我が家のトイレは平行世界。
朝起きてトイレに行く。
手を洗う。
ご飯を食べて歯を磨く。
身支度をして家を出る。
当たり前の行動、もう何年も続いている。
普通の生活、いつも通り。
そう、今日俺が朝起きてトイレにいくまでは。
「ん?」
朝、トイレのノブを回す手に違和感を感じた。
何が、と言われると答えられないのだがなんとも言えない違和感である。
「なんだろう、なんか変だな。」
よく見るとノブの上にある鍵が無い。
「おかしいな、ここに鍵がついていたはずなんだけどな……」
何年か前に友人が遊びに来た時、小銭で外から鍵を開けて遊んでいた。この記憶は間違いないし、ドアを換えた記憶もない。
という事は……どういう事?
恐る恐るドアを開けるといつもと変わらない便器がそこにあった。
なんだ、何ともないのか。そう思い顔を上げると窓の外が赤くなっているのに気がついた。
「朝焼けにしては遅い……よな?」
というか赤い、赤すぎる。
異様とも言えるその色に戸惑いつつも、冷静に考えようとする。
「火事か?でも裏は空き地になっているし……」
怖いもの見たさに俺は窓を開けた。
「えっ?」
そこにはあるはずのない景色が広がっていた。
数え切れないほど聳え立つ摩天楼。
車は地面から離れ浮かびながら走り、見たこともない物が空を飛んでいる。
真赤な空、そして月の様なものが2つ。
「え?なにこれ……」
夢を見ているのだろうか?
見たこともない景色を前に只々呆気に取られるばかりであった。
「と、とりあえず窓閉めるか……」
そう思い窓に手を掛けた瞬間
“ピリリリリッ、ピリリリリッ”
ポケットにいれてある携帯電話が鳴り響く。
電話を見ると表示されている文字全てが文字化けしていて読めない。
しばらく様子を見たが鳴り止まないので、電話に出る事にした。
「も、もしもし……」
「あー、聞こえるかね?言葉、分かりますか?」
なにやら年老いた男性の声がした。
言葉?……って事はこの人は外国人か?
「合ってますけど……失礼ですがどなたですか?」
「フーー!!成功だ!!とうとうやったぞ。ここまで実に長かった、がしかし……」
電話の向こうで物凄くはしゃいでいる。
というか本当に誰なんだ?
「あのすいません、用件は……」
「あぁ、ごめんね。今その窓を閉めたら二度とこちらの世界には来れないよ。」
こちらの世界?何言ってるんだこの人は……
ひょっとしてこの目の前の世界の……
「そう、君の前に広がる世界の住人だ。」
「えっ?ていうか今喋ってない……よな?」
「知りたい?見たい?じゃあ来なよ、その窓を出てさ。」
いやいや、待て待て。
怪しすぎるし、あんた誰だよって話だし。
まぁでも知りたい……よね、普通。
「一つ注意ね。その窓から出ると二度とそちらには戻れないかもしれないよ。」
「戻れない……」
落ち着け、これから仕事に行かなきゃならんのだ。戻れないなら行けないだろ。
「この赤く染まる空が暗くなるまでに答えを出してね!じゃ!」
「ちょっと、待っ……切れちゃった。」
何なんだよ、どうすりゃ良い?
閉めても後悔する。
行っても後悔……
するのかな?
