〜厄災の胎動〜
待ち侘びたその日が、刻一刻と近づいて来た。
嗚呼、どれほど、どれほど焦がれ望んだことか。
ずっと、願っていた。
彼と、結ばれる時を。
彼が、私を見つけてくれる時を。
彼が、全てを壊してくれる時を。
私の存在を否定し、私の尊厳を踏みにじり、私の全てを奪い、私を独りにしたこの世界が、もうすぐ、もうすぐ彼の手で全て壊される。
・・・・・・そして、何も無くなった真っ白な世界で、ようやく私と彼は結ばれる。
貴方様は、私の月。
真っ暗な夜空に浮かぶ、誰よりも美しく、強く輝く、優しい光。
貴方様の物になれる。そう思うだけで、この胸は溢れんばかりの歓喜に満たされて行く。
無限の愛を、永遠に囁き合って、溺れて、沈んで、溶け合って。私達は一つになる。
嗚呼、嗚呼、嗚呼! ずっと、ずっと、ずっと、貴方様のお側に!
私の最愛! 私の宝物! 私の救世主!
今度こそ、私と、この歪んだ世界の全てを、貴方様に捧げます!
だから、どうかお願い。今度こそ、本当に、確実に、絶対に。
私を殺して。愛しい私の、私だけの、魔王様。
新章、ぬるっと始まりました。
ですが敢えて、今話には何も触れずにおこうと思います。
お付き合い頂いている皆様、初めましての皆様、どうか今しばらく生暖かい目で見守って頂けると幸いです。




