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第一部:招待と浮遊する楽園

この度は拙作を読んでいただきありがとうございます。

ド素人の拙い文ではございますが、頑張って書きました。

ネタはあれど初めて書くので、内容で楽しんでいただければ幸いです。




<あらすじ>

最新ゲームで名を馳せる高得点ゲーマーたちが招待された、謎の特別体験イベント。ゲーマーである主人公・ヴァン(翔吾)は、期待を胸に豪華な空飛ぶ浮遊船へと乗り込む。しかし、楽しい時間は突如終わり、不可解な異変によって船は深海の未知の領域へと導かれる。ゴーグル越しに目にしたのは、現実離れした人工的な構造物が広がる驚異の世界だった。案内人は淡々と告げる、「これまでの体験は序章、『本当のゲーム』はここから始まる」と。仮想と現実が交錯する極限状況で、ヴァンはゲームを通じて絆を深めた仲間たちと共に、この巨大な体験の真相と隠された目的に挑むSFミステリーアドベンチャー。

■ プロローグ:日常と非日常への扉


壁一面を覆うように配置された三連モニター。

中央の最も大きな画面には、色鮮やかなファンタジーRPGの世界が広がっている。

左の画面では攻略wikiが開き、右の画面では人気ゲーム実況者の配信が流れている。

デスクの上には、形状も色も異なる複数のコントローラーが無造作に置かれ、使い込まれたゲーミングチェアが真ん中に鎮座している。

ここが、俺、ヴァン――本名、翔吾――の城だ。

高校を卒業してからというもの、バイトとゲームだけの毎日を送っている。

いや、正確には、バイトで稼いだ金はゲームにつぎ込み、それ以外の時間は全てゲームに捧げている、と言った方が正しいかもしれない。

友達と遊ぶ? もちろんオンラインで。

旅行? ゲーム内の広大なフィールドを探索すれば十分だ。

時間さえあれば、俺の手にはコントローラーか、スマホか、あるいはマウスとキーボードが握られている。


その日も、いつものように日課のデイリークエストを終え、参加しているオンラインゲームのランキングを確認していた時だった。

目指しているレイドボスの討伐タイムランキングは、またしても僅差でライバルにトップを譲っていた。

「くっそ、あと一歩…! いや、今のパーティー構成じゃこれが限界か? もう少し火力を盛るか、それともデバフ役を増やすか…」

画面を見つめながら、次の挑戦への戦略を練っていると、メールソフトの新着通知がタスクバーに小さく表示された。


どうせゲーム会社からの宣伝か、怪しい迷惑メールだろうと、最初は無視しようと思った。

だが、差出人の欄に「[GameExperience]」という見慣れない表記を見つけ、少しだけ興味が湧いた。

クリックしてメールを開く。

白を基調としたシンプルなデザインに、目を引く黒いフォントでこう書かれていた。


『拝啓、選ばれしプレイヤー様』

なんだこれ、中二病か? と一瞬思ったが、続く文章に目が釘付けになった。

『日頃は弊社ゲームコンテンツをご愛顧いただき、誠にありがとうございます。

この度、貴殿の卓越したプレイスキルと深いゲーム知識に対し、心より敬意を表します。

つきましては、来るべき『新しいゲーム体験』の幕開けとなる、特別先行体験イベントへ、謹んでご招待申し上げます。』


「…は? 特別先行体験イベント?」

本文を読み進める。

どうやら、過去にプレイした様々なゲームでの高得点や実績が認められ、選ばれた者だけが招待されたらしい。

そして、その「新しいゲーム体験」は、これまでのゲームの概念を覆すような、全く新しいものになる、と匂わせている。


『これは単なるゲームではありません。現実と仮想が融合し、五感を震わせる、まさに“体験”です。

詳細は当日まで伏せさせていただきますが、これこそが貴殿のような真のプレイヤーに相応しい舞台となるでしょう。』


「現実と仮想が融合…? 五感を震わせる…?」

怪しいと言えば怪しい。

個人情報をどうやって手に入れた? 高得点って、一体何のゲームの? 心配性な俺のもう一人の自分が問いかける。

