~Sleeping Princess...~11(終)
前回の続きです。
そのまま見入ってしまい、ぽかんと口が開いてしまう。
「お、お。おはようっ!」
「おはよう?」
わたしの口から出た信じられない声に、優一は不思議そうな顔をする。
なんだか不審がられているような気がするけど、ここは気にしないでおこう。
「い、行こう!」
「今川は待たないのか」
「みゆきは今日、先に行ってるんだって」
ここまで来れば、あとは一押し。
恥ずかしいことなんてない。
「だから、さ。ふたりだけで行きたい」
言い終えて、わたしはどうしようもなく恥ずかしくなって下を向いてしまった。
きっと今、顔が真っ赤になっているに違いない。
「ん? いいけど」
返事の声を聞くなり、優一のとなりへ並ぶように移動する。
顔の火照りが元に戻るまではこのままでいよう。
こんな顔、絶対に見られたくない。
「もしかして、お腹痛い?」
「え?」
耳を疑うような言葉が聞こえた。
いや、きっとわたしの聞き間違いだ。
「下ばっかり向いてるし、なんだか今日はおかしいぞ」
前言撤回、聞き間違いなんかじゃなかった。
「――カ、なんだから」
ちょっとここで話しておこう。
わたしは眠り姫――、眠れる森の美女といわれる話が好きだ。
城に眠るお姫さまを王子様が助けに来るというお話。
もし、その眠り姫のお話が、こんな風だったら面白いんじゃないだろうか。
お姫さまは城の中で深く眠り、長い間じっと王子さまを待っていた。
しかしいつまで経っても、お姫さまを起こす王子さまは来てくれない。
そこで、お姫さまは自分で起きれないかと頑張ってみる。
すると呆気ないほど簡単に、眠りから覚めることが出来てしまった。
そして自分を迎えに来てくれなかった王子さまの所に行って、大きな声で言うのだ。
「バカぁ――!」
こうして王子さまとお姫さまは、幸せにくらしましたとさ。
ふふっ。
こういう展開でハッピーエンドを迎えるのも面白いと思わない?
「早くしなさいよ。じゃないと、置いてくからねぇー!」
「ええっ」
困惑した顔の優一に構わず、わたしは思いっきり駆け出していく。
後ろから、文句を言いながらも走ってくる足音が聞こえた。
季節は、夏の暑さも本番へと入り始めたころ。
気持ちがすっきりして、今のわたしには朝の空気がすごく澄んでいるような、そんな気がした。
~おわり~
ここまで読んでくださりありがとうございました。このお話はここで一旦、終わりとなります。それではまた、次のお話でお会いできましたら幸いです。




