〜悪食の古竜〜
「グルアアアアアアアアアッッッ!!!!!」
「くっ!?」
魔王城を揺るがすほどの凄まじい咆哮を轟かせながら、俺を食らわんと突進してくる巨竜グーラ。
片腕に気絶したピニーを抱いている俺は、近接戦闘に持ち込まれる訳にはいかない。
「『ロア・ジェイル』!!!!」
「ガァッ!?」
奴の足元から漆黒の鎖を無数に出現させ、その巨体を拘束する。
・・・・・・・だが、
「・・・・グラオオオオオッッッッッッッ!!!!!!!」
「なっ!?」
地底深くで圧縮され、この世で最も硬いと言っても過言では無い鉱石で生成された鎖を、グーラはいとも簡単に力づくで破壊して拘束から逃れる。
エンシェント・ドラゴン・・・・・・決して侮っていた訳では無いが、予想以上の化け物のようだな!?
「そんなぬるい魔法じゃ、こいつはどうにも出来ないぜ? ほら、さっさとしないと、大事な妹が食われちまおうぞ?」
「ちぃっ!? 黙れっ!!」」
ロマネの言葉に乗るようで癪だが、出し惜しみしている暇は無い。俺は殲滅級魔法の中でも最も凶悪な滅尽の光を放つ魔法で、グーラを奴ごと焼き滅ぼしにかかる。
「『ノア・リヒト』!!!!!!」
天から降り注ぐ神の裁きの如く、轟音を響かせながら莫大な光の奔流が奴らを一瞬にして呑み込み、その全てを灰燼に帰す・・・・・・・はずだった。
「無駄だよ。なあ? グーラ」
「グルアアアアアアッッッッ!!!!!」
「っっっっ!?」
だが、事もあろうに巨竜はその大き過ぎる顎門を開き、天を仰ぐように首を持ち上げると、降り注ぐ滅尽の光を吸い込むようにして己の体内に全て収めてしまった。
「馬鹿な!? あの光を呑み込めるはずが・・・・・」
「言っただろう? 何でも喰っちまうって。こいつの腹は特別製だ。地獄の業火でも火傷一つしないだろうよ。お前がどれだけ威力の高い魔法を放とうが、こいつの腹に入ったら全てが無意味。ただのエサなんだよ」
グーラの頭上に飛び乗りながら、奴は心底愉快げに笑って俺を見下ろす。
「さあどうする? 得意の無駄に派手な魔法は通用しない。おまけに荷物も抱えてる。この状況で、お前に何が出来る? え? 歴代最強くん?」
「っ・・・・・・!!!」
絶体絶命の魔王様。果たしてどう戦うのでしょう?
一旦ここで区切りましたが、どうにか頑張って続きは今日中に投稿します!
年越し直前にこの展開というのは何とも不吉な感じで申し訳無いのですが(←空気読め)、どうかお付き合い頂ければ幸いです。