だが、それを圧倒的に凌駕する感情が湧き上がってくる。


『新しいゲーム体験』

『これまでの概念を覆す』

『真のプレイヤーに相応しい舞台』


こんな煽り文句、ゲーマーの心をくすぐる以外の何物でもない。

もしかしたら、これはとんでもない「神ゲー」の誕生に立ち会えるチャンスかもしれない。

いや、単なるゲームのテストプレイというレベルではないらしい。「体験」だと言う。


「…行く。行くしかないだろ、こんなの!」

まるで新しいゲームのベータテストに当選したかのような、いやそれ以上の興奮と、未知の「神ゲー」への期待に胸を躍らせながら、俺は参加承諾のボタンをクリックした。


集合場所には、同じようにゲーマーオーラを放つ若者たちが集まっている。皆、どこかソワソワした様子だ。

指定された場所は、都心から少し離れた、だが最新技術の粋を集めたような、洗練されたデザインの施設だった。

入口で招待メールと身分証を提示すると、簡単な確認の後、待合スペースへと通される。

そこに集まっていたのは、俺と同じくらいの年齢の若者たちだ。

一見すると普通の、今どきの若者たちだが、少し観察すれば、彼らがただ者ではないことがすぐに分かる。


リュックからハイスペックそうなノートPCが覗いている奴。

指先で常にスマホをいじり、画面を高速でスクロールしている奴。

会話の内容が「アプデ」「 nerf」「バグ」といった単語だらけの奴。

服装は様々だが、どこか共通する「オーラ」を感じる。

そう、全員が「時間があればコントローラーを握っている」側の人間だ。


皆、俺と同じようにどこかソワソワしている。

初めてのオフラインイベントで緊張しているようにも見えるし、これから始まる「新しい体験」に期待を膨らませているようにも見える。

互いに探り合うような視線を交わしたり、既に知り合いらしきグループで盛り上がっていたり。

まるで、大規模なオンラインゲームのオフラインイベント会場みたいだ。


「うわ、結構いるな。みんなガチ勢っぽい雰囲気出してんじゃん」

俺もリュックを抱え直し、壁際に立って周囲を観察する。

自然と、一人一人の外見からどんなゲームが得意そうか、勝手にプロファイリングしてしまう。

あの体の大きな奴はFPSとか格闘ゲームかな。

隅っこで静かにスマホを見てる子はパズルとかシミュレーション系か? ああ、あのグループは明らかにMMO仲間だろうな。



■ 未知への乗船


しばらくすると、係員らしきスーツを着たスタッフが現れ、参加者を順番に誘導し始めた。

20名ずつのグループに分けられるらしい。

俺は15番目のグループに割り当てられた。

「ヴァンさん、こちらのグループになります。どうぞこちらへ」

スタッフに案内されて向かったのは、待合スペースの奥にある巨大な扉だった。


扉が開くと、その先には想像もしていなかった光景が広がっていた。

案内されたのは、まるで豪華客船のターミナルを思わせるような、広々とした空間。

そこに停泊していたのは、船、と呼ぶにはあまりにも未来的すぎる乗り物だった。全体的に滑らかな流線型をしており、表面は光沢のある特殊な素材で覆われている。

窓らしきものは少ないが、部分的に透明なパネルが埋め込まれている。


「これが…乗り物?」

他の参加者からも、驚きの声やざわめきが上がる。

ターミナルも乗り物も、どこかゲームの世界に出てきそうなデザインだ。

現実離れしている、だが妙にリアルに作り込まれている感じ。

その乗り物の前で、一人の男性が立っていた。スーツをきちんと着こなし、背筋は真っ直ぐ。

表情はほとんどなく、静かに参加者を見つめている。

彼が、招待メールに記載されていた案内人、平田和正だろう。


「皆様、ようこそ。私が本日の案内を務めさせていただきます、平田と申します」

彼の声は滑らかだが、抑揚に乏しく、まるで機械音声のように聞こえる。感情が全く読み取れない。

「これより、皆様にはこの『浮遊船エクスプローラー』にご乗船いただき、『新しいゲーム体験』の導入部分を体験していただきます。どうぞ、船内へお進みください」


