第2章: 友情の始まり
転校初日から数日が経ち、僕は新しい学校の雰囲気に少しずつ慣れてきた。クラスメートたちともなんとか打ち解け始めたけれど、まだ完全に馴染んだとは言い難かった。そんな中、七奈と再び会う機会が訪れた。
その日、音楽クラブの見学に行くことを決めた僕は、放課後の音楽室に向かっていた。ドアを開けると、既に部室の中は賑やかな雰囲気で、いくつかの楽器が所狭しと並んでいた。七奈はもちろん、音楽クラブの他の部員たちも和気あいあいとした様子で、僕が入るとみんなが一斉に振り向いた。
「こんにちは、蓮さん!来てくれてありがとう!」
七奈が笑顔で手を振りながら迎えてくれた。彼女のその明るい笑顔に、心から安心した。僕は軽くお辞儀をして、音楽室に入った。
「こんにちは。今日は見学に来ました。」
僕がそう言うと、七奈は嬉しそうに頷き、僕を部員たちに紹介してくれた。
「皆さん、こちらが転校生の蓮さんです。音楽クラブに興味を持ってくれているそうです!」
部員たちはそれぞれに温かい歓迎の言葉をかけてくれた。中にはまだあまり話したことがない人もいたけれど、みんながフレンドリーで、僕はすぐに打ち解けることができた。
その後、七奈がいくつかの楽器を紹介してくれた。ピアノの他にも、ギターやドラム、サックスなど、さまざまな楽器が並んでいた。七奈は、これらの楽器の使い方や特徴を丁寧に説明してくれた。特に、彼女がピアノの音色を紹介してくれるとき、その目の輝きが一層強くなり、音楽に対する彼女の愛情がひしひしと伝わってきた。
「どう?何か興味がある楽器はある?」
七奈がそう聞いてきたので、僕は少し考えた後、ギターを指差した。
「実は、ちょっとだけギターを弾くんです。もしよければ、ギターの音も聴いてみたいんですけど」
七奈は笑顔で頷き、部員の一人にギターを持ってきてもらうように頼んだ。そのギターを手に取った部員が、軽くストロークをして音を鳴らすと、その澄んだ音が部屋に広がった。僕はその音を聞きながら、自分でも弾いてみたくなった。
「蓮さんも弾いてみる?」
七奈が提案してくれたので、僕は少し緊張しながらもギターを手に取った。みんなの視線が集まる中で、何とか自分の好きな曲の一部を弾いてみた。曲が終わると、部員たちから拍手が送られ、僕はほっとした。
「すごいですね、蓮さん!」
部員の一人が褒めてくれた。その言葉に少し照れくさかったけれど、嬉しい気持ちが込み上げてきた。
その後のクラブ活動では、七奈と僕は音楽の話で意気投合した。彼女がどんな曲を好むのか、どんなアーティストが好きなのかを聞くうちに、自分と似た趣味を持っていることがわかり、とても嬉しかった。
「実は、僕最近よく聴いているアーティストがいて、そのアーティストが野外ライブするんです。もしよかったら、今度一緒に行きませんか?」
僕が提案すると、七奈の目がキラリと輝いた。
「いいですね!私もそのアーティストの曲、興味があったんです。ぜひ聴きたいです!」
その日の終わりに、七奈と約束を交わしながら、音楽クラブの活動が終わるのを見守った。帰り道、僕は音楽室での出来事を振り返りながら、心が温かくなっているのを感じた。
次の日、七奈と約束した通り、一緒に音楽を聴くことになった。彼女の家に招かれたのは、初めてのことだったけれど、彼女が音楽に対してどれほどの情熱を注いでいるのかを知る貴重な機会だと思った。
七奈の家に到着すると、彼女が笑顔で迎えてくれた。家の中には、いくつかの楽器が飾られており、音楽に囲まれた空間が広がっていた。彼女の部屋に案内されると、大きなスピーカーがあり、そこから流れる音楽が心地よかった。
「これが僕が最近ハマっているアーティストの曲。どうかな?」
七奈がCDを取り出し、音楽を再生してくれた。流れ出した曲は、僕が以前から好きだったアーティストのもので、まさにツボだった。七奈がそれに気づき、嬉しそうに微笑んでいた。
「うわ、これ本当にいい曲ですね!私もこのアーティストのファンになりそうです」
僕たちは音楽を聴きながら、そのアーティストや曲の話で盛り上がった。共通の趣味があることで、自然と会話が弾んでいった。
「これからも、たくさん音楽の話をしましょうね!」
七奈がそう言ったとき、僕は彼女の言葉に深く頷いた。音楽という共通の趣味を通じて、二人の距離が一気に縮まったのを感じた。
その後も、七奈とは音楽を中心にした楽しい時間を過ごし、互いに感想を交換し合いながら、音楽への理解を深めていった。音楽を通じて、七奈との友情が育まれていくのを実感した。
そして、数週間が過ぎる頃には、七奈と僕はすっかり親しい友人になっていた。音楽クラブの活動もますます楽しくなり、七奈と一緒に過ごす時間がどんどん増えていった。彼女との友情が、僕の学校生活において大きな支えとなり、新しい環境にも少しずつ馴染んでいくことができた。
これからどんな日々が待っているのか、まだ予測はつかないけれど、少なくとも今は七奈との友情が僕の心を温め、未来に対する期待感を抱かせてくれるものだった。




