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1 二人の異世界人

 現れたのは冒険者のような恰好をした二人の男性だった。

 私に声をかけてくれたのは、肩までの茶髪で水色の瞳を持ち、顔の整った背の高い男性だった。さくらの身長が158㎝なので、この男性はゆうに180cmは超えているんじゃないだろうか。


「だ、大丈夫です……」


 ドギマギしながら答える。だってこんなに顔の整った人見たことないんだもの! 思わずじーっと顔を見てしまう。


「……怪我はない?」


 茶髪の男性の後ろから声をかけてくれたのは、褐色の肌に黒い髪、灰色の瞳をもつ男性だった。

 私はあまりのことに大きく目を見開いてその男性を見てしまった。

 頭に……耳? 耳がある~~!

 よく見ると……しっぽ!しっぽもある~~!!

 コスプレ? コスプレなの?!


 あまりに私が驚いて凝視していると、茶髪の男性が私の顔を見てプッと吹き出す。


「獣人を見るのは初めてかい?」


「……獣人?!」





 あらためて二人の男性は私に自己紹介をしてくれた。


 まず最初に私に声をかけてくれた男性の名前はレオリック。さらさらの茶髪に、水色の瞳が爽やかだ。茶色いローブの下に銀色の鎧が見える。背中にはバックパックを背負っている。穏やかで優しそうな雰囲気のあるイケメンだ。


 もう一人の男性の名前はキーラン。

 犬の耳と尻尾をもつ、犬の獣人らしい……コスプレじゃなかった!

 褐色の肌に黒い短髪、芯の強そうな灰色の瞳が印象的だ。レオリックほどではないが身長が高い。彼もレオリックと同様に背中にバックパックと弓を背負い、腰には剣を下げていた。


 あまり不躾に見てはいけないとは思うが、やっぱり耳や尻尾に目がいってしまう。獣人なんて当たり前のことだが見た事なんてない。

 やっぱりここは地球ではない……ここはどういう世界なんだろう。


「私はさくらといいます。先ほどは助けて頂いてありがとうございました」


 私はぺこっと頭を下げた。


「こんなところで何をしていたの?」


 レオリックは狼に刺さった剣を抜きながら私を見た。どう答えたらいいのか、困惑してしまう。


「それが……私もよくわからないんです」


「わからない?」


 顔をしかめる二人に、私は説明した。神社の奥にある屋敷にいったこと、その屋敷の中にあった鏡を触ったら落ちたこと、気づいたらここに倒れていたこと。私の隣で座っているくーちゃんのことも二人に紹介した。


「ちょっと俺にもよくわからないかな……。その神社というのは何だい?」


 この世界には神社がないのだろうか?

 二人に神社の説明しながら、私はとても不安になってきた。

 私は小さいころから神社に慣れ親しみ、そこでよく遊んでいた。静かで不思議と落ち着く場所だった。友達や姉弟と喧嘩をすると神社に行き、そこにいる野良猫たちに慰めてもらっていたものだった。言わば、私にとってはなくてはならない、安心できる場所。


「教会みたいなもんか?」


 キーランが言うとレオリックが頷く。


「神に祈りを捧げる場所ならそうだね」


「教会……」


 よく冒険ものの小説に出てくるような場所だろうか。


「それより、もうすぐ陽が落ちる。このままここにいることはできない」


 レオリックはそう言いながら私を見る。


「夜になると、色んなモンスターが活発になり、危ないんだ。とりあえず、近くの村に一緒に行こう」


 レオリックの言葉にキーランも頷く。


「私も一緒に行っていいんですか?」


「もちろんだよ。くーちゃんもね」


 レオリックの優しい微笑みに、ほっと安心した。またあんなのが出てきたら、私とくーちゃんだけでは今度こそ危ないかもしれない。


「ありがとうございます」

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