~Sleeping Princess...~5
続きです
わたしは不思議に思いつつ、扉を開けた。
開けて、部屋の中に一歩踏み込もうと足を上げたままの形で、固まった。
「えっ……」
瞳が大きく見開かれる。
目に映ったのは、女の子と男の子とが抱き合っていた光景。
見てはいけないだろう、行為の真っ只中。
鼓動は駆け足に、頭の中がまっしろに塗りつぶされていく。
時間が止まったということが比喩ではないほどの、経験したことのない大きすぎる衝撃に襲われた。
まるでこころの中身は全て流されて、空っぽになってしまったような感覚。
辛うじて頭の中に残っていたのは、驚くくらいに単純な感情だけだった。
嘘でしょ!
嫌だ。
苦しいよ。
それらは始めて知ったもので、わたしにとってはとても大きな感情だった。
今まで知らなかったことが不思議だと思えるほど。
わたしは運良く、無意識の内にに廊下へと隠れることが出来ていた。
それにしても、ああ。
なんて馬鹿なんだろう。
どうして隠れるのよ。
こんなことをしたら逆に部屋へ入りづらくなるっていうのに。
どうにか惚けた頭を全力で使い、現実をしっかり受け止める準備をする。
冷静になんてなれるはずがないけれど、しなくちゃいけない。
たとえ目の前で起きていた事態が、信じられないほどのことでも。
ううん、信じたくないからこそ。




