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追放された無能農家、魔物と“理の農業”を始めたら世界の流通を支配してしまった件  作者: 慈架太子


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28話 流れがぶつかる場所

28話:流れがぶつかる場所


 ――朝焼けが、赤い。


「……来たっすね」


 俺は、牧場の高台から見下ろして呟いた。


 地平線の向こう。


 黒い線。


 ゆっくりと、でも確実に近づいてくる。


「……多いな」


 マルタが笑う。


「今までで一番だ」


「っすね」


 頷く。


 数百。


 いや、それ以上。


「混成だ」


 グレインが言う。


「ギルド、貴族、商人連合」


「全部っすね」


「全部だ」


 完全に。


 “潰しに来ている”。


「……いいっすね」


 俺は、息を吐いた。


「まとめて来てくれたっす」


 マルタが笑う。


「一回で済むな」


 ハナが、静かに言う。


「準備できてる」


 土に触れる。


 地面が、応える。


「支える」


「っす」


 俺は、前に出る。


 そして――


「行くっす」


 ◇


 ――敵陣。


「……あれが」


 アルヴェルトが、目を細める。


「例の牧場か」


「はい」


 部下が答える。


「確認されている通り、魔物の統率が――」


「わかっている」


 短く言う。


 その横。


 農業ギルドのローディスが立つ。


「本来、ここまで来る前に止めるべきだった」


「結果論だな」


 アルヴェルトが返す。


「今は潰すだけだ」


 さらに。


 商人連合の代表もいる。


「流通は押さえている」


「なら問題ない」


 ローディスが言う。


「正義はこちらにある」


 その一言で。


 全てが揃う。


「……行くぞ」


 号令。


 軍が、動く。


 ◇


「……来るっす」


 俺は、静かに言った。


 目の前。


 圧倒的な数。


 でも――


「止める」


 マルタが、一歩出る。


 その瞬間。


 空気が変わる。


 “壁”。


 完全な。


 前線が、ぶつかる。


 ――ドン。


 衝撃。


 でも、崩れない。


「……通さねぇ」


 マルタが笑う。


 押し返す。


「回す」


 俺が言う。


 意識を広げる。


 全体へ。


 魔物へ。


 流れへ。


「右、崩す」


『了解』


 狼が動く。


 側面を切る。


「左、止め」


 蔓が伸びる。


 足を取る。


「前、押す」


 マルタが叩く。


 ――ドン。


 崩れる。


 でも――


「数が違う!」


 敵が叫ぶ。


 次々と押し寄せる。


「……いいっすね」


 俺は、静かに言った。


「回せるっす」


 全部見える。


 全部繋がる。


 でも――


「……来たな」


 グレインが言う。


「何っすか」


「本命だ」


 前線が、割れる。


 一点。


 そこだけ。


「……あいつっすね」


 あの男。


 第19話で来た、あの“上”。


「……また来たか」


 男が言う。


 静かに。


「確認の続きだ」


「今回は」


 俺は、前に出る。


「違うっすよ」


「何がだ」


「一人じゃないっす」


 その瞬間。


 空気が変わる。


「止める」


 マルタが動く。


 真正面から。


 ぶつかる。


 ――ドン。


 衝撃。


 互角。


「……ほう」


 男の目が、わずかに変わる。


「支える」


 ハナが言う。


 地面が固まる。


 崩れない。


「回す」


 俺が言う。


 全部繋ぐ。


 その瞬間――


 完全に、噛み合う。


「……なるほど」


 男が、小さく笑う。


「完成したか」


「っす」


 頷く。


「今度は」


 一歩前に出る。


「止まるっす」


 その瞬間。


 全体が動く。


 側面が閉じる。

 後方が切る。

 前線が押す。


 完全包囲。


「……いい」


 男が言う。


 そして――


 初めて、本気で踏み込んだ。


 ――ドン。


 衝撃。


 でも。


 崩れない。


「……止まってる」


 男が、わずかに驚く。


「止めるっす」


 俺は、静かに言った。


 その瞬間。


 流れが、変わる。


 押し返す。


 一気に。


「押せ!」


 俺が叫ぶ。


『おおお!!』


 魔物たちが、応える。


 前線が、進む。


 敵が、崩れる。


「なっ……!」


「押し返されてる!?」


 混乱。


 そのまま――


 戦場全体が、揺れる。


「……やるっすね」


 俺は、息を吐いた。


 まだ終わらない。


 でも――


「いけるっす」


 確信する。


 この戦い。


 勝てる。


 風が吹く。


 土が応える。


 魔物が動く。


 そして――


 戦場が、俺たち中心に回り始める。

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