~Sleeping Princess...~9
続きです。
弁解する言葉もなく、わたしはそのまま黙ってしまった。
「ねぇ、いつまでそうしいるつもりなの」
するどく嫌なところを突くみゆきの声。
少しの沈黙があったからか、わたしの耳にはとてもよく聞こえた。
「渡瀬君のこと、気になってるんでしょう」
「なって、ない」
教室の出来事が再びあたまをよぎる。
胸が苦しくなり、とても嫌な感覚がじわじわと全身に広がっていくのを感じた。
「好きなんでしょう」
「違うって言ってるじゃない!」
みゆきの声を掻き消すほどの大声で、わたしは言い返す。
息が切れ切れで、頬が熱い。
『好き』という単語が出たあと、自分でも何を言ったのかさえ分からなかった。
あああ。
もう信じられない。
みゆきに当りちらすなんて、最悪だ。
「ゴメン。つい」
「ふふ。気にしないで」
やさしい声だった。
みゆきのこういうところ、すごく大人なんだなって感じる。
わたしだったら、きっと言い返しているだろう。
「まあ、そこまで元気があるなら大丈夫そうね」
「え。あっ」
怒鳴ったおかげで、嫌な気持ちはどこかへ消えていた。
「ねぇ。こんなこというのも変だけど、ちゃんと自分に正直になりなよ」
「・・・・・・うん」
わたしだって認めたくなかっただけで、たぶん分かっているんだと思う。
意地を張っているだけなんだろう。
「少し肩の力をぬいてみよう。きっと、楽になるから」
「うん」
きっかけは貰った、だからもう大丈夫。
明日からは前に進んでみようと思う。
「ありがと、みゆき」
そっとみゆきの名前を呼ぶ。
途端に、悩んでたのが嘘みたいに可笑しくなって、くすりとわたしは笑った。