こんなチャンス滅多に……いや、二度と無い。
“ピリリリリッ、ピリリリリッ”
するとまた電話が掛かってきた。
相変わらず、画面は文字化けをしている。
「も、もしもし?」
「言い忘れてたんだけど、こちらに来たら君は生まれ変わる。君の新しい人生が始まる。私は君を待ってるよ、じゃ!」
……また切れた。
「生まれ変わる……か。」
今の生活に不満があるわけではない。
それなりの生活。
それで良かった。
今までなら。
こんな世界を見せられてワクワクしないハズがない。
知りたい、見たい。
飛び込んでやろうじゃないの。
窓に手を掛け勢い良く、目の前に広がる世界へと飛び立った。
と、同時に自分の体が消えて無くなっていった。
「な、なんだこれ?体が消えてる?」
徐々に失われていく視界の前に誰かが立っていた。
「誰──」
そして俺の体は消滅した。
「ん……ん?あれ、俺、消えたよな?」
目が覚めると小さな部屋のベッドの上で目が覚めた。
「とこだここ?……なんだか可愛らしい部屋だな。」
女の子の部屋、と言ったらいいのだろうか。
花柄やらぬいぐるみやら。
「……俺の手こんなに細かったっけ?」
手だけじゃない。視界に肩までつかる髪の毛が見える。
「は?え、なに?……ん?」
待て待て、おかしい……
っていうかありえないだろ。
部屋の隅に置いてある鏡を見て驚愕した。
「なんじゃこりゃーーー!?」
その時部屋のドアが開き、見知らぬ老人が入ってきた。
「起きたか、体の具合はどうかね?」
「いや、どうもこうも……って誰だよあんた。」
「私か?名前はヒロという、見ての通りの老人だよ。」
ヒロと名乗るその老人。
見た目は70歳くらいだろうか。
白髪で前頭部に髪が無く眼鏡をかけている。
パッと見ると怪しい発明家のようなだ。
「ヒロさんか、俺は……あれ、俺の名前、何だっけ……」
数え切れない程の記憶の中で、自分の名前だけがぽっかりと空いている。
思い出そうにも思い出せない。
「無理だよ、君の名前はこの世界にもうないのだから。」
「この世界?あ、思い出した!その声は……」
「ふっふっふ。ようこそ、こちら側へ。」
そう、この老人はあの時電話して来た男だ。
「窓に触れてごらん。」
言われるがまま窓に手を触れた。
すると曇りがかっていた窓がクリアになり外の景色が顕になった。
「すご……」
あの時見た摩天楼が、大都市が俺の目の前に広がっている。
よく見ると建物全体が空に浮いている。
「何これ、どうなってるの?ここは何なんだ?俺たちの世界の未来か?」
疑問が尽きない。
「まぁ落ち着きなさい。一つ一つ説明していこう。まずは君のその姿だ。」
そう、先程姿見で確認した事だ。
身長は140センチくらいだろうか。
髪の色は桜色。長さは肩まである。
肌は色白でパッチリお目々。
「可愛いでしょ、その顔。」
「うん……まぁ……滅茶苦茶可愛いな、これ。」
身長の割には大人びた顔、中学生か高校生くらいか?
こんなに可愛い子には縁がなかったな。
「いやいや、つーかこれ女の子でしょ?」
「え?イヤなの?」
「嫌っていうか……俺男だぞ?」
「それが新しく生まれ変わった君の姿だ、大事にしてくれ。」
どこから突っ込んでいいか分からない。
聞きたいことが山ほどある。
「では山ほど答えよう。」
「!?やっぱりそうだ。アンタ俺の心の声が聞こえるのか?」
「先ずはこの世界の事。この世界は君がいた世界の平行世界になる。」
「平行世界?」
「例えば買い物をしていたとしよう。君は魚を買おうか買わないか迷っている。君は迷った挙げ句買わない事にした。それが君がいた世界。そしてこの世界は君が魚を買った世界。」
