-プロローグ-
ずっとずっと、小さいころ。
きっとわたしだけが覚えてる、遠い日の思い出。
アルバムのページをめくるように、今でも思い出せるセピア色の記憶。
「ほーらっ、なかないの」
「だってだって。かなちゃんのお花が」
「またつくりなおせばいいんだから」
公園で過ごした時間。
なにも考えず、無邪気に遊んだ。
その時のわたしたちは、目に入る世界がすべてだったから。
「ぼく、かなちゃんとずっといっしょにいるよ」
「ほんとう?」
「うん!」
「それじゃあ、やくそくしよ!」
「「ゆびきりげーんまん、うそついたらはりせんぼんのーます」」
幼かったわたし達は、叶うはずのない約束をした。
本当は……、
ちょっとくらいは。
かみさまが叶えてくれるんじゃないかって、信じて。
でも駄目みたい。
馬鹿みたいにわたしは信じて、忘れないようにしていた。
けれどあいつはもう覚えてない。
傷つくのが怖いから、自分からは動けなくて。
ずっとずっと言えないまま。
伝えられないまま。
時間だけが過ぎ、本当の想いは心の底でそっと眠ってしまった。
だからわたしは待っている。
王子さまが、起こしに来てくれるのを。




