなきゃね」

 「そ、そうですか」

 「そうよ。ここで生きていくならもっと強くなってもらわなきゃならないわ」

 良い笑顔である。レイシアは全く優しくもなく、折角国民になってくれるという存在相手にも全く以って容赦がない。

 「よし、とりあえずチュエリー達の元へ戻りましょうか」

 「は、はい」

 レイシアは一人ぐらいなら守れるということで、一人を連れて魔物狩りに勤しんでいた。ちなみに霧夜はチュエリー達の元へとおいてきている。チュエリー達を守るためであるが、カイザーには反対されていた。そもそも《魔剣》なんて危険な存在を自由にさせていいのかという疑問も飛んできたのだが、レイシアは問題ないと判断し、チュエリーが受け入れたためそれが決行されている。

 ちなみに彼らは洞窟に居てもらっている。その洞窟に住まっていた魔物は排除したので現状問題はない。

 折角国民が増えたのだから本格的に村づくりをしようと考えているものの、何処に村を作るべきかといった点でレイシアたちはまだ決めきれていなかった。

 まだキレイドアを探索しきっているわけでもなく、下手に浅いエリアに作ればすぐにそれが露見する。いくつか村を作る候補は見つけたが、それよりももっと奥地に進むべきではないかという意見も出ている。

 が、レイシアは考えるといったことが得意ではなく、脳筋なレイシアに決定権を与えれば大変なことになるだろうと満場一致したため、レイシアはこうして国民を鍛える側に回っている。

 「ねぇ、グイシンは村の場所どこがいいと思う?」

 「わかりません! キレイドアは全てが危険な場所ですから」

 「アキはね、木を切り倒して村を作った方がいいっていってたけど、どう思う?」

 「……その意見自体は良いと思いますが、『魔剣』の言葉だと思うとそれを素直に受け止めてはいけないと考えます」

 「あら、そう?」

 「はい。レイシア様は『魔剣』を信頼しているようですが、あの『魔剣』をそこまで信用すべきではないと思うのですが」

 「あら、心配性ね。大丈夫よ。アキは面白い事が大好きだもの。面白いものを見るためにも、国づくりには積極的よ」

 レイシア、グイシンが信用すべきではないと言おうとも気にせずににこにこしていた。

 「……それで大変な目に遭うかもしれないですよ」

 「それならそれよ。でも現状国の基盤を作る作業にはアキは協力的よ。私が国を作りたいっていった目標を面白がって、それを見たいがために私の看病をするぐらいだもの」

 「……看病? 剣がどうやって」

 「あら、いってなかったかしら。アキって人の姿にもなれるのよ」

 「え」

 「なんか人の魂を食べていたら出来るようになったらしいわ」

 「いやいやいや、人の魂を食べている時点でろくなものではないでしょう!!」

 「仕方ないじゃない。『魔剣』ってそういうものよ。人を破滅に追いやるからこそそう呼ばれているものよ」

 人の魂を喰らう者―――『災厄の魔剣』ゼクセウス。

 それはそういう存在であるとレイシアは理解している。理解しておきながら、進んでそれを使おうとしている。

 その考え方を持つ時点で異常。

 でもそんな異常で、他と考え方が違うからこそグイシン達《赤鴉》はレイシアという存在に惹かれている。

 面白いと思っている。ついていったら楽しそうだと考えている。

 『魔剣』に対する不安も、キレイドアに対する不安も大きい。その不安がなくなることがあるのかも現状はわからない。知らないことが多すぎるのだから。

 だけど、それでも、ついていきたいと思わせる何かがレイシアにはある。

 傭兵などという職業をしているからこそ余計に強いものに憧れる。――――だからグイシンはレイシアの背中を追いながら強くなることを決意する。




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