「浮遊船」? その単語に、参加者たちの間で再びざわめきが起こる。

船なのに浮遊? 海を航行するのではなく、空を飛ぶということだろうか。

現実離れした響きに、期待と困惑が入り混じる。



■ 空飛ぶエンターテイメントクルーズ


乗り物、もとい浮遊船の内部は、外観以上に洗練されていた。

豪華客船のようなゆったりとした空間に、未来的なデザインの調度品が配置されている。

床は柔らかく、壁や天井には間接照明が施されている。一般的な乗り物の騒音はほとんどなく、静かで快適だ。


指定された席に座り、ベルトを締める。

窓の外はまだターミナルの風景だが、平田のアナウンスが流れる。

「皆様、シートベルトをご確認ください。間もなく離陸いたします」

離陸? やはりこれは空を飛ぶのか。緊張と興奮が高まる。

浮遊船は、驚くほど静かに動き出した。

音もなく、振動もほとんどない。

窓の外の景色が、ゆっくりと地面から離れていく。

まるで、ゲームでカメラアングルが上昇していくような感覚だ。


ぐん、とわずかに体が浮くような感覚。

そして、それまで感じていた重力から解放されるような、奇妙な浮遊感が訪れる。

「うおっ、マジかよ!?」

誰かが思わず叫んだ。

窓の外を見やると、地上の建物がみるみる小さくなり、視点はぐんぐん高度を上げていく。青い空が近づき、白い雲が眼下に見えるようになった。


「浮いてる…! 本当に空飛んでるぞ!」

「やべぇ! これ、CGじゃねぇんだろ!?」

船内から一斉に歓声が上がり、驚きの声が飛び交う。

普段は冷静なゲーマーたちも、さすがにこの光景には興奮を隠せないようだ。

俺も思わず息を呑んだ。

ゲームの世界で空を飛ぶことは何度もあったが、現実に(あるいは限りなく現実に近い形で)これを体験するのは、全く感覚が違う。


浮遊船は安定した飛行に移り、平田のアナウンスが再び流れた。

「これより、この浮遊船『エクスプローラー』にて、様々な最新ゲームアトラクションを心ゆくまでお楽しみいただきます。ご自由に船内を探索し、次の『体験』への準備を進めてください」

最新ゲームアトラクション? つまり、この浮遊船自体が、巨大なゲームセンターか、あるいは何かのゲーム空間になっているということか。

平田の言葉に、参加者たちの興奮はさらに高まった。



■ 交流と友情の芽生え


シートベルト着用サインが消え、参加者たちは一斉に立ち上がった。

皆、まるで新しいマップに入ったかのように、好奇心と期待に満ちた目で船内を見回している。

船内は想像以上に広かった。

最新鋭のVRゲームブース、巨大なスクリーンでプレイできる対戦ゲーム、アナログだが精巧なカードゲームやボードゲームが並べられたスペース、謎解きや脱出ゲームのようなアトラクションまである。

ゲーム好きにはたまらない空間だ。


最初は皆、目新しいゲームに夢中になったり、一人でじっくりプレイしたり、あるいはオンラインで名を馳せている他のプレイヤーはいないかと品定めしたりしていた。

俺もいくつかのゲームを試してみたが、どれもこれもグラフィック、操作性、体験の質が桁違いに高い。

これはまさに「新しいゲーム体験」の片鱗かもしれない。


しばらくすると、船内の雰囲気が少しずつ変わってきた。

一人で黙々とプレイしていた参加者たちが、隣のプレイヤーに話しかけたり、協力プレイが必要なアトラクションで自然とチームを組んだりし始めたのだ。

「このボス、どうやって倒すんだ?」

「おい、これ一人じゃ無理だろ!」

「誰か、これ手伝ってくれー!」

そんな声があちこちから聞こえ始めた。


ゲーマーというのは、結局のところ、面白いゲームを共有し、攻略する喜びを分かち合いたい生き物なのかもしれない。

俺は、船内の一角にあるVRシューティングアトラクションの前で足を止めた。

最新型のVRゴーグルと、手に持つコントローラーはまるで本物の銃器のようだ。これは面白そうだ、と一人で始めようとした時、隣のブースに立つ、体の大きな青年が声をかけてきた。


