第七幕 三途の川のあの世側
パクり多いなー。てゆーか、長過ぎじゃん、これ。
風画達が部室に戻ると、他の部員達は既に部室にいた。
風画は他の部員を押しのけるようにして自分のロッカーへと向う。彼が自分のロッカーを開けると、そこには見慣れない水色の紙袋があった。
「はて。なんだこれは?」
袋の中身を見ると、中にはマンガと紙切れが入っていた。紙切れを手に取り中を見る。
『借りてたマンガ返しときます。ありがとう 原口』
風画は心の中で大きくうなずいた。
(そうだ、原口に『ス○ム○ン○』を貸してたんだ)
風画は何気なくマンガを手に取り、適当にページを開いてみた。
「おお。ここは……」
偶然開いたページには、主人公の桜○花○が相手選手に『脳天ダンク』をかましているシーンだった。
「○道も無茶するよなー」
風画がぼそっとこぼした直後、窓際の部員が声を上げた。
「おい見ろよ。野球部の奴らが何かしてるよ」
見ると、野球部の生徒がグランドの真ん中で何かしていた。
全員が一カ所に集まり、中央の生徒を揉みくちゃにしている。
「なにしてんだあいつら」
風画がそう言うと、風画の隣にいた別の二年生が言った。
「そういや、試合でデッドボールになったときの乱闘の練習をするとか言ってたな」
その台詞の直後、風画の脳内に二つの単語が浮き上がる。
『脳天ダンク』
『乱闘』
風画の脳内の二つの単語からニョキニョキと腕が生え、互いにがっちりと握手するのが風画には見えた。
「これだぁ!」
風画は突如大声を上げ、窓際にたかった人だかりを押しのけつつ、なんとか自分のロッカーに辿り着いた。
「どうした?」
遠巻きに野球部の乱闘を見ていた槍牙が訊いた。
「来た来た来た来た北北北北キタ―。次のテーマはこれだあああ!」
風画は紙袋に書き殴ったメモを槍牙に見せた。
「『脳天ダンク』『乱闘』。これが一体どうしたんだ?」
槍牙は風画に問いかけた。
「フフフ、俺の映画の新たなる見せ場だよ。明智クン」
「誰が明智だ。誰が」
かくして、『少林バスケ』の撮影は新境地へと踏みだしたのであった。
十話位で完結します。