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追放された無能農家、魔物と“理の農業”を始めたら世界の流通を支配してしまった件  作者: 慈架太子


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22話 繋がる力

22話:繋がる力、噛み合う力


 ――戻った瞬間、わかった。


「……やられてるっすね」


 牧場の空気が、明らかに違う。


 張り詰めている。


 でも――


 崩れてはいない。


「遅ぇぞ」


 マルタが笑う。


 その後ろ。


 敵。


 数十。


 装備も、動きも、統一されている。


「……軍っすね」


「混成だな」


 グレインが言う。


「ギルド、貴族、商人連合」


「全部っすか」


「全部だ」


 最悪の状況。


 でも――


「いいっすね」


 俺は、息を吐いた。


「全部まとめて試せるっす」


 マルタが、にやりと笑う。


「やっと帰ってきたな」


「すみません」


「いい」


 軽く手を振る。


「ちょうどいいタイミングだ」


 ハナが、静かに言う。


「整ってるよ」


 その一言で。


 全部、繋がる。


「……行くっす」


 前に出る。


 敵が、構える。


「来るぞ!」


 号令。


 一斉に動く。


 でも――


「止める」


 マルタが、一歩出る。


 その瞬間。


 “壁”ができる。


 完全に。


 前線が、止まる。


「回す」


 俺が言う。


 意識を繋ぐ。


 全体へ。


 魔物へ。


 流れへ。


「支える」


 ハナが言う。


 地面が応える。


 揺れない。


 崩れない。


 そして――


「……全部見えるっす」


 初めてだった。


 完全に、見える。


 位置。

 動き。

 意図。


 全部。


「右、三」


 言う。


 即座に、狼が動く。


「左、下」


 蔓が伸びる。


「前、止め」


 マルタが叩く。


 ――ドン。


 崩れる。


 敵が。


「なっ!?」


「なんだこの連携!?」


 声が上がる。


 でも――


 止まらない。


「……遅いっす」


 俺は、静かに言った。


 全部、見えてる。


 全部、繋がってる。


「……これが」


 小さく呟く。


「俺の役割っすね」


 戦わない。


 でも――


 勝つ。


 そのために。


「回せ」


 自分に言う。


 その瞬間。


 さらに、深く繋がる。


 魔物と。

 土と。

 仲間と。


「……いいね」


 ハナが、微笑む。


「届いてる」


「っす」


 頷く。


 そして――


 完全に、噛み合った。


「押せ」


 俺が言う。


 その一言で。


 全体が動く。


 前線が押す。

 側面が崩す。

 後方が支える。


 無駄がない。


 迷いがない。


 そして――


 止まらない。


「撤退!」


 敵が叫ぶ。


「持たない!」


 崩れる。


 完全に。


 数分。


 本当に、それだけだった。


 静寂。


「……終わりっす」


 俺は、息を吐いた。


 周囲を見る。


 誰も倒れていない。


 全員、立っている。


 完全勝利。


「……やるじゃねぇか」


 マルタが笑う。


「今のは文句ねぇ」


「っすね」


 俺も笑う。


 ハナが、静かに言う。


「繋がったね」


「はい」


 頷く。


 グレインが、苦笑する。


「もう“個”じゃないな」


「っすね」


 その通りだ。


 これはもう――


 “組織”。


「……来るぞ」


 マルタが言う。


「もっとデカいのが」


「来させるっす」


 俺は、前を見る。


 もう、迷いはない。


「全部、受けるっす」


 ハナが頷く。


「支えるよ」


 マルタが笑う。


「止める」


 俺は、息を吸う。


「回すっす」


 風が吹く。


 牧場が揺れる。


 でも――


 もう、ブレない。


 俺たちは、完全に一つだ。

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