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僕のクラスの不登校が実はアイドルだった!  作者: M.H
二章 愉快な先輩たち
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25話『妹が後輩に』

 深夜。晴太は目が覚めた。尿意に起こされたわけではなくてなんか目が覚めた。きっと朝だと勘違いしたのだろう。手さぐりにスマホを掴んで顔の前に持ってくる。ペカーと眩しい液晶に目を眇めつつ時間を確認。どうやら現在時刻はジャスト深夜二時らしい。


 再び寝ようかと思ったがこれも何かの知らせだ。とりあえずトイレに寄り、手を洗いに一階に降りると廊下にドアに並んだ小さな窓から漏れた光がさしていた。


 ドアの小さな窓からのぞき見ると光源はキッチン。寝ぼけ眼で捉える人影に晴太は安堵の息を吐いた。万が一泥棒だとしたら腰を抜かしてしばらく息を止めているつもりだった。


「何してんの? こんな時間に」


「キャ――って、お兄ちゃんか。なんだおどかさないでよ」


「勝手に驚いたんだろ……この匂いはココアか」


「お兄ちゃんも飲む?」


 袖の長い女子っぽいパーカーにやたら短いズボンという格好の春乃。火を使っているから袖に引火しそうだと危惧する。こんな夜に「寝る前にそんなもん飲むと虫歯になるし寝小便するぞ」と言ってしまいそうになったがやめた。わざわざ喧嘩の種をまく理由はない。けれどついついそうやって逆鱗に触れたくなってしまうのだから不思議だ。


「はい」


「ありがとう」


 春乃はマグカップを片手に持って革張りのソファに腰をかける。そして肩越しに一瞥。どういう合図なのかはわかりかねるがたぶん隣に来いとか、そういう意図だろうと晴太は解釈する。


 まだアツアツのココアはミルク特有の香りとカカオと砂糖の甘い香りを立てている。とてもとろりとしていて甘ったるい。


 春乃はふぅと小さく息を吐いた。視線は手元に向いたまま。


「私行きたいとこ決めた」


「そりゃよかったな」


 晴太はずずっとココアを啜る。けれど全く減らない。


「ききたくないの?」


「何を?」


「知りたくないわけ? どこ行くか」


「きいてほしいのか?」


「別に」


 晴太は何なんだと片眉を上げた。春乃はふてくされた子どもの顔をして晴太を見る。


 晴太は仕方なさそうに訊く。


「どこに決めたんだ?」


「……お兄ちゃんと……一緒のとこ」


「勿体ねぇな。もっと行けるとこあるだろ?」


「んんん! 知らない! ヤなわけ?」


 春乃は怒り、ぐびぐびっとコップを一気に傾けた。まだ熱いのに。そして言葉を求めるように見てくる春乃。


「そうじゃなくて、せっかく勉強できる頭あんのにうちみたいなバカ校に来るんだって」


「……だって」


「……だって?」


 春乃はなぜかいきなり声のトーンを落とし、うつむき加減に、指先がコップの縁を這う。


「…………お……が……い、から……」


「ごめん、まったく聞き取れない」


「――! 知らない!」


 ソファから勢いよく腰を上げた春乃はそのままキッチンへ行き、流しにコップを置き、冷蔵庫からお茶のボトルを取り出して部屋を出ようとした。


「洗い物よろしく……おやすみ」


 春乃はそう言い残し、どたどたと足音を立てて自室へ戻った。


「マジか……後輩になんのか」



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