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南瓜劇場  作者: 爽夏=sayaka=
南瓜劇場
17/18

~ Pumpkin Theater ~

人族と蛮族が共存する都市デモンシティ。

その郊外に心優しきドレイクの夫婦が暮らしていました。

夫婦には二人の養い子がいました。

親を亡くしたエルフの少女リリアと、片方の角を折られ捨てられたドレイクの少女レッド。

二人の少女は本当の姉妹以上に仲良く、二人ともドレイク夫婦を父母と慕っていました。

やがて、ドレイク夫婦の間に男の子が生まれ、少女たちは、その赤ん坊を弟のように可愛がっていました。

五人の家族は、ささやかながらとても幸せに暮らしていたのです。

けれど、その幸せは長く続きませんでした。

あるとき、蛮族の集団が、家族の家を襲撃します。

夫妻は子供たちを守り戦いましたが、多勢に無勢で、全く歯が立ちません。

蛮族たちは、嗤いながらドレイク夫婦に止めを刺し、偶然居合わせたエルフの少女に数本の剣を突き刺すと、二人のドレイクの子供を奪い去ります。

騒ぎを聞きつけた近所の住民がその家を訪れた時、リリアは虫の息でしたが、近所の神殿に担ぎ込まれ、命は助かりました。

けれども、リリアの顔や身体には、治りきらない傷が数多く残り、それを隠すために、彼女は南瓜の仮面を被ることにしました。

そして、生き別れとなった妹弟を探すために、冒険者となることを決意したのです。

リリアは、数多くの冒険を繰り返しました。

親とはぐれたドレイクの姉弟の情報を得るたびに駆けつけては、探し人と違うと肩を落とし、それでもなお、見つけることをあきらめずに冒険を繰り返します。

彼女は冒険の中で、ルーンフォークの青年フェイや男の娘フランと知り合い、ともに旅を続けることになります。

そして、数年後、群を追われるドレイクの少女と出会います。

彼女はドレイクなのに剣を持たず、頭には角が片方しかありません。

リリアは、命を狙われる彼女を助けると、南瓜の仮面を外しました。

リリアの素顔を見たドレイクの少女は、リリアに抱きつきました。

リリアもまた、彼女にしがみついて「生きててよかった」と呟きます。

そう、彼女はリリアが探し求めていたレッドだったのです。

再会したレッドから、リリアは様々な情報を得ます。

レッド曰く、二人が弟と可愛がっていた少年はドレイクエンペラーで、それを知った蛮族たちが旗頭に彼を奪い、デモンシティを占拠せんと挙兵し、今も進軍しているというのです。

そんな中、人族と蛮族の共存に否定的な勢力が、蛮族侵略軍のことを知り、様々な不満を爆発させ、反乱軍を結成してしまいます。

そして驚くことに、反乱軍のリーダーがリリアの仲間だった男の娘フランだったのです。

かつての仲間に反乱軍に加わるよう求められたリリアでしたが、彼女は心優しきドレイクの両親の存在を信じ、人族と蛮族との共存を求めます。

外からは蛮族侵略軍、内からは反乱軍。

四面楚歌の状況の中でも、リリアの傍らにはレッドとフェイが存在していました。

二人に支えられ、リリアは反乱軍に蛮族との共存を説き続けますが、反乱軍内部には、デモンシティで豊富に採れる魔晶石の利権に目のくらんだ一部の神殿関係者が紛れ込んでおり、蛮族への反感をあおり立てていたのです。

どうしようもない状況下でも希望を失わないリリアに、デモンシティの支配者が接触してきました。

支配者から全権を託されたリリアは、蛮族侵略軍を壊滅させられる最終兵器を渡されました。

その兵器を使用するとなるとドレイクエンペラーとなった弟をも殺してしまうことになります。

レッドと二人悩みに悩んでいると、フェイから「悩むなら一度会いに行けば良い」と告げられ、密かに弟に会いに蛮族侵略軍に潜り込むリリアたち。

そして、久しぶりに会った弟は、自分たちを忘れ、蛮族たちによって洗脳されていた蛮族らしいドレイクエンペラーだったのです。

もう昔のように仲良く暮らせないと理解させられたリリアとレッドは、自分たちの手で蛮族侵略軍を壊滅させることを選びます。

覚悟していたものの最終兵器の威力は凄まじく、山一つ以上が吹き飛んだ現実に、呆然とするリリアとレッド。

フェイに支えながらデモンシティに戻って見ると、反乱軍の一斉蜂起を馴染みの宿屋の主人から知らされたのです。

慌てて決起会場に乗り込んだリリアたちの目に飛び込んできたのは、反乱軍のリーダーであるフランの後ろに控える蛮族侵略軍のブレーンの姿。

そう、反乱軍は蛮族侵略軍に仕組まれたものだったのです。

信じていた者に裏切られたことを知ったフランは呆然としますが、リリアの「デモンシティを守りたいんやろ?」という言葉に目を覚まします。

蛮族侵略軍の生き残りであるブレーンと戦うリリアたちに加わったフランは、集まった者たちに助力を求めます。

傷つきながらも、デモンシティを守るために必死で戦い続けるリリアたちの姿に、利権を求めて動いていた神殿関係者たちも改心しました。

そして、その場にいるすべての者の力が集結し、蛮族侵略軍の生き残りを倒すことが出来たのです。

その働きが認められ、リリアはライア領主からデモンシティを治めることを認められ、伯爵位を賜りました。

また、フランはリリアの騎士として生きることを宣言し、彼女の剣と成り盾と成ることを誓いました。

人族と蛮族の調停者であるリリア伯爵と、彼女を守り続けた騎士フランは、末永くデモンシティを守り続けます。

また、彼女とともにデモンシティを守ったルーンフォークフェイと片角のドレイクレッドは、人族蛮族の垣根を越え、夫婦と成りました。

フェイとレッドは街中で喫茶店を営み、南瓜を使った『リリアパイ』を作り続けるのでした。


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