第五幕 冥土を逆らう
パクり入ってます
「よっしゃあ。取りあえずちゃっちゃとやっていくぞ!」
風画を新監督にして再始動した映画制作だったが、相変わらず問題は山積だった。
一つに、風画は映画初心者であること。二つに制作期間が一週間しかないということ。三つに役者とスタッフ不足。四つに資金問題。映画を作る上でのありとあらゆるトラブルを全て抱え込んだ形だった。
「風画。映画を作る上での絶対必要条件はあるか」
「ああ、あるよ。映画は三〇分以上六〇分以内のものであること。盗作は禁止。そんなとこだな」
風画の簡潔過ぎる返答に槍牙が喰ってかかる。
「おい、ちょっと待て。そんな簡単なわけがない。もっと色々あるだろう。資金や機材の制限とかだ」
槍牙に指摘された風画は、すぐさま手元の書類に目をやった。
書類を睨むこと数十秒、風画は口を開いた。
「う〜ん。問題ない問題ない。資金は三〇万までってあるけど、大磯先生に貰ったのは一〇万ちょいだし。機材の制限は難し過ぎてわかんねーし。ま、取りあえず大丈夫でしょ」
風画はそう言うと、槍牙の肩を大袈裟に叩いた。
「それより、脚本はどうする?」
槍牙の新たな問い。
「ないよ」
風画は全く動じることなく答えた。
『え〜〜〜っ!』
槍牙と美奈が同時に叫んだ。
「脚本なしの映画など聞いたことがない!」
「そうだよ。もっとちゃんとやろうよ!」
風画は二人の猛抗議に一瞬ひるんだが、すぐさま切り返した。
「ちょっと待て。取りあえず俺の話を聞け」
風画は二人を黙らせ、自分の意見を二人に説き始めた。
「俺はこの映画をバスケの試合メインでやりたい。バスケの試合は四〇分、休憩やタイムアウトを入れればもっと長くなるけど、それは大した問題じゃない。必要なのは派手で人間離れしたプレイのシーンだ。それ以外はこれまでの練習試合なんかの映像を切って貼って間に合わせにする。派手なシーンの撮影方法も大体固まってる。それになにより時間がない、二人の事を信じている。頼む、最後まで付き合ってくれ」
風画は深々と頭を下げた。
「頭上げろ、風画」
槍牙に言われて風画は頭を上げた。
「私とお前の仲だ。地獄の底まで付き合おう」
槍牙は力強くガッツポーズ。
「風画クンは信じられるから、最後まで手伝うね」
美奈は両手を風画の肩の上に置いた。
「槍牙……、美奈……」
風画は二人の名を呟いた。
「よし。二人とも。一緒にやるぞ!」
『オオォォォォ!』
三人が一斉に鬨の声を上げた。
他に比べて短いなあ、これ(第五幕のこと)