表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/24

選ばれる側と、消される側

カイルは、呼ばれた。


 それは、公式なものだった。


 「世界調整局」


 この世界において、

 “歪み”を正す組織。


 彼らは、優しかった。


 「君は、正常だ」


 白衣の男が言う。


 「感情も、記憶も、問題ない」


 「……それで?」


 「だからこそ、選ばれた」


 机の上に、書類が置かれる。


 《協力要請》


 対象:

 ――異物化個体(名称欠損)


 カイルは、理解した。


 それが、ルミナのことだと。


 ◆


 「彼女は、世界を不安定にする」


 「悪意はないが、危険だ」


 「排除、もしくは隔離が必要」


 淡々とした説明。


 感情は、ない。


 「……拒否したら?」


 白衣の男は、微笑んだ。


 「君も、記録から外れる」


 それは、脅しではない。

 事実だ。


 ◆


 夜。


 カイルは、ルミナに何も言わなかった。


 言えなかった。


 無色の少女は、気づいていた。


 「……来たね」


 「……うん」


 「選ばせるんだ」


 少女の声は、静かだった。


 「前の世界でも、そうだった」


 誰かが“残るために”、

 誰かを切る。


 ルミナは、微笑った。


 少しだけ。


 「……ねえ、カイル」


 「なんだ」


 「もし私が消えたらさ」


 言葉を選ぶ。


 「それでも、生きて」


 カイルは、拳を握りしめた。


 「選ばせるな」


 「世界は、そういうものだよ」


 ルミナの声は、

 もう少しで、届かなくなりそうだった。


 ◆


 その夜、無色の少女が言った。


 「ここから先は、

 誰かが裏切らないと、進まない」


 それは予言ではない。


 歴史の繰り返しだった。


 世界は、

 選ばれる側を用意する。


 そして、

 消される側を、静かに決める。


 次に削られるのは――

 名前だけじゃない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