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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第二章 魔剣と少女の森での生活

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 《このキレイドアの中で国を作るとして、まず第一に考えなければならないのは、どういう場所に国を作るかだろうな。周りから攻めにくい地形を選ぶことも重要だろう。土地っていうのは国づくりの基本だからな》

 『魔剣』として長い時の中を生きてきて、そこから学んだ様々な知識。道具として様々な人の元を渡り歩いた『魔剣』の言葉。

 《奥地に作ることには賛成だが、奥地に作るとするならばそれだけ狂暴な魔物に対する対処方法を考えなければならない。このキレイドアには驚くほどに魔物が溢れている。それも巨大な魔物も存在している。レイシアなら問題はないだろうが、他の連中はそんなキレイドアでは生きていけないだろう》

 此処で平然と生きていけるのはレイシアだからであって、加護もちでもない人間は普通に考えて生きていくのさえも難しい。

 そう、ここは足を踏み入れるだけでも死を覚悟しろと言われる土地―――キレイドアなのだから。

 《さっきお前が言ったように何処とも交流を持たずに力をつけるというのは良い案だとは思う。しかし、この土地で自給自足するとしても、どんな作物が育つのかなど考える必要もあるし、本当に国として作りたいなら戦闘だけ出来る連中だけ集まっても仕方がない》

 戦闘職だけの国だなんて破綻する未来しか見えない。レイシアは強者の国を作りたいといっていた。誰にも負けない最強の国家を。

 しかしその最強の国家を作るにしても、裏方の、内政をする人材は必要である。

 「それはそうですわ。ですから、私とゼクセウス様がしばらくその役目につきましょうね」

 《俺は、武器だぞ?》

 「でも、考える頭はあるでしょう?」

 《……まぁ、いいや。で、話を戻すが、国を作るとして、生産する連中も重要だろう? まず畑を耕す農民、川や海から魚を取る漁師、衣服を作る職人、武器などを作ってくれる鍛冶師、家を作ってくれる大工、そういう連中もいなきゃ国は上手く回らないだろう。で、そういう連中は普通に考えて戦えない。戦えないものをここに連れてくるって難しいだろうが》

 美しい女性と、まがまがしい雰囲気を醸し出している『魔剣』が大真面目にそんな会話を交わしている。そんな光景は傍目から見ると色々とアレである。

 「……それも、そうですね」

 チュエリーは霧夜の言葉に最もだとでもいう風に頷く。それもそうだろう、霧夜の言っていることは正しく正論であった。

 生産職が居なければ、戦闘職は上手く戦えない。

 食事がなければ生きていけないし、衣服や武器は勝手に出てくるものでもない。家だって作り技術がなければ魔物からの襲撃に備えた国など作る事は出来ない。

 そういう存在たちは非戦闘職であり、このキレイドアで生きていくことなど出来ないだろう。それを考えると、このキレイドアに村を作るというだけでも難しい問題である。

 《戦える連中だけで作る国だなんてたかが知れている。考えなしだけ集まっている国なんて周りからしてみれば崩すのは簡単だ。頭を使える奴もいなければ国を作れたとしてもうまくいくはずもない。レイシアなんてその典型的な奴だろう。あいつ、考えなさすぎるからな。あんなのばかり集まってみろ、どうなるかわかったものではないぞ》

 そんな霧夜の言葉に、チュエリーはレイシアのような存在が沢山存在することを考えてみる。

 (レイシア様と同じような規格外でちょっと頭の弱い方が集まったら―――。そうですね。何か宣戦布告されれば考えなしに突っ込むでしょうし、敵国の戦略にもまんまと乗りそうですし――)

 考えて顔色を悪くする。

 「……大変なことになりそうですね」

 《おう、だからな、頭を使える奴も集めなきゃどうしようもない。出来ればレイシアを諌められる奴》

 「……それもそうですね」

 《と、考えると国づくりって難しいんだよな。レイシアが人脈を作ってきたっていってたけど、どれだけの知り合いがいて、どれだけがこのキレイドアに来てくれるかもわかったものじゃねぇし》

 「そのあたりをレイシア様に聞かなければなりませんね。そこで問題が解決するならよいのですが」

 《……考えてみろよ、あのレイシアだぞ? 戦うことが好きな奴とか、力ですべてを決めるっていう集団となら仲良くなってそうだが、普通の連中と仲良くなっていることが想像できない》

 「……うーん、そうですね。困りますわ」

 二人してレイシアがそういう人脈を作ってなさそうと頭を悩ますのであった。





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