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助け合う意味

 「……一人で全部やろうとするの、

 ほんと悪い癖だよね」


 森から少し離れた丘の上。

 ルミナは、草の上に仰向けになっていた。


 空は、ちゃんと青い。

 さっきまでの圧が嘘みたいだ。


 「……世界は優しくないけど、

 天気は裏切らないなぁ」


 隣に、無色の少女。


 今日は、少し距離が近い。


 「ねえ」


 独り言みたいに言う。


 「さっきさ、

 私より前に出るの反則だよ」


 少女は答えない。


 でも、

 ほんの一瞬だけ輪郭が揺れた。


 ――謝罪。


 「……はぁ」


 ため息をついた、そのとき。


 「おーい!

 生きてるかー?」


 明るい声が、上から降ってきた。


 「……誰」


 起き上がると、

 丘の向こうから一人の青年が現れた。


 軽装、

 剣を一本、

 やたらと笑顔。


 「いやぁ、森の前で

 すごい顔してたからさ」


 「……そんな顔してた?」


 「してたしてた。

 『世界に裏切られました』って顔」


 図星すぎる。


 「一応名乗っとくね。

 カイル」


 手を差し出される。


 ルミナは一瞬迷って、

 握った。


 色が、ふわっと広がる。


 「……うわ、綺麗」


 カイルが目を輝かせた。


 「君、面白い力持ってるね」


 「面白くはない」


 即答。


 「地味に困る系です」


 「それ、最高に冒険向きじゃん」


 「どこが!?」


 会話が軽い。


 久しぶりに、

 胸が少しだけ楽になる。


 「で?」


 カイルが、森の方を見る。


 「色を吸う森、入った?」


 「……入った」


 「負けた?」


 「……負けた」


 「そっか」


 カイルは、あっさり頷いた。


 「一人じゃ無理だよ、あそこ」


 「……え」


 拍子抜けするほど、

 簡単に言われた。


 「この辺、何人かで挑んでる。

 単独で行く人、ほぼいない」


 ルミナは、

 言葉を失った。


 (……私)


 (勝手に、一人で抱え込んでた)


 「助け合うの、嫌い?」


 カイルが聞く。


 「……嫌いじゃない」


 むしろ、

 得意なつもりだった。


 「じゃあさ」


 笑顔で言われる。


 「一緒にやろう」


 ルミナは、

 無色の少女を見た。


 少女は、

 カイルを見て――

 ほんの少しだけ、距離を取った。


 「……大丈夫」


 ルミナは、小さく言う。


 「この人、悪い人じゃない」


 根拠はない。

 でも、信じた。


 「……よし」


 ルミナは立ち上がる。


 「じゃあ、助け合いってやつを

 試してみようか」


 無色の少女は、

 その背中を見ていた。


 彼女はまだ、

 “仲間”に含まれていない。


 それでも。


 一人じゃないという事実が、

 ほんの少しだけ――

 世界を明るくした。


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