第5章: 不安な予感
七奈との時間が楽しいものである一方で、心の奥に不安が残っていた。彼女の体調が最近、少しずつ悪化していることに気づき、どこかで何かが進行しているのではないかと感じる瞬間が増えてきた。音楽に対する彼女の情熱が、私たちの絆を深める一方で、彼女の体調の変化にはどうしても目をつぶれない。
ある日、放課後の音楽クラブで活動が終わり、七奈が「今日は早めに帰るね」と言った。彼女の声には明らかに疲れが漂っており、その表情もどこか元気がなかった。僕は心の中で不安が募り、その場を見送るだけではいられなくなっていた。
「本当に大丈夫なの?」と、僕はつい心配してしまった。
「うん、大丈夫だよ。ただ今日は少し疲れたみたい。」
七奈はそう言って、笑顔を作ろうとしたが、その笑顔にはどうしても引きつりが見えた。彼女のことを気にしながら、僕はその場で立ち尽くし、心の中で彼女の健康を案じた。
家に帰ると、僕の心は安らぐどころか、ますます不安でいっぱいになった。七奈が元気でいてくれることがどれほど大切かを思い、彼女の健康に対する気遣いが強くなった。どうにかして彼女の体調が良くなるように、何か手助けができるのではないかと考えながら、その日は眠れずに夜を過ごした。
次の日、学校で七奈が登校してくると、その顔色は昨日よりもさらに優れないように見えた。彼女は無理に明るく振る舞おうとしていたが、その体調の変化が隠しきれない様子だった。僕は彼女に対して、無理に元気を出させることなく、ただ静かに支えることが最良だと感じた。
音楽クラブの活動が終わった後、七奈が「今日はちょっと外に出て気分転換しよう」と提案してきた。彼女が外に出たいというその言葉に、少し安心感を覚えながらも、体調を心配していた。僕たちは近くの公園に向かい、自然の中で少しリラックスする時間を持った。
公園のベンチに座りながら、七奈が少し疲れた様子で
「こうして外に出ると気持ちが楽になるね」
とつぶやいた。僕はその言葉を聞いて、少しでも彼女の心が軽くなればと思いながら、静かに彼女と共に過ごした。
「音楽があるから、気持ちが救われるよ」
と七奈が言うと、僕もその気持ちに共感した。音楽が彼女にとってどれほどの力になっているのかを感じる一方で、彼女が体調に対する不安を抱えていることを考えると、どうしても胸が苦しくなった。
その晩、僕は再び七奈の体調について思いを巡らせていた。彼女のために何かできることがあるのではないかと、心の中でさまざまなアイデアを考えたが、どれも十分ではないように思えた。七奈の体調が少しでも良くなるように、音楽を通じて彼女を支えたいと思う気持ちが強くなるばかりだった。
翌日も七奈の体調に変化はなく、彼女が「今日は少しだけ音楽を聴きたい」と言って、僕が持参したCDを一緒に聴くことにした。音楽が流れる中で、彼女の顔には少し安らいだ表情が浮かび、その表情を見ると僕もまた安心することができた。
音楽が彼女の心を少しでも癒していることを感じながら、その一瞬一瞬を大切に過ごすことが、僕にとって最も重要なことだった。彼女が少しでも元気を取り戻すように、音楽と共に支え続ける決意を新たにしながら、僕は彼女の側にいることを続けた。




