私、私、私。
ドームに向かうと人も疎らになっていた。
最大量の判定、そこには学長室で見たあの門番が鎮座していた。
(なるほど、あれで測るのね。じゃあこの手袋をつけてればCランクって事だよな。)
「オレ……私からやるよ、ルイ。」
そう言って門番の前に立つ。
【貴様が異国の言葉を話す少女か。】
「ん?あんた学長室にいたやつじゃ……」
【弟が大変世話になったようで。しかし弟は我が4兄弟で最弱。私は判定不能などならないぞ。】
よく見るとホクロが1つついてる。
そこで見分けるのね。
【さぁ、手袋を取って全力でくるがよい!】
「悪いな、あまり目立ちたくないんだ。このままでやらせてもらうよ。」
そう言って力を流し込む。
【ドルルルルルル】
出たこれ、一緒か……
いや、よく聞くとルが1つ多い。
【Cランク!総合評価……Aランク!】
「えっ?なんでそんな高いんだよ。あんた壊れてるのか?」
【念動力では卒なくこなし、運動能力では異次元の動きをし、特技ではテレポートをするなど前代未聞。本当はもっと高くても良いが弟の無念、ここで晴らさせてもらう。】
「面倒なやつだな……」
後ろではAランクという評価にざわつきがおきている。
「ハルちゃん凄い……学生でAランクなんて聞いた事ないよ?」
「ほら、ルイの番。頑張ってね。」
「うん……やってみる。」
先程とは表情が違う。
俺の力が流れているからだけじゃない。
ルイ本来のいい顔だ。
「お願いします!」
【うむ。】
ルイが力を流し込む。
自分の事以上に緊張するな、これ。
【ドルルルルルル】
【Cランク!総合評価……Eランク!】
「ハルちゃん!聞いた?私……」
そう言いながらルイは泣いて抱きついてきた。
「……ハルちゃんのおかげだよ。」
なんかこっちまで感動しちゃうな。
俺は抱きついているルイの頭を撫でていた。
「ふふっ、ハルちゃん……男の子みたいだね。」
「えっ?いや、そんな事……」
「さっきもトイレで俺って言ってたから。なんだかカッコいいなって思って笑っちゃった。」
私、私、私……
この言い方どうも苦手だな……
「今日はこれで学校お終いだよ!お祝いにどこか行こうよ。ハルちゃんが行きたい所に私が案内してあげる。」
「わ、私、美味しいものが食べたい。」
「俺でもいいんだよ?」
「……練習しとくね。」
「あははっ、着替えて行こっか。」
……
……
ドームを出てしばらくしてからだった。
何やら鼻を啜る音が聞こえる。
「ルイ、何か聞こえない?」
「……そうだね、誰かが泣いているみたいな。」
『うっうっ(´;ω;`)』
「……サクラ?」
『ハル様、申し訳ありません……(´;ω;`)』
「今までどうしてたんだ?心配したよ。」
『あの建物に……シクシク(´;ω;`)ウッ……』
「いいから泣き止んで……ごめんルイ、先に行ってて。」
「分かった、教室で待ってるね。」
……
……
「で、何があったんだ?」
『ぐすん……あの建物に文明人のかなり上の方々がいまして……少しでも私がハル様から出てこようものならば一瞬で勘付かれていたでしょう……』
「へー、そういうものなのか。」
『押し殺して押し殺してようやく見つからない、といった感じでした……』
「で、勘付かれたかな?」
『恐らく大丈夫でしょう……(´;ω;`)ウッ……』
「俺は大丈夫だからもう泣くな。」
『ハル様を孤独にさせてしまいました……困っているハル様に声をかけることも出来ませんでした……私は、私は……(´;ω;`)ウッ……』
「……確かに困ったけどさ、それは俺がこの世界の常識がないからだ。」
『しかしそれは私の役目……』
「ちょっとずつ知っていくからさ、そしたら今日みたいな事も無くなるだろ?」
『しかし……』
「俺も自分の事で精一杯になってたから気が付かなかったんだけどさ……」
『……?』
「サクラはいつだって俺の中にいてくれるんだろ?だから俺は一人じゃないんだよな。そんな事もさっきは分からなかった。ごめんな。」
『ハル様……(´;ω;`)ウッ……』
「これからも頼むよ、サクラ。」
『(´;ω;`)ウッ……これは嬉し泣きです……』
「じゃあ美味いもんでも食いに行こうぜ。」
『はい!では私がご案内……』
「ルイが案内してくれるってさ。」
『ジェラっちゃいます。』
「はははっ、サクラといると楽しいな。」
『……私もです。ハル様がハル様で良かった……』
「俺は俺だろ?変なサクラだな。」
『……そうですね、ふふっ。』
この時は気が付かなかった。
Aランクがどんな事なのかを。
2日目、この学校の首席になりました。