「おい! ソロか? これ、二人でやった方が絶対面白いぜ!」

屈託のない明るい声だ。

彼も俺と同じグループの参加者らしい。

少し茶色っぽい髪を短く刈り込み、筋肉質な体格からはFPSや対戦ゲームをやり込んでいるような雰囲気を感じる。


「あ、マジ? じゃあ、一緒にやるか」

俺は快諾し、二人でシューティングゲームに挑戦した。

次々と現れる敵を、互いに声を掛け合いながら撃破していく。

彼のプレイスタイルは、考えるより先に体が動くタイプ。

リスクを恐れず前に出て、敵の注意を引きつけるのが得意そうだ。


俺は冷静に後方から援護し、危ない敵を優先的に排除する。

連携が上手くハマった。

「うおっ! ヴァン、ナイスカバー! 危うく死ぬとこだったぜ!」

突然、彼は俺のゲーム名を知っているかのように「ヴァン」と呼んだ。

驚いたが、きっとプロフィールか何かで表示されているのだろう。


「おう、スタッツマン。そっちこそ、突っ込みすぎだろ。死んだら元も子もねぇぞ」

俺も彼のゲーム名らしき名前で呼び返した。

彼の名前は「スタッツマン」

いかにもFPSプレイヤーらしい名前だ。

「へへっ、つい体が動いちまうんだよ! でもヴァンの援護、マジ助かるわ! エイムやべぇな!」

「スタッツマンの突撃も、いい具合に敵の注意を引いてくれた。おかげで側面から撃てた」

一回のプレイが終わる頃には、俺たちはすっかり意気投合していた。


互いのプレイスタイルを認め合い、まるで昔からのフレンドだったかのように、ゲーム名で呼び合って他愛もない会話を始めた。

「なあ、ヴァン。次は何やる? あそこのカードゲーム、なんか難しそうだけど面白そうじゃね?」

スタッツマンが指差す先には、複雑なルールらしき説明がされているカードゲームがあった。

確かに対戦相手はAIのようだが、かなりの思考力が要求されそうだ。そんなゲームに目を付けている人物が、近くにいた。


「あのゲームは、おそらくリソースマネジメントが鍵になるかと。序盤の展開で後半が大きく変わるタイプに見えます」

静かな声だった。

声の主は、細身で眼鏡をかけた、物静かそうな青年だ。

彼も俺たちと同じグループの参加者らしい。

彼の名前は「メドウス」

ストラテジーゲームやパズルゲームが得意そうな、インテリ系ゲーマーの名前だ。


「お、メドウス! やっぱそう思うか? 俺、ああいうの苦手なんだよなー。なんか難しそうで」

スタッツマンがメドウスに話しかけた。

「ヴァンの言う通り、面白そうですね。もしよろしければ、一緒にプレイしませんか? 戦略を練る相手がいると、より深く理解できるかと」

メドウスが俺たちに提案してきた。

「いいな! メドウスの頭脳借りるぜ」

俺は二つ返事でオーケーした。

スタッツマンも「俺も混ぜてくれー! 足引っ張るかもしんねぇけど!」と元気よく手を挙げた。


三人でそのカードゲームに挑む。

スタッツマンは直感的なプレイングだが、メドウスは驚くほど冷静沈着に状況を分析し、的確なアドバイスをくれる。

「ヴァン、ここは一度防御に徹しましょう」

「スタッツマン、そのカードは次のターンまで温存した方が…」

メドウスの指示はいつも最適解に近く、まるで優秀な軍師のようだ。


俺とスタッツマンは、メドウスの戦略を元に、それぞれのプレイスタイルで駒を進める。

スタッツマンの大胆な一手が活きたり、俺の冷静な判断が窮地を救ったり。三人の歯車が噛み合った時、AI相手に快勝することができた。

「うおー! 勝った! メドウスすげぇな!」

「ヴァンの判断も流石だぜ!」

スタッツマンが興奮して俺たちの肩を叩いた。


「メドウス、あんたのおかげだよ。一人じゃ絶対無理だった」

俺は心から感心した。

「いえ、ヴァンの的確な状況判断と、スタッツマンの勇気ある行動があってこそです」