「……つまり色々な可能性が枝分かれした、その内の一つがこの世界って事か。」
「物分りが良くて助かるよ。」
理屈はなんとなく分かった。
けど……
「こんなに違うものなのかな?いくら枝分かれしたって、これじゃ俺たちの世界と次元が違いすぎる。」
「この世界はね、君達の世界でいう古代文明が消滅しなかったんだよ。その文明の連中がこの世界を掌握している。」
「古代文明ねぇ……」
「つまりこの世界は君達の世界と1万年以上もの差がついている、という事。」
「ほえー、頭が追いつかない。」
「そしてこの世界は所謂第六感、というものが発達しているんだ。」
「はーん、それで俺の心を読んだ訳か。」
「他にも物を動かしたり、電気を発生させたり、達人はそのエネルギーで周囲を吹き飛ばせる。」
「物騒だな、おい。」
「そして一番大切な事、全ての元凶であるあの2つの月。」
「……いくら枝分かれしたって月が増えるって事はないよな。」
「あの月……あれが現れてから君が見た真赤な空が訪れるようになった。」
「……」
「文明人が宇宙の民とコンタクトが取れ、この星にギフトをくれるという事になった。それからしばらくしてあの月が突如空に現れた。そして一年に一回空が赤く染まり染まる度、同じ様にあの月が存在する平行世界とランダムで接触するようになったんだ。」
「でも俺のいた世界はあんなもん無かったぞ?」
「まぁ最後まで聞いて。初めは平行世界同士で仲良くしていたんだ。でもごく稀、というか調べる限りここ数百年に一回、あの月が存在しない世界と接触した。つまり君のいた世界と同じ様な世界とね。」
「いきなりこんな発達した世界と接触したら大変な事になるぞ……」
「そう、大変な事が起きたんだ。なんだと思う?」
「……まさか侵略、とか?」
「半分正解。文明人はゲームをしたんだ。誰がより多くの人間を狩って領地を広げるか、と言うね。」
「えっ……」
「あの赤い空は一日数時間出るんだ。そしてそれが一月程。つまり一ヶ月の間……地獄だった。文明として再起出来ない程、ほぼ根絶やしだろうな、そんな蛮行が行われたんだ。」
「何だってそんな事を……」
「文明人にとってただの遊びだよ。大義も何もないさ。」
「……それと俺は関係あるのか?」
「文明人はその後また次のゲームの為に駒、つまり兵士を作る事にしたんだ。人為的な、アンドロイドと言えば分かりやすいだろうか。文明人同士その兵士作りがエスカレートしていってね、この世界、文明の限りを尽くしたアンドロイドを何体か作ったんだ。」
「アンドロイド……」
「私は研究員の一員として参加し、そこでプロトタイプであるアンドロイドを盗んだ。二度とあのような蛮行をさせない為に。アンドロイドは動力が特殊でね、人間の魂が必要なんだ。」
「……」
「この世界では古くから魂の解読が行われ、肉体から魂を抽出しそして別の肉体に入れ込む事が可能になっているんだ。でもこのプロトタイプは設計している最中に、私がある細工をしたんだ。」
「細工?」
「この世界の言いなりにならない様、平行世界、しかも以前滅ばされた様な文明レベルに差がある平行世界の人の魂でしか動かない様にしたんだよ。」
「ん?待てよ、それって……」
「そう、君の事だ。」
「いやいや、なんでそんなまどろっこしい事を……」
「もうあのような惨劇を繰り返してはいけないのだよ。私のような者を……生んではならない。」
「……?もしかしてアンタ、滅ぼされた世界の……」
「そう、その世界の住人だった。君がいた世界と殆ど変わらない世界線だ。命からがら一月逃げ、この世界にやってきた。」
