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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第二章 魔剣と少女の森での生活

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 「レイシア様、こちらのモノは――」

 「レイシア様、この場所は―――」

 結果としてチュエリーは、レイシアの手を取った。それに加えてなぜかレイシアにキラキラした瞳を向けている。

 正直、霧夜には追いかけられて、夢物語のような建国願望を口にしたレイシアにそんな目を向けるチュエリーの事が理解できなかった。

 《人ってわけわかんねーぜ》

 「ふふんっ、私のカリスマのなせる業よ」

 《カリスマねぇ……? まぁ、型破りな存在はある意味人を引き付けるとはいうけどな》

 「ま、結果良ければ全てよしよ。喜びなさい、アキ。我が国の第一国民よ」

 《はいはい、そうだな》

 「何よ、もっと喜びなさいよ!」

 レイシアと霧夜はそんな会話を交わす。

 ちなみに現在、彼らが何をしているかといえば食事である。レイシアが霧夜を使って狩った獲物を食べている最中である。

 ちなみにチュエリーは、レイシアが『魔剣』を使っているとはいえたやすく魔物を葬るのを見て益々尊敬の目を向けていた。

 チュエリーはレイシアの手を取った後、どうしてここで暮らしているかを説明しようとしたわけだが、レイシアが「貴方の過去には興味がないわ。貴方の未来をくれれば」とそんな風に不遜に笑ったため、霧夜とレイシアはチュエリーの過去は知らない。

 が、何も問題がないといえば問題はない。

 レイシアにとって過去はどうであれ、第一国民になってくれた存在なのだ。そして霧夜にとってはたとえチュエリーがレイシアを害する存在であろうとも面白ければそういう展開もありだと思っていた。

 「ゼクセウス様は、私が知っている『魔剣』とは全然違いますね」

 そしてチュエリーは、レイシアの武器である霧夜にも敬意を払った態度をしている。

 「ふふ、私の『魔剣』は特別だもの」

 《なんで、お前が偉そうなんだよ!》

 「だってアキは私のモノだもの。私のモノの自慢を私がして何が悪いの?」

 《悪いっていうか、凄いのは俺だろうが!》

 「それにしても第一国民であるチュエリーがアキを受け入れてくれてよかったわ」

 霧夜の叫びを華麗にスルーして、レイシアはそんなことを告げた。そうして焼けたばかりの魔物の肉を豪快にそのまま口へと含む。

 レイシアの言う事ももっともである。『魔剣』とはそれだけ恐れられる存在である。それに『災厄の魔剣・ゼクセウス』といえば、『魔剣』の中でも有名である。―――悪い意味で。

 人を絶望に追いやる魔剣。

 国を滅ぼす魔剣。

 様々な噂が広まっているし、それはほとんどが事実である。

 ゼクセウスは、暁霧夜は、元人間であり、人としての感性を持ち合わせているが、それでも『魔剣』なのだ。『魔剣』として面白く生きようという欲望、その欲望に忠実である。

 元人間とはいえ、『魔剣』は道具でしかなく、霧夜は『魔剣』としての感性も持ち合わせているわけで、レイシアに使われているのも面白そうだからであり、レイシアが面白くなくなればすぐにレイシアの魂も食らうだろう。

 霧夜はそういう『魔剣』である。

 そういう『魔剣』を持つレイシアの手を取り、『魔剣』を受け入れているチュエリーも十分変わり者である。

 「レイシア様の武器ですから。それに、話の通じる存在であるならばそこまで恐れる必要はないと思うのです」

 そう口にして、心からの笑みを浮かべるチュエリーに、霧夜は面白く感じていた。

 (ああ、こいつも流石キレイドアで生活しようっていうイカレタ女なだけあって面白いな。レイシアとは別の意味で面白い)

 そんな風に愉快で、レイシアに使われる事を選択して良かったと思う。まぁ、その評価はこれからの出来事次第で簡単に左右するわけであるが。

 「良い拾い物をしたわ」

 「それで、レイシア様、ここに国を作りたいという事ですが…」

 「ええ、そうよ」

 「そうなると、ひっそりと作らないとすぐに他国につぶされるでしょう。キレイドアは未知の宝庫ですから。そこで暮らすちっぽけな存在なんて潰されますわ」

 チュエリーはレイシアよりも色々考える性格であった。というか、レイシアは考えなさすぎる、本能の赴くままに生きすぎているのであった。

 それで今までレイシアが生きてこれたのは、レオソドアの加護が強かったからとしか言いようがない。

 《それもそうだな》

 「そうかしら? つぶしにかかるっていうなら迎え撃てばいいじゃない」

 《……皆が皆お前みたいに出鱈目なわけじゃねーからな》

 「そう? 鍛えればいけるわよ。あと、お前って言い過ぎよ」

 《いや、無理だろ。加護もちと加護なしじゃ大分違うからな》

 キレイドアに最強国家を作りたいと言い張っているレイシアであるが、驚くほどに考えなしである。

 「レイシア様、国主になりたいのでしたらもう少し先の事を考えるべきです。それではレイシア様は大丈夫かもしれませんが、国民となる存在が死にますわ。国民がいない国など、国ではありませんから。と、なるとこのキレイドア内だけで生産し、暮らしていけるようにすべきですわ。周りの国と交流を持たずに、この場だけのモノで暮らしていけるのならば悟られずにひっそりと国を興すこともできるのではないでしょうか。

 幸いキレイドアには滅多に人は訪れません。それだけ危険ですから。ですから、あえてキレイドアの奥地―――未開の土地に国を開くこと。国を作るならそれが一番でしょう」

 長々とチュエリーはそう言い切った。

 「うーん……」

 レイシアはその言葉に少し悩み、そして、

 「頭使うのはどうも苦手だわ。そういうのはチュエリーとアキに任せるわ」

 とそんな風に言い切るのであった。





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