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23 看病と海

日中に投稿できたぁ

アラームが鳴ったのかどうか、定かではない。


目が覚めた瞬間、体が鉛のように重く、自分のものじゃないみたいだった。


頭は、鈍器で殴られたようにガンガンと痛む。


喉は、昨日とは比べ物にならないほど焼けるようにヒリヒリしていた。


「愛己、遅刻するわよ?」


母さんが、急に視界に入ってきた。顔が、いつもよりやけに大きく見える。


「これは熱あるわよ。38度は超えてるわね、多分」


「……マジで」


自分の声が、喉の奥で潰れて、か細い音にしかならない。


「とりあえず今日は病院行きね。学校には連絡しておくから」


「わかった」


意識を保つのが億劫で、すぐにまた、重たい瞼を閉じた。



一体、どれほどの時間が経ったのだろう。


途中母に送られ病院へ行ったがそれも定かじゃない。


部屋の暗さから、まだ昼なのだろうか。それとももう夕方? 時間の感覚が、生ぬるい膜に包まれたように曖昧だ。


体は相変わらず重い。頭の中は、熱で思考がまとまらない。


部屋の外から、遠くの出来事のように母さんの声が聞こえてきた。


「あら、いらっしゃい」


誰か来た。


「こんにちは。音羽美玲と申します」


——音羽さん?


起きなきゃ。でも体が動かない。


「まあ、愛己のお友達? 彼女だったりする? わざわざありがとう」


「いえ。愛己くんが休んでると聞いて、心配で」


「今、自室で寝てるの。ちょっと熱があって」


「そうなんですか」


「よかったら、見てきてあげて。私、これから夕飯の買い物行こうと思ってたから」


「いいんですか?」


「ええ、でも風邪が移っちゃいけないから長居は厳禁よ? 愛己の部屋は奥側の左手の個室だから」


「はい。ありがとうございます」


足音が近づく。



ドアが開く。


「愛己くん?」


美玲の声だ。


起きなきゃ。でも目が開かない。


「……寝てるのね」


足音が近づいてくる。ベッドの横で止まった。


「愛己くん、大丈夫?」


額に、冷たいものが触れる。美玲の手だ。


「熱、かなり高い。昨日の掃除で無理させたかな? ちゃんと休んで」


掃除? ああ、昨日……。


よく思い出せない。


「愛己くん」


——美玲さん。


なんとか目を開けた。視界がぼやける。


「……美玲さん?」


「あ、起きた?」


美玲の顔が、ぼんやりと見える。


「タオル……持ってきて」


「わかった、タオルね」


美玲が立ち上がる。



美玲が、濡れタオルを持って戻ってきた。


「はい」


額に乗せてくれる。冷たくて気持ちいい。


「ふふ、よかった」


美玲が笑ってる。優しい笑顔だ。


「水、飲む?」


「うん」


美玲が頭を支えてくれる。


ペットボトルから水を飲む。喉が少し楽になった。


「ありがとう」


「どういたしまして」


美玲が、ベッドの横に座る。


「薬は飲んだ?」


「朝……飲んだ。たぶん」


「そっか」


頭がぼーっとする。考えがまとまらない。


でも、美玲がいてくれる。それだけで、少し安心する。


「美玲さん」


「何?」


「ありがとう。来てくれて」


「どういたしまして」


「美玲さん……好き」


あれ。何言ってんだ、俺。


口が勝手に動いた。


「……知ってる」


美玲が、何か言った。


聞き間違い?


頭がうまく働かない。


目を閉じる。


「ちゃんと寝てね」


美玲の声が近い。


手が布団を直してくれる。


顔が、すごく近い気がする。


息が、止まる。


苦しい。


目を開けられない。



海だ。


深い海の中で、体が沈んでいる。


息ができない。


苦しい。


何度も浮かぼうとする。


でも、波が顔を覆う。


息が吸えない。


また沈む。


溺れる。


苦しい。



目が覚めた。


部屋は暗くなっていた。もう夜なのか。


「愛己、起きた?」


母さんの声。


「母さん……?」


「ええ。お友達、帰ったわよ」


「……誰?」


頭がまだぼんやりしている。


「音羽ちゃんよ。ずっと看病してくれてたわ」


ああ、美玲さん。


来てくれたんだ。


でも、何を話したっけ。


思い出せない。


顔が近かった記憶だけが、妙にはっきりしている。


あと、海の夢。


溺れた夢。


「お粥作ったわよ。食べられる?」


「うん」


母さんが、お粥を持ってきてくれた。


ゆっくり食べながら、美玲のことを考える。


——明日、学校行けるかな。


美玲に会いたい。


でも、少し怖い。


何を話したのか、思い出せないから。


何か、大切なことを言った気がする。


——まあ、いいか。


そう思って、もう一度目を閉じた。


最後まで読んで頂きありがとうございます。

夜勤明け眠い。

成島並みに意識がうつらうつらしてる。

誤字脱字あったら教えて。

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