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魔剣と少女の物語  作者: 池中織奈
第六章 魔剣と少女と王位の話

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 反乱の種が芽生えていようとも、レアシリヤが混乱に陥る予感がしていようとも――レイシアも霧夜も相変わらずである。

 霧夜は相変わらずトラップ作りに勤しんだり、自由気ままに過ごしている。霧夜のことをやはり《災厄の魔剣》だと、放棄すべきものだと危険視する者達も増えているようである。

 霧夜からしてみれば、そのように恐れられることは慣れていることなのだろう。まったくもってそれに対して何かをするということはない。

(俺のことを排除しようにも、手に取れば狂うと分かるのならば何をするだろうか? 面白い手段でも思いつけば面白いが)

 霧夜は愉快犯なので、もっと『魔剣』である自分を排除する手段をただの人間が思いつくのならばそれはそれで面白いと思っているようだ。

 霧夜は今まで『魔剣』として自身を壊そうとするものを幾度も見てきた。しかし実際に壊せたものはいない。聖教会の者たちは壊す技術を持っていると言う話だが、そもそもこのレアシリヤにその秘匿された技術を知る者はいない。

(いたとしたらすぐに俺を壊すなりするはずだ。そしてこのレアシリヤには、聖教会に連なるものは現在いない。真っ当な聖教会の信徒ならば、俺を所有しているレイシアを王と認めるなんてありえないからな。……ただ中にはレイシアへの不満を隠して紛れ込む存在も出てくるかもしれない。どちらにせよ、この場所が国となり、周りの国に認識された時が一番の勝負時か)

 ――まだこのレアシリヤは、周りの国家に知られていない小さな村だ。キレイドアの中ではぐくまれている小さな村。それが大きくなれば聖教会は必ず、この場所をつぶしに来る。その時にどうなるか……、どうするか。

 その時が来るのが霧夜は楽しみで仕方がない。その時までレイシアが生きているのか、このレアシリヤが国となっているのか。それもまだ見ぬ未来の話だ。だけれどもその時のことを考えると霧夜は笑みを溢してしまう。

 人の姿に変化している霧夜が悪だくみをするような笑みを浮かべているのは、大変不気味だったのであろう。レアシリヤの中でも霧夜に好意的ではないものたちは、その笑みを見てより一層霧夜に対する警戒心をあらわにする。



 ――そして霧夜がどうにか出来ないならと、直接的にレイシアに向かっていくものもいる始末である。




 レイシアという少女が見た目通りの少女だと思ったのか、数さえいればどうにでも出来ると思ったのか、どちらにしても加護を持つレイシア相手にそれは得策ではない。

 レイシアという少女を見誤ったものは、その命を散らす。

 このレアシリヤに希望を抱き、幻想を抱き――そして自分の望む世界が広がっていると思っていたものにとっては、この場所はそれなりに残酷だ。

 あくまでこの場所はレイシアが、理想の国家を作るための場所でしかない。何処までも独善的で、自分勝手な欲望から産まれたのがこの村である。

 レイシアはそれなりに国民を大切にするつもりはあるが、それでもそれだけである。

「貴方がその調子では僕たちの理想の場所は作れない」

 そう直談判したものもいた。レイシアを排除というよりも、レイシアの考え方を変えたいというものである。だが、そういう風な言葉に耳を貸すような少女であるならばそもそもこういう場所に国を作ろうともししないだろう。

 レイシアはレイシアであるからこそ、このキレイドアに国を作ろうとしている。だけれども、レイシアが自分勝手だからこそ彼らは不満を抱いている。

 霧夜はその様子がやっぱり面白いと思ってならない。レイシアがいなければ彼らは此処には来なかっただろう。レイシアという光に目がくらんで、だからこそ、彼らは此処にいる。でももっと理想の場所であってほしいと、レイシアが理想の君主であってほしいと。そう思っているからこそ、そんな風に意見を言っている。それはレイシアへの期待の表れでもある。

 レイシアは自分に意見を言ってくるものたちを面白いとも煩わしいとも思っているようだ。

 レイシア自身に勝つことも出来ないのに、それでもただ意見を言う。その言葉を必ずしもレイシアがきくわけではないが、レイシアは誰もが納得する場所なんて普通に考えてありえないのでまぁ仕方がないかとも思っている。

 レイシアや霧夜を排除したいと思う者は、少しずつ動いている。実際に行動に出て粛清されるものも少しはいた。

 だからこそ、それをどうにかするためにレイシアはこんなことを言い始めた。

「王位が欲しければ、私を倒しなさい。私に勝てるのならば、勝ったものがこの場所を自由におさめればいい。敗者は勝者に従うもので、勝者が歴史を作るものだもの。だから文句があるなら堂々と、私を倒せばいいわ」

 ――いずれ作る国の王位さえも、そういう風に強いものが握るのだとレイシアは断言する。




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