「そうか……大変だったんだな。アンタは俺みたいに消えなかったのか?」
「消えたさ。平行世界からやってきた者はあの時間を過ぎると消滅してしまう。魂だけがこの世界に残る。そしてこの世界で赤子へと転生したんだ。その後研究を重ねようやく君のいた世界とコンタクトを取った。」
「まぁそれは分かったけど、アンタはどうして俺をこの世界に呼んだんだ?」
「先程言ったプロトタイプを動かす為。それと……君を選んだのは私ではない。」
「……まぁいいや。で、この可愛い女の子になって何をすればいいんだ?」
「この世界の文明人は腐りきっている、私はこの世界を変えなければならない。君にはまずはこの世界を知って欲しい。君自身で感じ取ってくれ。その体には様々な機能がついている。体が傷付いても自己修復機能があり、身体能力はこの星の動物で適う者はいないだろう。あとは所謂サイキック能力だが……」
「うんうん、それが一番重要だよな。テレパシー使ったり、こう衝撃波みたいのを出したり……」
「それは君自身の力による。だから私にも分からない。」
「えっ?スーパーパワーは無いの?」
「もちろん可能な限りの補助機能は付いているさ。この世界の研究で分かった事なんだが、魂には名前がある。その名前によって能力の値は決まってくる。」
「どうやって決めるの?その名前。」
「皆赤子が生まれるとする事なんだが、大体名前がテンプレートで決まっている。この能力値を高くしたかったらこの名前、と言ったように。手を空にかざしてごらん。」
「ん、こうか?」
空に手をかざすと空中に画面が現れた。
SFなんかで見るアレだ。
「なんか文字化けしてて字が読めないんだけど……」
「それがこの世界の文字だ。今日本語に翻訳するよ……どうかな?」
「おー、日本語だ、なんか懐かしいな。えーっと、名前の候補リスト……なぁ、これって名字ないの?」
「この世界では必要ないのだよ。皆昔から文明人に管理されている。文明人が決めた名前リストから決めるんだ。」
「ふーん、つまんない人生だな。ここに無い名前でも登録出来るの?」
「出来るがそこに無い名前だと最低の能力値になるだろうな。ちなみに私のヒロという名前はテレパシーが得意らしい。」
「へー、どうしよっかなぁ……女の子だもんな、可愛い名前が……」
「コーヒーを淹れてくる。決まったら教えてくれ。」
「……なぁ、今何月だ?」
「4月だよ。」
そう言ってヒロは部屋を出ていった。
「名前ね、困ったな。」
『何かお困りでしょうか?』
「何これ、喋れるの?」
『私は貴方様の専属ツールです。お困りでしたら何なりとお申し付け下さい。』
「へー、これも日本語なんだ。」
『ヒロ様に教えて頂きました。ヒロ様に言われました。私は貴方様をお守りする大切な役だと。』
「そんなにこの体が大事なのか。っていうかなんで女の子なのかな……」
『ヒロ様の趣味です。』
「あのエロジジィ……まぁいいや、どんな名前がいいのかな?」
『貴方様に最適な名前を表示します。コチラです。』
「ふーん、どれもパッとしないな。ねぇ、この世界の事なんでも知ってるの?」
『はい、網羅しております。』
「じゃあさ……」
「よし、決まった。」
『それでは貴方様の声でお名前を登録します。貴方様のお名前を教えて下さい。』
「俺の名前は……」
名前を言った瞬間だった。
周囲のあらゆる物が浮かび始め、地響きの様なものが鳴り響いている。
外は快晴だったはずが、気が付くと雷は鳴り嵐の様な天気だ。
「これどうなってるの?」
『恐らくは貴方様の名前のせいでしょう。』
「え?だって……」
バタン!!