メドウスは控えめに微笑んだ。


この一件で、俺とスタッツマンはメドウスを完全に信頼するようになった。

メドウスも、俺たちの違う強みを認めてくれたようだ。

そして、俺たちはメドウスを「メドウス」と、彼は俺たちを「ヴァン」「スタッツマン」と、自然とゲーム名で呼び合うようになった。


三人はそのまま一緒に船内を回ることにした。

次に俺たちの目が留まったのは、広大なファンタジー世界を自由に探索できるタイプのVRアドベンチャーゲームだ。

これはマッカルモントが好きそうなジャンルだな、と話していると、その「マッカルモント」本人が近くにいた。


「あー、このゲーム、グラフィックすげぇね! どこまで行けるんだろ?」

彼はゆったりとした動きでVR空間を漂いながら、呑気な声で言った。

彼も同じグループの参加者で、名前はマッカルモント。

どこか掴みどころのない、自由奔放な雰囲気を纏っている。

MMORPGやオープンワールドゲームを好むという話は、彼の見た目や態度からも納得できた。


「マッカルモント! こんなとこにいたのか。このゲーム、一緒にやろうぜ。」俺は声をかけた。

「お、ヴァンじゃん! スタッツマンとメドウスも一緒か。いいよー、なんか面白いもの見つかるかもね」

マッカルモントは快く応じた。


四人で同じVRアドベンチャーゲームの世界にログインする。

スタッツマンは手当たり次第にモンスターに突っ込みたがり、メドウスはマップの地形やオブジェクトを注意深く観察し、マッカルモントはメインルートから外れて見慣れない方向にどんどん進んでいく。

俺は全体を見ながら、彼らの行動をサポートしたり、時に軌道修正したりする役だ。


「おい、スタッツマン! そこ罠だぞ!」

「メドウス、なんか変なマーク見えた?」

「マッカルモント、どこ行くんだよ!」

最初はバラバラだったが、それぞれのプレイスタイルが組み合わさることで、思わぬ発見があった。

マッカルモントが偶然通りかかった崖の裏に隠し通路を見つけたり、メドウスが地形から推測して隠された宝箱の場所を特定したり。


スタッツマンの豪快な戦闘で道を切り開き、俺が状況を分析して効率的なルートを指示する。

「うわ! マッカルモント、すげぇとこ見つけたな!」

「メドウスの推理、当たりかよ!」

互いの得意分野を活かし、助け合いながらゲームを進めるのは、何倍も面白かった。

最初はお互いのゲーム名を知っているだけだったが、一緒にゲームをプレイし、笑い合い、時にはピンチを乗り越える中で、俺たちの間には確かな絆が生まれ始めていた。


ゲームが終わった後も、俺たちは自然と行動を共にしていた。

スタッツマン、メドウス、マッカルモント。

いつの間にか、俺は彼らをゲーム名で呼び、彼らも俺をヴァンと呼ぶようになっていた。

まるで、現実世界に飛び出してきたゲームパーティーみたいだ。


「いやー、面白かったな! 次は何やろっかなー?」

スタッツマンが目を輝かせている。

「この船内には、まだ他にも未知のゲームがありそうですね。ヴァンの言う通り、探索する価値はありそうです」

メドウスが冷静に分析する。

「あはは、スタッツマン元気だね。俺はちょっと休憩ー。あのフカフカのソファ、座り心地良さそうだったんだよねー」

マッカルモントはマイペースだ。


「休憩もいいけど、せっかくだし何かやろうぜ。なんか面白いイベントとかないかな。」俺もすっかり、彼らといるのが楽しくなっていた。

空飛ぶ浮遊船の上で、俺たちゲーマー四人組は、最高の「ゲーム体験」を享受していた。

この時、これから起こる非日常が、単なるゲームの延長ではないことなど、知る由もなかった。

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