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僕のクラスの不登校が実はアイドルだった!  作者: M.H
二章 愉快な先輩たち
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32話『磐木は企てる』

「え、私に……用事?」


 女子生徒のひとりがニヤニヤとしながら示す方は教室後ろの戸。第一印象は爽やかな運動部系の好青年。三年の先輩らしいことを聞いた。


 磐木は先輩の方へと行く。そして磐木は身構えた。


「何か用ですか?」


「君が『磐木』ちゃん?」


 爽やかな先輩は、わざとらしく、そして、優しく微笑んで言う。


 ここじゃなんだから――先輩はそう言い磐木と人気の少ない特別棟の踊り場へ向かった。


 道中に先輩を見てはキュンとしていた女子たちは『スメラギ』と口にする。そばを歩く磐木に気づくとひそひそと噂っぽく声を潜める。そんな空気が磐木はちょっとだけ嫌だったりする。


 先輩は歩幅を磐木に合わせているせいか男子にしては遅め。180センチ前後の身長で歩幅は大きいはずだ。


 そして踊り場に到着。爽やかな先輩は足を止めて磐木に向き直った。


 そして壁に手を突き、顔を近づけ囁くように耳元に言う。


「樟葉ちゃん……『いまのままでも』やっぱりかわいいね」


 磐木は自分の顔が熱くなるのを感じながら微笑む。爽やかな先輩は優しく微笑みながら本題に入る。


「俺の彼女になる気、ない?」


 この手の話は苦手だった。断っても受けても似たような反感を受ける。


 落ち着きを取り戻した磐木の熱は次第に冷めていく。


 磐木は努めて穏やかな口調で言う。


「先輩の気持ちはすっごくうれしいんです……けど、ごめんなさい。好きな人以外の誰かと付き合いたいって考えてないんです」


「樟葉ちゃん、本気?」


 先輩の顔色が一変して黒く見えた。不快そうに眉根を寄せ、所在無げな手が後頭部に持ち上がる。けれどその顔は怒っているとか憤っているとかそういう感情ではなく考えている顔だ。


「先輩とは、付き合えません」


 磐木の言葉に先輩は力を緩め、優しそうに微笑んで言う。


「樟葉ちゃんは……そうか、やっぱりあの件は彼絡み……。そっか、僕は振られちゃったか、仕方ないなぁ、じゃ戻ろうか。教室まで送っていくよ」


「いえ、大丈夫です。あと最後に、ひとつだけ……」


 先輩は笑顔を伏せて、真剣な顔で磐木の言葉を待つ。


 先輩を見送った磐木は脱力して膝を突いた。そして安堵の息を吐き、胸に手を置いた。指先に伝わる鼓動が苦しい。心が痛い。


 東吾の告白を断った磐木。少なくとも『志良先輩の時のようにはならない』。


 磐木はアイドル。そのことは高校三年間、秘密にしたい……。せめて最後まで。


「早く戻らないと」



思考回路不明です

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