「何なんだねこの騒ぎは!!」
「ヒロさん、いや名前を登録した途端……」
「何て名前に?」
「“ハル”っていう名前にしました。」
「ハル……hal……マズい、マズいぞその名前は!!」
「えっ?何で?」
「君、日本語で登録しちゃったでしょ!?その発音はこの世界には無いんだよ。かつて文明人が唯一恐れていた存在、それが君の発音したハルなんだ。」
「でもたかだか名前でしょ?」
「言魂って知ってる?初めは何の意味もない言葉でもその言葉が何人も何世代も語り継がれ、やがてはその言葉に魂が宿る。言葉に物凄いエネルギーが存在するんだ。その言魂を元に名前リストがあったハズなんだけど……」
「いやぁ、調べたらこの世界に春っていう単語が無かったから、俺が違う世界にいた証っていう意味も込めてハルにしたんだけど……ダメ?」
「ダメだよーー!!名前登録解除は?」
『出来ません。このままでは周囲30キロの物全てが消滅します。』
「あーー僕の研究所が!!人生が!!」
「ヒロさん、落ち着いて。ほら、コーヒーは?」
「おバカー!!あぁもう終わりだ、始まったばかりなのに……」
「えぇ……なぁ、どうにかならない?」
『ハル様を分析しました。ハル様はテレポートが使えます。この写真を見て下さい。この風景をイメージして下さい。』
「イメージ……出来ないよ!!こんな状況で。」
『落ち着いて下さい。ハル様なら出来ます。』
「……ヒロさん、コーヒー下さい。」
「はい、最後の晩餐。」
コーヒーの良い香りが鼻を抜ける。
「やっぱり朝のコーヒーは最高だな。」
『もうお昼を過ぎています。』
「シチュエーションが大事でしょ。よし、落ち着いた。」
『消滅までおよそ三十秒。』
「煽るなよ……よし、イメージ。」
この山の風景を頭の中隅々まで広げるんだ。
……
……
『準備出来ました。ハル様、強制手段です。テレポートと叫んでください。』
「テレポート!!」
刹那爆音と共に辺り一面焼け野原になった。
……
……
「あれ?ヒロさん?もしかしてこれ失敗した?」
『成功です。無事あの山脈にテレポートし山脈を吹き飛ばしました。』
「それ、大丈夫なの?」
『文明人に見つからない内に戻りましょう。先程の部屋をイメージして下さい。』
「……よし、テレポート!!」
シュンッ
「あ、おかえりなさい。」
「た、ただいま?」
テレポートで帰ってきた時のヒロさんはとても嬉しそうな顔をしていた。
「いやー、君が無事でなにより。もう終わったかと思ったよ。」
「ヒロさん取り乱しすぎ。」
『ハル様の能力値が判明しました。』
「お、どんな感じ?」
『全てにおいて上限値を超えています。ハル様の肉体と合わさり、超越した存在と言えるでしょう。』
「へー、だって。良かったね、ヒロさん。」
「いや、マズいでしょ。そんな異分子、文明人にバレちゃうよ。」
「うーん確かに。」
『ハル様に能力値ジャマーを搭載した何かを装着させれば問題ないかと。』
「能力値ジャマー?」
「そっか、その手があったか。ちょっと待っててね。」
そう言うとヒロさんは部屋を飛び出していった。
「……そういえばさ、なんでテレポートって叫ばせたの?」
『本来は無言で行うのですが、ハル様は初めての事でしたので、ハル様に身近であり、かつ具体的にイメージ出来るようテレポートと言葉を発して頂きました。』
「へー、すごいな。」
バタン!!
「出来たよ、ほら。」
「早いな。で、なにこれ。」
「まずはこの世界の文字を自動で日本語に変換するコンタクトレンズだ。つけてみてくれ。」
「……こんなもんか。どう?」
『モニターの言語変換解除。元の言語に切り替わります。』
「何も変化無いけど。って事はコンタクトレンズで変換出来てるのか。」
「次はこれ、聞こえてくる言葉を自動で日本語に変換してくれるイヤリングだ。そしてこれが能力値ジャマー搭載の手袋。君、異常者だからこれつけても並の人じゃ相手にならないと思うけど。」
「ありがとう……ん?何だこれ。」
「制服、明日から学校に行ってもらうよ。」
「え?いやいや、無理だろ。喋れないし。」
「今日一日で単純な言葉だけ覚えて。学校に行ってこの世界を学んできてね。」
『一緒に頑張りましょう、ハル様。』
「……そうだな、頑張るか。」
『まずは女性らしい言葉遣いを……』
「いいよこのままで。」
『それではせめてハル様は女性だという事を意識して下さい。』
「オッケー。」
……
……
新しい世界、新しい体、新しい人生。
そして新しい友人が二人できた。
学校かぁ、どんな所だろう。
ワクワクするな。
『ハル様、もっと女性らしく……』
「はいはい。」