表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/116

〜お世話され慣れていない姫とお世話したいメイド長③〜


「こちらが大浴場でございます。お部屋にも小さな湯浴み場はありますが、折角なので本日はこちらをお使い下さい」


「わぁ・・・・・・」


 食事を終え、地下にある大浴場にピナ様をご案内すると、その威容を目の当たりにした途端彼女は感嘆のため息を漏らした。・・・分かるなぁ。私も初めてここに連れてこられた時は、暫く開いた口が塞がらなかった。


 広々とした空間は、全て艶やかに磨かれた石で造られており、幾つもの小川のような水路からは、不思議と癒される香りがするお湯が流れ込んでいる。


 派手な彫刻などは置かれていなくとも、清潔感と温かな光に満たされたこの空間は、美しいという他無い。


「さ、ピナ様。脱衣所はこちらです」


「あ、はい・・・・・・えっと、もしかして、ソアヴェさんもご一緒に?」


「もちろんでございます。私はピナ様のお世話を仰せつかっておりますので。お背中を流させて頂きます」


 まあぶっちゃけ、お客人をもてなすのにそこまでした事なんて今まで無いけど。こんな可愛い子の背中を流せる機会なんて早々無いし。


 ・・・・・それに、後であのヘタレ魔王様に自慢して煽るのも楽しそうだし、ね。


「そんな! だ、大丈夫です! 母国ではいつも、自分の世話は自分でしておりましたので・・・・・」


「いえいえいえ。これもメイドの務め。それとも、ピナ様は私と湯浴みをするのはお嫌でございますか?」


「い、いえ、決してそのような・・・・・・・」


「では、参りましょう。さあさあ、そうと決まればドレスをお脱ぎ下さい。お手伝いさせて頂きますからね」


「え!? そ、それは流石に自分で出来ますから!」


「まあまあ、遠慮なさらずに。・・・うふふ」


 食事をしたお陰か、先程までより幾分かお元気になったようで何より。


「うぅぅ・・・」


「あら! ・・・まあまあ、やっぱり綺麗なお身体ですね」


 スルスルとドレスを脱がして行くと、白く華奢な肩や、折れてしまいそうなほど細い腰が露わになる。

 お胸も大きくは無いけれど、綺麗な形でしっかりと主張している。


 ・・・・・・でも、充実した食事を摂っている王族や貴族なら、本来もっと肉付きは良い筈よね。


「あ、あまり見ないで下さい。この様な貧相な身体・・・」


「そんな事はありませんよ。それに、毎日このお屋敷で食事をしていれば、嫌でももっとお肉が付きますから。昔の私もそうでしたし」


 自分もメイド服を脱ぎ、タオルを身体に巻いてから、ピナ様を浴場へと促す。


「・・・・・・肉付き」


 私の身体、主に胸に視線を注ぎながら、彼女はぽそりと何かを呟く。


「ん? どうかされましたか?」


「い、いえ! えっと、ソアヴェ様はもともと、魔王様にお仕えする家系の方では無いのですか?」


「ああ、そう言えば、その話をしておりませんでしたね・・・」


 私は鏡台の前に彼女を座らせ、石鹸を泡立てながらゆっくりと口を開く。


「私は、いえ、この屋敷に仕えている者達は皆、もともと貧民街の孤児だったのです」


「え・・・・・・」


「驚かれますよね。・・・もう七年も前になります。あれは、シャル様が魔王の玉座に着かれて、まだ間も無い頃の事で・・・・・・」


 ピナ様の身体を洗いながら、私は懐かしくも愛おしい、我らが魔王様との出逢いを語る事にした。

次回は回想ですが、やっと魔王様が出てきそうですね。・・・・・・肉付きw

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