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光の端に

朝の光は、やる気がなかった。

 というかこの世界全体が、わりとやる気を出していない。


 「……またここかぁ」


 ルミナは森の端で立ち止まり、深いため息をついた。

 無色の森。名前からして不穏。

 しかも来るたびに、だいたい碌なことが起きない。


 なのに――足が向いてしまう。


 「私、絶対トラブルに好かれてるよね?」


 誰に言うでもなく愚痴をこぼしながら、

 彼女はふと、影の揺れに気づいた。


 そこに“誰か”がいる。


 でも、いない。


 「……あー、これ絶対ヤバいやつ」


 手を伸ばした瞬間、

 指先に触れたのは、冷たい孤独だった。


 胸が、ぎゅっと締めつけられる。


 ――まただ。

 この感覚。

 前にも、どこかで。


 「……ねえ」


 返事はない。

 けれど影は、ほんの一瞬だけ、揺れた。


 ルミナの手から零れた光が、

 微かに世界を染める。


 それは救いと呼ぶには、あまりに弱く。

 それでも確かに、“誰か”に届いた光だった。


 「……全部は無理でもさ」


 ルミナは、小さく笑った。


 「ちょっとくらい、救わせてよ」


 世界の端で、

 無色の少女の残響が、初めて“痛み以外”を感じた朝だった。


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