第11章: 永遠のおやすみ
七奈の最期の時が近づくにつれて、私たちの毎日は静かで、そしてどこか寂しさを帯びていた。彼女の体調が次第に悪化していく中、私はその変化を受け入れることができずにいた。毎日、彼女の笑顔を見ようと努める一方で、その笑顔の背後にある痛みを無視するわけにはいかなかった。七奈の家は、彼女の音楽と共に過ごした思い出が詰まった場所となり、最後の瞬間まで彼女の一部であり続けた。
ある日の午後、七奈が突然「これから静かに過ごしたい」と言い出した。その言葉には疲労感がにじみ出ており、彼女の状態が本当に悪化していることを示していた。彼女は普段から自分の感情や状況をあまり口にしない人だったが、その日はいつもよりも正直な言葉を使った。彼女がその言葉を発した瞬間、私の心に重い石が乗ったような感覚が広がった。
彼女の部屋には、七奈が大切にしていた音楽関連のアイテムや、彼女が愛用していた楽器が静かに置かれていた。いつもと違って、部屋は普段の明るさを失い、どこか物寂しい雰囲気が漂っていた。七奈はその部屋で、静かに最期の時を迎えようとしていた。
七奈はベッドに横たわりながら、時折目を閉じて休むようになっていた。私がそのそばに座り、彼女が少しでも快適に過ごせるようにと、音楽を流し続けた。彼女が作曲した楽曲や、彼女が好きだった曲を流すことで、少しでも心の安らぎを提供しようと努めた。
その日の夕方、七奈の呼吸が次第に浅くなり、体温が冷たくなっていくのが感じられた。彼女はもうすぐ永遠の眠りに入るのだろうと、私も心の準備をし始めていた。彼女が最後に見せた微笑みは、どこか平和なものであり、その微笑みを見ていると、彼女の心が静かに安らかであることを感じた。
七奈の最後の時が近づく中、彼女の目は優しく、穏やかに閉じられ、その呼吸もだんだんと弱くなっていった。私はその時、彼女の手を優しく握りしめ、彼女が最後の瞬間を穏やかに迎えられるようにと祈り続けた。彼女の手は温かく、しかし次第に冷たくなっていき、その変化が一層私の心に重くのしかかった。
七奈の呼吸が途絶えた瞬間、部屋には深い静寂が広がった。彼女の最後の瞬間を見守る中で、私は彼女の心がどこか遠くへと旅立っていくのを感じた。その静かな別れの中で、彼女の存在がどれほど大きかったのかを改めて実感し、その心が私にとってどれだけ大切なものであったかを思い知らされた。
七奈の死後、私は彼女が残した音楽やメッセージを一つ一つ確認し、その内容に込められた彼女の思いを胸に刻んでいった。彼女が生前に遺した音楽には、彼女の人生の全てが込められており、その音楽を通じて彼女の心を感じることができた。その音楽を聴くたびに、彼女の存在がどれほど大きかったのかを痛感し、その思いを受け継ぐことが私の使命であると感じた。




