表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

~Sleeping Princess...~7

続きです。

 

 このまま階段を下へ降りていけば、私だとは相手にわからないだろう。

 でもそうしたらノートが取りにいけない。

 考えている間にも、教室の中からこちらへ近づいてくる音は止まらない。

 ごめん、みゆきっ。

 声に出さずみゆきに力強く謝ると、私はその場から走って逃げた。

 

 その途中、勢いのあまり階段から落ちそうになったり、手すりに手をぶつけてしまった。

 とは言っても、その痛みに気付いたのはわたしが学校の外に出てからのことだ。

 そして今までの行動を思い返し、ドアを開けた時点で誰かがいたことに気付かれていただろうと、わたしは気がついた。

 そう思った途端、廊下に隠れて安心していた自分が、ちょっと馬鹿に思えてしまった。


 

 その日の夜。

 家に帰っても、夕ご飯を食べた後も、わたしはずっと学校で見てしまったことばかりを考えていた。

 「くまちぃー」

 むんずと、くまのぬいぐるみの頭を掴んで抱き寄せる。

 これは、わたしだけの誰にも言えない秘密。

 自分でも気付かないうちに、悩みがあるときはぬいぐるみを抱きながらというクセがあった。

 理由はわからないけれど、抱いていればそれだけで落ち着くからだと思う。

 

 「・・・・・・」

 教室にいたのは違う人、だった・・・・・・よね。

 むぎゅ。

 「んー」

 いや、でも教室がそうだから優一かも。

 むぎゅ。

 

 ダメだ。

 頭からはなれない。

 なんで優一のことが、こんなに気になるんだろう。

 別にあいつとは特別な関係じゃないっていうのに。

 「はぁ」

 一体、わたしはどうしたいの。

 むぎゅ。

 むぎゅぅ。

 

 見れば腕の中には、ヘビに締め付けられたかの如く無残な姿のぬいぐるみが一体。

 茶色のプリティーなくまが無残な形へと変形していた。

 皮肉なカンジに笑った口元と、つぶらな瞳がミスマッチでお世辞にも可愛くないのがチャームポイントのぬいぐるみ。

 ただその見た目も今となっては見てるだけで、

 

 「――ああっ、もう!」

 くまちの所為じゃないけど、余計にイライラしてきた。

 どうしてわたしがこれだけ悩まなきゃいけないの! ただ教室にノートを取りに行っただけなのに、中ではあんなコトしているし。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