蝙蝠
ある日、空を支配する鳥達と、地上を支配する動物達が、争いを始めました。蝙蝠は、仲直りをしてほしくて双方を、行ったり来たりしていましたが、双方からスパイの容疑をかけられてしまいました。そして、気がつけば蝙蝠のせいで争いが起きたことになりました。蝙蝠を倒すために、争いをしていたはずの鳥達と動物達は作戦会議をしています。蝙蝠は、思いました。
……良かった……仲直りをしてくれたんだ……
ある日、双方からの攻撃を交わしながら、蝙蝠は言いました。
「……よくも、よくもこんなめに……いつか、必ずや復讐してやる……」
そういうと、鳥達が苦手な暗い所へ、動物達が苦手な狭い所へ、空でもなく、地上でもなく、地下にどんどん潜っていきました。 蝙蝠が戻ってくると言っていたため、鳥達と動物達は、これからも争わずに、連携をとっていこうと約束しました。双方が、争いを始めると、蝙蝠は前回より力をつけていたため、双方に被害が出ました。再び、鳥達と動物達は協力し合い蝙蝠を追い払いました。
「はい!このように蝙蝠は、世界を平和にしているのです。今日は私達、魔族の始祖に当たる蝙蝠のお話でした。何か、質問はありますか?」
紫色の、ジャケットとタイトスカートのスーツを身に付け、赤いフレームのメガネをかけた女性が、教室を見渡すと、机に雨を降らせている子が目に留まった。
「……えっ……えっぐ……こ、蝙蝠さん……可哀想……」
「加奈ちゃん、泣くなよ!ちげーよ!蝙蝠はかっこいいんだぜ!」
「…明君」
加奈は、金髪縦ロールの髪を揺らしながら、俯いていた顔を明の方に向けた。泣き止もうと釣り目をこすり、鼻水を啜った。
「そうですよ?明君、よく解りましたね?でも、加奈さんも、蝙蝠さんの気持ちが解ったから感受性がとても豊かですから、良いと思いますよ?」
先ほどまで泣いていた加奈は、今度は照れている。
「おー!俺は将来、魔王になるんだ!当然だぜ!」
机の上に立ち、腰に手を当ててクラスの皆に向かって明は宣言した。
「コラッ!!机の上に立たないの!降りなさーい!」
今日も、先生の声が魔界学校の小等部に響き渡ります。
♢♢♢
ここは、魔界。敵の敵は味方。世界のバランスをとり、世界の平和のため、見た目の怖さ恐ろしさに磨きをかけ、怖がらせる技を身に着けるために今日も学ぶ。目指せ!立派な魔王軍!
読んでくださり、ありがとうございました。






