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僕のクラスの不登校が実はアイドルだった!  作者: M.H
二章 愉快な先輩たち
20/41

20話『文化祭 一日目』

 そんな楽しかった準備期間も終盤の頃。


 お化けの練習をしていた。晴太には関係のない話。なぜなら晴太の仕事は受付だけだから。白装束を纏うこともないし、顔を真っ白にする必要もないし、血のりを吐き出す必要もない。


 すでに晴太の仕事は終わっていた。暇すぎてあくびをした回数を記録したり、中庭に落ちた葉を数えたりしていた。


 そんな感じに文化祭の準備は滞りなく終わり、文化祭の始まりだった。


「残念だなぁ……来年は絶対行きたい」


「あと二回も参加できる」


「二回しか、だよ。それも年に一回だけ。このクラスでやれるのはこれで最後なんだよ?」


「そういわれるとまぁ」


 なんだか力強く言われて考えを改めようと思った。磐木はもしかしたら学校が好きなのかもしれない。


「皆で頑張って準備したんだ、村川くん私の分もよろしくね」


「おう」


 そして文化祭一日目。校舎に続く道に掛けられた文化祭横断幕をくぐり、昇降口で上履きに履き替えた。


 一日目の受付は晴太。授業換算で二限終わりまで張り付いていなくてはならない。


 金をもらって、名前を記入してもらって。仕事はそれだけだ。もちろんお給料などもらえない。


 開会式が終わり文化祭が始まった。


 客層は男女同じくらい、時々先生が茶化しに来たりする。もちろん先生だからと言って無料にはしない。しっかり金を取る。金がない人は弾く。時々悲鳴が聞こえるが基本的には笑い声だった。きっと怖すぎて笑ってしまうのだろう。


「引継ぎ」


 ほぼ無心で客を捌いていると交代の生徒が来た。


 仕事をなくした晴太は迷った。クラスの出し物のお化け屋敷に入るか。所詮は高校生が学校で、限られた資源で作ったものだ。怖くはないだろうが、驚かされはするだろう。そして素直に驚くだろう。実のところ晴太はこういったお化け屋敷全般が苦手だった。表向きでは強がるが内心ガクガクなのだ。怖い思いをするために五十円を払うか、晴太はためらわれた。


 結局つま先はお化け屋敷とは反対側に向かおうとした。


「え! お化け屋敷だって~」


「所詮は文化祭です、きっと稚拙な出来に違いない」


「入ろう!」


「こんなお化け屋敷に払う金など有栖にはありません」


「じゃぁ有紗ありさがだすー、はい百円」


「あ」


 時雨双子と目が合った晴太。面識はないのだが、初めて会ったのだが。姉妹そろって幼いかわいい顔。この学校はかわいい子が多くてうれしいなぁ。そんな想いとは裏腹に晴太の身体は逃げようとしていた。


「な、なに急に」


「あなたも一緒にどう? お金は私が払うから!」


「有紗、それは妙案です。では有栖ありすの代わりにどうぞ――」


「――僕は絶対に嫌だ――」


「――じゃ、出発ー」


 晴太は終始目を瞑り、双子のキンキンとした声を聞きながら恐怖心を誤魔化してのだった。


 どさくさに紛れて触れたり、押し付けられたりしたがそんなこと晴太にはどうでもいいことだった。


「付き合ってくれてありがとねー」


 有紗ありさは腰抜けた有栖ありすを引きずり人ごみへ姿を消した。


 それから晴太はひとり校舎を回り約十分が経って、晴太は思い出したようにポケットを探る。そして一枚の紙きれを手に掴んだ。恋しく思った晴太は志良を目指して歩いた。


 三年の出し物は飲食系が多く、いたるところが香りの原因になっている。


「晴太君なら来てくれると信じていたよ。お礼にもう一枚これをやろう」


「志良さん! だれか無料券をバカみたいに配るのやめさせて!」


 どうやら志良は『どれでも一品無料券』を来てくれた一年生に配っているらしい。その裏には「料理研究会部員募集」と書かれていた。


 憤りをあらわに、目を刃にするメイドコスの先輩は確か、あの時実験台にされていた女子生徒。


 ちなみにあのやみつきになるスープは試飲に使われる小さめの紙コップの半分ほどしか入っていない。最初は普通の大きい紙コップに並々だったらしい。


 晴太は一気に呷る。そして無料券で買い、無料券をもらう。そして志良は強制的に担がれ席を外された。その日志良の姿を見ることはなかった。代わりに紙コップのサイズは戻った。


 そんな感じに一日目は無事終了。


『文化祭お疲れ様 どうだった?』


「楽しかったよ」


『そっか! それはよかった! 来年は一緒に回ろうね(汗)』

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