〜お疲れ魔王とWメイド?②〜
「シャル様!?」
「あら、少し刺激が強すぎましたかね?」
ピナの慌てた声と、対照的なソアヴェの冷静な声が聞こえる。・・・・・・あれ、今、俺はどういう状況なんだっけ?
後頭部と背中に、硬い感触がある。多分、地面に転がっているな。・・・よし。大丈夫、身体は動く。取り敢えず起きあがろう。
「大丈夫ですか? 驚かそうとは思いましたが、まさか倒れるほどとは」
「あ、ああ。すまないなソア・・・ヴェ?」
差し伸べられた彼女の手に掴まり、起き上がった俺の目に飛び込んで来たのは、先ほど以上に強烈な光景だった。
なんと、彼女はピナと全く同じ格好をしていたのだ。
ドレスの色こそピナは深紫、彼女は真紅と違うものの、その露出の激しいデザインは全く同じで、エプロンも同様。
・・・しかも、ピナに比べ起伏の激しい女性的な体型の彼女がその格好をすると、より扇情的で目のやり場に困るどころの騒ぎでは無い。
「お、おまっ!? おまっ!?」
「・・・おや。この反応は意外ですね。てっきり私には見向きもして頂けないかと思っていたのに」
あわあわと口を開けたり閉じたりすることしか出来なくなった俺を見て、ソアヴェは目を丸くする。
「い、いや寧ろ、どこを見たら良いか分からないんだが!?」
「どこと言われましても・・・・・・ここ、とか?」
そう言いながら、彼女はエプロンの襟元を引っ張り、はち切れんばかりにドレスを押し上げる胸の谷間を俺に見せつけてくる。
「ぶっ!? な、何してるんだお前!?」
「・・・これは新鮮ですね。何だか楽しくなって来ました」
思わず吹き出しながら仰天して後ずさった俺に、ソアヴェは蠱惑的な笑みを浮かべてにじり寄って来る。
「ふふっ。そう遠慮なさらずとも、お好きなだけ、お好きなところを見て良いのですよ?」
「はぁっ!? ちょ、待っ!? お、お前、今日は何かおかしいぞ!?」
「何がですか? 私はいつも通り、シャル様にご奉仕する忠実なメイドですよ?」
「どこがいつも通り!?」
意味不明な言動を繰り返すソアヴェに、俺はまたしてもぐるぐると目を回しながらひたすら慌てふためく。
「あ、あの、ソアヴェさん? 私には、シャル様が困っておられる様に見えるのですが・・・本当に、この格好は喜んで頂けているのでしょうか?」
「ピナ様、そう結論を急ぐ必要はありません。ここからが本番です」
「は、はぁ・・・」
何やら二人でこそこそと会話するピナとソアヴェ。俺はいまだに全く状況を理解できず、思わず二人の会話に割り込む。
「お前ら、一体これはどういう事なんだ?」
「えっと、ここのところシャル様が、何だか気を張ってらっしゃった様なので、お帰りになったら精一杯お世話をさせて頂こうと、ソアヴェさんと話していたら、いつの間にかこの格好に・・・・・・」
「シャル様。今日の私たちは、いつもとは一味違いますよ?」
首を傾げるピナと、何故か不敵に笑うソアヴェを交互に見て、俺は一つの結論を導き出した。
「・・・・・・取り敢えず、風呂入って来る」
疲れた声で俺が告げたのは・・・・・・問題の先送り、という結論だった。
『Wメイド』というサブタイの意味がここから徐々に解き明かされる! ・・・とか大袈裟に書いてみましたが、普通に姫君とメイド長が魔王様のために頑張るお話になる予定ですw
何を頑張るかは・・・・・・まあ、楽しみにして頂けたり期待しすぎないで頂けたりするとありがたいです。
この初恋魔王のお話を書くのは本当に楽しいのですが、最近少しテイストの違うお話も少し書いてみたいなぁとか思っておりまして、まだまだ予定は未定ですが、別作品も投稿するかもしれません。
仮にそうなったとしても、こちらの投稿ペースはなるべく落とさないようにするので、末長くお付き合い頂けると嬉しいです!
今話もお読み頂き感謝感激でございます!
散々書いてきて今さらですが、感想等頂けると励みになりますので、気が向いたらよろしくです。
 




