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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第二章 魔剣と少女の森での生活

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6

 「あ、いたー!」

 「!?」

 レイシアと霧夜は、それから数日ほど経過して、ひたすらに魔物を葬りながら探していき、その人物を見つけた。

 フードを深くかぶり、顔の見えないその人物はレイシアの声に驚いたように声を身体をびくつかせた。

 そして次の瞬間、その場から逃げた。

 「あ! 待ちなさいよ!」

 ようやく見つけた獲物に逃げられて、レイシアは苛立ったようにそんな声を上げる。レイシアからしてみれば、ずっと探していた仲間候補が見つかったと思ったら逃げて行ったのだから、追いかけるのは当然であった。

 《待て待て待て。何故、俺を抜く!》

 「え、何故ってアキを使って捕まえた方がやりやすいもの。とりあえずおとなしくさせることが一番でしょ? それなら圧倒的な力を見せつければいいと思うのよね」

 《この脳筋が! 違うだろ。違うだろ! そんな力で抑えつけても向こうは良い気分しねぇだろうが!》

 霧夜はレイシアの、力こそ全てだともいう脳筋な発言に突っ込んだ。

 普通に考えて仲間にしたい相手に『魔剣』を抜き、追いかけるというのは間違っている。

 少なくとも霧夜はそんな追いかけまわしてくるような相手と仲間になりたいとは思わなかった。

 「アキって『魔剣』らしくないわね。『魔剣』のくせにそんなこといって」

 《お前はもっと、その物騒な考えをどうにかしろ!!》

 そんなこんな会話を交わしている間も、レイシアは霧夜を抜いたまま、仲間候補を追いかけている。

 仲間候補である人物はそれはもう必死に逃げている。

 「待ちなさい! 止まらなかったら殺すわよ!」

 《待て待て待て。なんだ、その脅しは! おい、ちょっとそこの奴、こいつお前と話したいだけだからちょっと止まれ!!》

 霧夜と口論を繰り広げているのもあってなかなか追いつけないことにレイシアは苛立ったのか、物騒な言葉を口にした。そうすれば霧夜は慌てたように逃げる人物に向かって声をかける。

 霧夜は『魔剣』のくせにレイシアなんかよりはよっぽど平和主義なようだ。

 とはいっても『魔剣』の言葉におとなしく耳を貸す存在などまずいない。『魔剣』とは危険な存在である。その声に耳を貸せば破滅するとも言われているのだ。

 そんな『魔剣』の叫びに立ち止まるわけはない。

 《くそっ、とまらねぇし!》

 「ふふ、『魔剣』の言葉なんて聞くわけないでしょうが!」

 《じゃあお前が言えよ!》

 「『魔剣』の使い手の言葉になんて耳を貸すわけないじゃない」

 《どうしろっていうんだよ!》

 「だから力づくで捕まえるしかないでしょう?」

 霧夜の言葉に、レイシアは面白そうにそんな風に笑って、地面を強くける。

 そして、跳躍した。

 一気に飛び上がり、逃げ纏う仲間候補へと距離を詰めていく。

 彼か彼女かはわからないその存在は、レイシアたちの方を向いて驚いたような顔をする。そして焦ったように体を動かす。

 しかし、焦ったのがまずかったのだろう。それは、こけた。足をもつれさせて、その場にへたりこむ。

 レイシアはそれを見て、舌なめずりをする。

 《おい、なんだ、その表情は》

 「ふふ、一気に捕まえるわよ」

 霧夜の突込みなど知ったことないとばかりに、レイシアは獰猛に笑っている。正直言ってみるものに恐怖しか与えないような笑みである。

 レイシアは一気にへたりこむその存在へと近づき、そうして、『魔剣』を首元に上げる。

 「ねぇ、お話があるの。聞いてくれる?」

 それは聞かなければ殺すという、そういう意味なようにしか見えない。

 『魔剣』を人の首にあてておきながらもそれはもう良い笑顔を浮かべているレイシアは恐ろしい。

 《って、お前、何脅しているんだ》

 「もうアキは煩いわね。脅しているわけではないわよ。交渉をしているの、交渉を」

 《脅し以外の何にもみえねぇよ》

 「それはアキにそう見えるだけよ。これは交渉よ。私の望みをかなえるためのね」

 《やっぱり強制じゃねぇかああああ》

 「アキって本当に『魔剣』らしくないわよね。ま、いいわ」

 レイシアはそういって、へたりこんだままの人物へと視線を向ける。その存在はレイシアと霧夜の会話にあっけにとられている様子だった。

 それもそうだろう。霧夜のように喋る自我を持った『魔剣』というのはまずいない。そして『魔剣』とこれだけ親しげに会話を交わす存在というのもまずいない。

 『魔剣』である霧夜―――それも、《災厄の魔剣》なんて呼ばれる存在とこのような会話を交わせるレイシアはおかしい。

 「………あなたは」

 「あら、貴方女なのね」

 「何故、私を追いかけたの」

 そういってフードを外したその存在は、とても美しい女性であった。

 キレイドアに居る事自体おかしいと思えるような、完成された美しさを持つ茶髪の女性。

 「ふふ、貴方を私の国の第一国民にするためよ!」

 「え?」

 《ってまて、それだけでわかるわけねぇだろ!!》

 レイシアが嬉しそうにいい放った言葉に女性が驚きの声をあげ、霧夜が突っ込みを入れた声がその場に響き渡るのであった。





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