【うらばなし】収穫と連載開始に至るまでのはなし
夢、というと文月の夢は自作品の書籍化です。
突き詰めて言えば、売り物に出来るクオリティの作品を作って大勢に読まれたい。
書籍化はそのために必要な手段というか、絶対に踏むべき通過点なわけです。
もちろん、自作品が本になる事、それ自体に魅力を感じるというのもありますが。
とにかくそういう理由で、「Ptの多い少ないは気にしない」なんて言った癖にすごく矛盾するけれど、文月はランキング上位にいくためにも、Pt評価をもらえるようにそういう作品作りをしなければなりません。
短編でもそれは変わらず、だから、その点で言えば『アンデッド・ゲームズ・メモリー』は失敗の枠になるのかなぁ。そう思います。
ただ、収穫はありましたし、結果的に連載も始める事にもなりました。
収穫?あったのかよ、そんな作品に。
えぇ、ありました。
デスゲーム系の作品は特に、主人公とそれ以外のキャラにまで刺激的で危機的な状況を与えます。
だからこそ、主人公達の立場に強い共感が生まれ、今回の作品はとても心理描写がしやすかった。
つまり、登場キャラに強く共感するシーンの描き方を学べたのです。
それは書く上でも、読むという観点でも重要な要素で、十分な収穫だったのではないかなと。
そうそう、これは連載開始の理由にも繋がる話ですね。
突然ですが、『第七魔眼の契約者』という作品があります。
はい、文月の作品です。
連載をしていたのですが、書いている内に少しずつ書きたい内容からズレて行っている気がしていました。
おかしい、何だろう、評価やブクマは今までで最高。分かっている。……でも、コレじゃない、何かが違う、何かが間違っている。
そう感じ始めていた時に、『アンデッド・ゲームズ・メモリー』の収穫を経た文月は、今の連載作にはそういった描写が足りないし、物語の作り込みが甘いという事に気付きました。
一方、『アンデッド・ゲームズ・メモリー』は評価こそ低かったですが、世界観はすごく面白かったと思うし、今までで一番登場キャラクターに感情移入出来た物語でした。
情けないですが、現実の自分よりも、夢の自分が思い付く話の方が一枚上手だったわけです。
さらに厄介な事に、話の続きが脳裏に浮かんで来やがりました。
こうなると止められません、1章分のストーリの大枠が、自分でも驚くくらいスルスルと出来上がっていきました。
決断には、相当の時間がかかりました。
『第七魔眼の契約者』の話は、実は3章分まで構想は考えていました。
寧ろ、3章まで書き切らないと、話が中途半端になってしまうまでありました。
だからこそ、続きは書くべきだったのです。
読んでくれる方も結構いましたし。
ただ、このまま書きたい内容から離れるくらいなら、まだクオリティが保たれている間に――ここまでで終わっておく方がいいとも思いました。
2章の終盤まで書くと、酷い終わり方になりそうな気がしましたので、全体の半分のキリの良い所で『第七魔眼の契約者』は終わりにさせて頂きました(実は閑話を思いついて、また書いちゃってますが(汗))。
ともあれ、そういう経緯で、『アンデッド・ゲームズ・メモリー』の連載版を開始する事になったわけです。